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高性能なペンタブを買って絶望した話

世の中には初心者の段階で
高価な機材を揃えたがる人が一定数いる。

この一文にギクッとなったそこのあなた!

必要性もないのに今あるペンタブを
高性能なものに買い換えようとしていませんか?

PCドーン!ディスプレイもドーン!
スピーカーもドーン!
ここにペンタブもドーン!みたいな。いやー豪華だ…


こんにちは。
そろそろ新しいペンタブが欲しいReLです。
気付けば10年以上同じペンタブを使っていました。
機種が古すぎて最新OS用のドライバーも
提供されなくなっているので、
いい加減最新機種に買い換えようと思う今日この頃です🤣


今回は、そんなペンタブを買い替えるときの、ある注意点についてです。

PCで絵を描くなら必須と言ってもいいペンタブレット。
複数のメーカーからいろんな特徴を持ったペンタブが出てるし、
値段もお手頃価格からウン十万円レベルの
プロ仕様のものまで、色々あります。

基本的に一度買ったら数年間は使うことになるので、
できるだけ良いペンタブを買いたいと思うものですよね。
お金に余裕がなければ安いペンタブ一択ですが、
それなりに余裕があったら高いモデルに惹かれるというもの。

大は小を兼ねるというし、
買うならより満足度の高い良いものを買って
長く使いたいと思うものです。


でも、ちょっと待ってください。

ペンタブを買い換えようとする動機は様々だと思いますが、
実は一部、高いペンタブに手を出すと
後悔することになる人がいる
んです。

もしあなたがこの一部に当てはまっているなら、
せっかく高いお金を出して高性能なペンタブを買っても
満足どころか絶望することになる可能性が高いんです。

下手すれば高いペンタブを買ったことが原因で
絵を描かなくなってしまい、
お金もペンタブも完全に無駄になってしまう可能性まで…!

一体どういうことでしょうか?🤔
高いペンタブを買わないほうがいい人とはどんな人なのか、
特に記事冒頭の2行でギクッとなったなら
最後まで読むことをオススメしますよ。

昔々、意を決して
高性能なペンタブを買ったにも関わらず絶望することになった
僕の体験も交えてお話します。




良いペンタブにすれば
上手く描けるようになる…!?


「高性能なペンタブならより自分の思い通りの表現ができるはず!」
「お金をかけた分、絵を描く環境が良くなるはず…!」

こんなふうに思うのは、ある意味正しいと言えます。

安いペンタブは本体サイズが小さかったり、
検知性能が低かったりするもの。

具体的には、筆圧に応じて線の太さを変えられる
”筆圧検知”の機能が256段階しかなかったり、

ペンの傾きに応じて線のタッチが変わる
”傾き検知”の機能がなかったりするんです。

一方、高いペンタブほど
当たり前に高性能になっていきます。

傾き検知があるのは当たり前。
筆圧検知が8192段階もあるとか、
液タブだと作業エリアとなる液晶画面が
超高精細な4K解像度のディスプレイになってるとか。

今持ってるペンタブでは検知性能が低くて
自分の実力を十分に発揮できないのであれば、
こういった高い検知性能を求めて
ペンタブを買い替えるのは十分アリだと思います。


ただし、もしあなたが

「高いペンタブを買えば今以上に画力が上がるのでは!?😳」

などと思ってるのなら、ストップです。

それは大間違い
完全なる錯覚ですよ…。


現実には、いくら高性能なペンタブを使おうが
画力って1ミリも上がりません。

残酷な話ですが、これは動かしようのない事実です。

なぜそうなるのかというと、
高性能なペンタブほど使用者の筆圧や筆跡を
「正確に」拾ってしまう
からなんです。
手ブレ、手癖、筆圧のバラつきや
ペンの傾きのブレなんかも含めてです。

性能差のイメージとしてはこんな感じ
高性能なほど、使用者の線をより忠実に読み取って
キャンバスに反映する

極端な話、ガタガタの線しか引けない状態で
高性能なペンタブを使ったとしても、
ガタガタの線が「そのまま正確に」キャンバスに反映されるだけです。

そんな状態だったら、
むしろ安いペンタブのほうが性能が低い分、
手ブレや線のガタつきがある程度間引かれて
良い感じに誤魔化せたりする…なんてことも起こります。



ペンタブに”画力を上げる力”など無い


ペンタブって、自分の手の動きを
デジタルのキャンバスに反映する変換機とも言えます。
その変換の正確さが筆圧検知レベルなどの
性能として表されているわけですね。

話を単純にして例えるなら、
自分が10の実力を持っていたとして、ペンタブの性能が6しかなかったら、
ペンタブだけでどんなに頑張っても
キャンバスには6の結果しか反映されない、といったイメージです。

これは自分の実力に対して
ペンタブの性能が足りてなくて
実力を発揮しきれていない、ということになります。
こういう場合は10の性能がある高性能なペンタブを使うことで、
キャンバスに自分の実力を100%反映できるようになる、というわけです。


