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マリネラ (中野忠晴)。

冬真只中ともなれば、熱く賑やかなラテン系の歌が恋しいもの。と云う訳で、今夜は中野忠晴の歌う「マリネラ」を。佐藤惣之助作詞、仁木他喜雄編曲で、原曲はフランスの人気歌手であるティノ・ロッシが主演、歌った同名ナンバーです。作曲は「モンパリ」「二つの愛」を書いたヴァンサン・スコット。ロッシにとっては自身が羽ばたくチャンスをくれた恩人でした。ロッシは1907年、ナポレオンを生んだコルシカ島アジャクシオの出身。此の島には歌に覚えのある村人が、定期的に集落一同を前に歌うと云う文化があるそうで、ロッシは其の場にて歌を披露した事で喝采を浴びたとか。自信を付けた彼はパリへと旅立ち、暫くは街のホールで歌う日々を過ごしました。1934年にスコット作曲の「ヴィエニ・ヴィエニ」がヒットし、続いて出演し歌ったのが「マリネラ」なのです🎬。

本作はピエール・カロンの制作で、1936年に公開されたのですが、早速日本でカバーしたのが中野忠晴でした。ジャズコーラスのリードボーカリストとして活躍していた中野は、タンゴの「小さな喫茶店」のヒットでソロシンガーとしても歌う様になりましたが、其の中でも「マリネラ」は実によく出来た一曲でした。仁木の編曲はアコーディオン、マラカス、トランペット、サックスなどから成るボリュームあるサウンドで、ロッシのオリジナル盤と比較しても遜色ありません。中野の爽やかで明るい歌声も活き活きしており、パリの夜の賑わいを感じます。此の歌と映画は日本でも好評だったのか、他にディック・ミネ、由利あけみ、松島詩子達も歌っており、また中野盤は戦後すぐに再販された事からして相当人気があった事が窺えます。レコードは昭和12年初夏に発売されました😀。

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