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「本気」で向き合うことを教えられた柔道

こんにちは^^
現在、「大事なこと(価値観)」を見つけるために、過去に印象に残ったことなど、少しずつ記事にしている途中です。(以下の記事参照)

今回は、わたしが柔道をやっていたときの話をします。
わたしは小学校4年に柔道を始めました。柔道をやろうと思ったきっかけは、家のポストに投稿された何枚かのチラシの中に、柔道教室の広告が書かれていて、その広告が目に留まったときでした。

わたしはそれまで、大人しく、引っ込み思案で、人と話すのが苦手だったと思います。聴覚障害で耳が聞こえないことで、周囲の話を理解することが難しい状況・環境もあったのだと思います。小学校の先生や友だちと話す時も、自分から話す、行動するというよりは周囲に合わせることが多く、自分に自信がなかったのだと思います。

そんな時に、柔道教室のチラシを見かけて「柔道始めれば強くなれるかな?かっこよくなれるかな?」と思って、思い切って母親に伝えてみました。また、兄も柔道をやっていたので、自分もやってみたいと無意識に思いついたのだと思います。

柔道教室に入ってみると、1年くらいはずっと体力づくりのための基礎練習や(技の)打ち込みの繰り返しでした。それはそれで少しずつ鍛えられて面白かったのですが、せっかくですので、乱取り(自由に組み合ったり技を掛け合ったりする)を中心とした対人練習をもっとしたいと思いましたし、地域の大会にも出てみたいと思いました。

そこで、柔道教室の先生にお礼を言って、柔道教室を辞め、代わりに地域の柔道少年団に入ることにして、改めて柔道を本格的にスタートすることになりました。

初めは柔道の大会に出ても勝てなかったのですが、1年か2年ずっと練習を続けていると、大会でも少しずつ勝てるようになって、小学校6年の最後には、市内の大会で個人で優勝することができました。

そのころになったら自分でも大分強くなった実感があって、少しずつ自分に自信を持てるようになったと思います。また、小学校の同級生にも明るく自分から話しかけるなど性格にも変化があったと思います。

しかし、中学校に入ってから最初の1年は試練がありました。中学校も柔道を続けるつもりでしたので、柔道部に入っていました。入って最初は小学校で大会で勝った実績があるので、すぐに大会に出してもらえたり、乱取りも先輩と混じりながら練習することができました。

ですが、同じ柔道部の中に一人怖い先輩がいました。その人は、普段は明るく面白い先輩でしたが、勝負事には厳しい人で、練習時には徹底的に取り組んで、自分を追い込んでいました。当時のわたしにとっては鬼気迫るような表情に映って見え、それがたぶん怖かったのだと思います。怖がるだけならそれでよかったのですが。

しかし、その怖がりのせいで、その怖い先輩とトラブルを起こしました。それは、乱取りで実際にその怖い先輩と組み合うときのことでした。わたしはあまりにも怖かったので、本気を出せず、なかなか自分から技をかけられませんでした。また、投げられてもこらえきれずに、すぐに投げられたりしました。他の人ならもう少し頑張っていましたが、その人だけには本当の実力を出すことができませんでした。

そのことがその怖い先輩の気に触り、わたしとの乱取りが終わった後は、不機嫌になりました。そのことが何回か続くうちに、わたしに対して、だんだんと厳しく当たるようになりました。具体的には、寝技の時や立ち技の乱取りの時に、強引に激しく組まれるようになったり、荒っぽく投げられるようになりました。

といっても、当時のわたしは「なぜ、不機嫌になっているんだろう?」としか思えませんでした。自分が本気を出していないことがその先輩を不機嫌にさせていることを理解していなかったのです。それでも、その先輩が怖かったので、理由を聞くこともできず、ただ黙って受け続けていました。

( 今にして思えば、周りの先輩や同期、先生に相談してみる等、もっとやりようがあったのかもしれませんが、当時のわたしは、まだまだ人生経験が足りず、周りとのコミュニケーション方法にも慣れておらず、そんな発想すら出てきませんでした^^; )

その先輩からの恐怖に耐え続けて、1年くらいしたある日、その日もわたしは寝技で先輩と乱取りをしていましたが、その時もわたしは本気になれず、すぐに寝技をかけられたりしました。

すると、フラストレーションが溜まっていたのかその先輩が爆発して、技というか、もはや技ともいわないただの体当たりをかけられたり、色々と激しかったと思います。

その乱取りが一旦終わったら、わたしは耐えきれずに泣き出してしまいました。そうすると、周りにいた別の先輩が見かねて、わたしのところへ、筆談しながら「大丈夫か?」「何があった?」と、話しかけにきました。

わたしは理由も言わずに黙っていることに耐えきれなかったので、「なぜ先輩が怒っているのか理由がわからない」と周りの先輩に伝えました。そこで、その周りの先輩が、怖い先輩のところへ行って、その内容を伝えてもらったら、怖い先輩はそこで何かに気づいたようで、わたしの近くまで来て、筆談をし始めました。