逆に、自分の実力が6しかないのに
10の性能を持つペンタブを使ったとしても、
キャンバスには実力の通り6しか反映されないんですよ。

まさにこんな感じのイメージ

この状態で「もっと高性能なペンタブなら上手く描けるのでは…?」と
更に15の性能を持つプロ仕様のペンタブを買ったとしても…

結果は想像できますよね?😅

どんなに高性能なペンタブを使おうと、
それだけで自分の実力が上がることなどありません。
そんな都合のいい道具など存在しないのが現実です。



「所詮、道具は道具である」という
大前提を忘れてはいけない


どんなにいい道具を買い揃えたとしても、
自分がその性能を使いこなせないなら意味がありません。

基本的に”道具”というものは高価・高性能になればなるほど
「使用者の繊細な動きや力加減を”高精度に”伝える」ものです。

良い包丁ほど、シェフや板前の技をそのまま食材に伝えます。
良い楽器ほど、演奏者のチューニング通りに音を奏でます。
そして、ペンタブも同じです。

高性能なペンタブほど、使用者の実力を
そのままキャンバスに反映するもの。
自分の実力が十分ならば
狙い通りの繊細で豊かな表現ができることでしょう。

ですがもし自分の引く線がガタガタだったとしたら、
その現実も残酷なまでに正確にキャンバスに反映してしまうんです。

きっとその現実を直視したら思わず
「嘘だろ…?」と声が出ることでしょう。
僕は出ました。🤣

で、結局アプリやペンタブの機能で
手ブレ補正や筆圧補正をかけることで
なめらかな線に落ち着くわけです。

でも、それだったらわざわざ
高性能なペンタブで描く意味がありませんよね。
もっと安いペンタブで描いても十分同じ結果が得られるはずです。

つまりその状態では性能を活かせていないということ。


今使ってるものよりも
高性能なペンタブが欲しくなる気持ちはとてもよく分かります。

ですがペンタブがいくら高性能になろうと、
自分の実力を超えた表現はできません。
所詮、道具は道具。
決して、画力を上げてくれる魔法のアイテムではないんです。



お高いペンタブが”今”必要なのかはよく考えて


高いペンタブが欲しいと思う理由は人それぞれだと思います。
価格が上がって充実するのは
筆圧や傾きなどの検知性能だけではありませんからね。

複数台の機器と接続できるモデルや
無線接続ができるモデルもありますし、
「とにかく広い作業エリアが必要なんだ」という理由で
机の上を占領するようなドデカいモデルを買う人もいるでしょう。

ですが「画力をアップさせたい」から高いペンタブを買おうとするのは、
ズレてるとしか言いようがありません。

僕がここまで言うのは、
同じ失敗をしてほしくないからです。


10年以上前になりますが、僕は絵を描き始めた初期段階で
その時使っていた小さなペンタブに不満を感じて、
当時そこそこの性能だった数万円の最新機種を買ったんです。

当時の僕にとっては数万円でも大金だったし、
液タブなんて高すぎて手を出せませんでした。

で、最新型のペンタブに変えて
ルンルン気分で絵を描いてみて、絶望。
それまで使っていた小さなペンタブで描いた絵と何も変わらないんですよ。

現実を突きつけられてまさにこんな顔になってたと思う

リアルに「嘘だろ…?」って声が出ました。

「最新型なんだからより思い通りに描けるはず…!」
という見当違いな期待はものの見事に打ち砕かれたわけです。

今でこそ笑い話ですが、当時は
「これが僕の実力ってことなのか…やっぱ絵を描くの辞めようかな…😔」
なんて真剣に考えてしまったほど。
いや~、辞めなくてよかったとつくづく思います。


高いペンタブを手に入れても
満足するのってほんの一瞬だけです。

購入してから使い始めるまでの間、
「高い金払って良いモノ手に入れてやったぜ!」
という所有欲が満たされるだけなんです。

その後、絵を描いてみてすぐに
画力は1ミリも上がってないという
残酷な現実を突きつけられて絶望するんですよ。

繰り返しますが、これ僕の実体験ですからね。
こうなってほしくないんです。

もしこれで絶望のあまり絵を描かなくなってしまったら、
せっかく高いお金を払って買ったペンタブも
完全に無駄になってしまいます。

そんなの悲劇以外の何物でもありません。


結局、自分の理想の絵を描けるようになるには
努力によって自分自身の画力を上げていくしかないんです。
全然面白くもない話ですが、
やっぱり画力を上げたいなら”描く”しかないんですよね。

もしあなたが画力アップを狙って
ペンタブを買い換えようと思っているのなら、
一度立ち止まって冷静に考えてみてください。

「高性能なペンタブに変えたから絵が上手くなった」
なんて話、聞いたことありますか?
Twitterでそんな人を見かけたことあるでしょうか?


高性能なペンタブを「買うな」と言うつもりはありません。
ただ、本当に今の自分に必要なのかどうかはよく考えてほしいんです。
値段も値段ですからね。

お高いペンタブを買おうと思うときの参考になれば幸いです😉


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