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山は招く(中野忠晴)。

過ぎてしまいましたが、お盆休み初日は「山の日」です。と云う訳で、今夜は中野忠晴の歌うレクリエーションソング「山は招く」を。島田芳文作詞、佐藤吉五郎作曲で、中野のデビュー時の楽曲の一つです。当時、行楽シーズンが迫ると各レコード会社は観光促進も兼ねて、若者向けのレジャーをテーマにした歌を繰り出しました。初夏にはキャンプや海水浴の歌を、秋にはスキーやスケートなどのウィンタースポーツ関連の歌を吹き込み、シーズン到来に合わせて新譜を賑わせていたのです。既に昭和4年には佐藤千夜子の「キャンプフォイエルの歌」や、二村定一の「海のメロディ」が発売され、コロムビアからも川崎豊の「山の凱歌」が出ておりました。これらの楽曲は総じて健全なので、青少年らに聴かせてもそう五月蝿く言われなかったと云う事情もあったのではと思います⛺️。

「山は招く」は四番構成で、明るく軽やかな旋律で書かれています。伴奏にはアコーディオン、フルート、ホルン、ギターなどが用いられ、ややズンチャカしたリズムながら、レクリエーションには持って来いの楽しいサウンドでした。中野忠晴はまだジャズソングを歌う前であり、歌声も後年よりも冴えに欠けているものの、その分力強く懸命な印象。4番の♬思うお方のキャンピは何処…と少し訛っているのは『御愛嬌』と言った所でしょう。作詞の島田芳文は「丘を越えて」や「スキーの唄」など青年向けの歌でお馴染みの人。作曲者は東京音楽学校師範科卒で、同時に佐藤行洋の名前で歌手としても活躍しています。此の「山は招く」も元は彼自身が吹き込んだそうですが、何らかの理由で差し替えられました。裏面には関種子の歌う「野分の唄」が組まれ、レコは昭和7年秋の発売😀。

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