詳しいやり取りは覚えていなかったのですが、そのときに怒っている理由を初めて教えてもらって、確か「俺が怒っているのは、本気で闘わないから」だったと思います。

また、「手を抜いていて、わざとやられているように見えるし、俺がなめられていると感じた」と思います。そこでやっと、怒っている理由がわかりました。

「ああ、そうか。本気で闘わない、全力を出さないということは、相手に失礼ということでもあるのか…」と、改めてやっと気づきました。その後、その怖い先輩と話して、これからは本気で闘うことを約束して仲直りしました。1年もかかってしまいましたが苦笑

その怖い先輩は1つ上の人で、わたしが本気で闘っても、ずっと勝てないくらい強い人でした。また、本気で闘うと決めたその日からしばらくの間は、その先輩に対して怖い気持ちが残ってはいましたが、それでも、その先輩と誓った約束のため、自分の中に残っている恐怖と闘いながら、先輩と本気で闘い続けました。そうすることで、わたしもその怖い先輩も納得して気持ちよく、勝負できたと思います。その本気で過ごしてきた日々の勝負は、その怖い先輩が中学校を卒業するまで、ずっと続きました。

ここからは余談ですが、中学校を卒業した後は、わたしは近くの工業高校へ入学して柔道を続けていました。また、怖い先輩は同じ県内で柔道の強い高校へ入学していて実力をつけていました。

その先輩と練習する機会は無くなりましたが、幸運にも大会の個人戦で2回闘う機会がありました。最初の1回目は、わたしが高校に入ってすぐぐらいの時だったと思いますが、その時は、怖い先輩と実力的にかなりの差が付けられていて、なすすべなくあっという間にやられました。

試合終了後、その先輩と会って少し話する機会がありましたが、その時に「やーい、負けてやんのー、プフッ」と子どもみたいに煽られて軽くイラっとしたので、次こそは勝ってやろうと思いました(笑)

2回目は、怖い先輩が高校の柔道を引退する最後の大会だったと思います。今度は悔いのないように力を出し切ろうと思いました。そこで、その先輩と闘うときは「一本」を取るという投げて決めるのではなく、泥臭く攻め続けてポイントを稼いでいこうと思いました。

その先輩はわたしより体重が数キロほど重く、とても投げにくいことが何回も闘っていてよくわかっていたので、攻めまくって少しでも「有効」や「技あり」のポイントを取っていこうという思惑でした。高校の個人戦の試合時間は4分間で、その4分間攻め続けるというのは、体力的に持つのか自信はありませんでしたが、とにかくそれしかないと思いました。

トーナメントでしたので、その先輩に勝ったとしてもまだ、次の相手が3~4回くらい残っていました。ですが、それでも後の体力を気にして勝てる相手ではなかったので、出し切るしかありませんでした。

いよいよ最後の勝負が始まった時、わたしは作戦通り、先輩が技をかける隙を与えないように、わたしが攻めて攻めて攻めまくろうと思って、払い腰、大内など色んな技を出しまくりました。

残り時間が1分足らずとなったころ、先輩はあまり技をかけられずに、わたしだけ攻めまくっていた有利な戦況でした。しかし、その時点でもわたしはまだ有効なポイントを1つも取ることができていませんでした。

せめて、1つでもポイントを取って勝ちたいと思い、いちかばちかで、先輩に対してまだ技をかけていない捨て身技(技の名称は忘れました…)をかけました。しかし、捨て身技を返されてポイントを取られ、その上に続けて寝技もかけられてしまいました。

しまったと思い、必死で寝技から逃げ、かろうじて「一本」が取られる30秒になる前にギリギリで逃げることができましたが、その時には既に試合終了時間でした。寝技から逃げることはできたものの、25秒以上寝技で抑えられて「技あり」を取られた状態でしたので、その瞬間に負けが決まってしまいました。(今は柔道のルールが変わって、寝技でポイントを取られる時間が短くなったようですが)

けれども、結果は負けでしたが、自分なりに精一杯力を出し尽くしたのでスッキリしていて、悔いはありませんでした。と思ったら、その後先輩とまた会って言われたことがあり、「強かった」と初めていわれました。

少しはわたしのことを脅威に感じてもらったのかな、と思ったら、先輩に実力を認められた気がしました。それは柔道をやっていて、一番嬉しかった瞬間だと思います。負けはしましたが笑

長くなってしまいましたが、わたしの「大事なこと」の一つは、「本気」だと思います。「本気」で闘うこと、「本気」で取り組むこと、それを教えられた思い出があるから、今でも、何かものごとを始めようと思ったら、「本気でやりたい!」というのが、無意識に出てきて、やり始めたらとことん熱中するようになります。そう思うと、「本気」はやっぱり「大事なこと」の一つなんだろうなと思います。

といっても、以前に会社に勤めていた時は、仕事のときに毎日毎日、「本気」でやりすぎて、体を一度壊した時期があったので、今は「本気」だけでなく「リラックス」することも大事なんだろうな…とも改めて思いますが…(笑)

ここまで読んでいただいてありがとうございます^^
また何かありましたら記事にします。

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