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大空軍行進曲 (米倉俊英)。

米倉俊英の歌う「大空軍行進曲」。松村又一作詞、古関裕而作曲で、日活映画「征空大襲撃」主題歌とあります。1903年にライト兄弟による初飛行が成功して以来、それは世界全人類の耳目を集めました。第一次世界大戦では兵器として戦車と共に登場し、また日本でも明治43年末、徳川好敏大尉の操縦で代々木練兵場にて初飛行が行われます。その後日本でも飛行部隊が編成される様になり、其々熾烈な開発競争が始まる事に。そして昭和6年の満州及び上海事変では双方の航空隊が出撃して、中国軍相手に大活躍。上海上空では空母加賀より発進した海軍機が米人傭兵の駆る敵機と交戦し、幾つものエピソードを生みました。映画「征空大襲撃」はその直後に公開され、監督は伊奈精八が担当。主演は南部章三、沖悦二など。事変から間もない昭和7年6月10日に公開されました🎬。

「大空軍行進曲」は初期の古関裕而の楽曲では白眉ものの一曲で、彼の書いた戦時歌謡では早くも四曲目でした。全四番構成で偵察機、戦闘機、爆撃機の活躍を歌い、ラストで帰還を歌います。仁木他喜雄の編曲も良く、大空を舞う航空部隊の姿が過ぎる様なイントロ。トランペットやトロンボーン、バイオリンなどが使用され、引き締まった伴奏は海外の行進曲にも劣りません。米倉俊英は明治43年福岡県の生まれで、東洋音楽学校卒。阿部秀子に師事しましたが、昭和7年に彼女自身も出入りしていたコロムビアに入社。デビュー曲は矢野秋雄の名前でヒコーキから出した「凱旋行進曲」ですが、此れも古関作曲でした。その後「夏を唄およ」「銀座小夜曲」などを入れ、一方で声楽家としても活動するのですが、翌年初夏に急病に倒れて入院。僅か23年の生涯を終えています😞。

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