#17 エステル記

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レジュメ

※「※」や「⇒」で書いてる記述は、このNoteを書いてる者のメモです。他はレジュメのコピペです。

1.はじめに

(1)プリムの祭り
①アダルの月の14日と15日(現在の2月か3月)
②13日にエステルの断食を記念した断食を実行する。
*シナゴーグでエステル記が朗読される。
*ハマンの名が出てくるたびに、大騒ぎする。
③14日にもシナゴーグに集まり、律法の朗読と祈りの時を持つ。
④その後、14日~15日にかけて祝いの時を持つ(ハマンの耳、贈り物)。

(2)エステル記は、聖書の中では実にユニークな書である。
①神の御名が一度も出てこない。
②女性の名が書名になっている(エステル記とルツ記だけ)。
③新約聖書は一度もエステル記を引用していない。
④現在のところ、死海写本の中にはエステル記は含まれていない。
⑤モーセの律法への言及(いけにえの捧げ物への言及)が一度もない。
⑥祈りへの言及が一度もない。
*エズラ記とネヘミヤ記では、祈りは重要な要素であった。
*しかし、エステルやモルデカイが祈っている箇所はない(断食はある)。

(3)著者
①エズラかネヘミヤが書いたと考える人もいるが、証拠はない。
②ユダヤの伝承では、モルデカイが書いたとされるが、証拠はない。
③ペルシヤの王宮の内情に詳しいユダヤ人であることに間違いはない。

(4)歴史的背景
①エステル記は、エズラ記の6章と7章の間の出来事である。
②エズラ記で示した年表
*前538年クロス王の布告により、約5万人のユダヤたちが帰還した。
*前515年神殿は完成し、奉献式が行われた。
*前476年エステルがペルシヤの王妃になる。
*前458年エズラのエルサレム到着
*前444年ネヘミヤのエルサレム到着
③アハシュエロス(実名はクセルクセス)は、シュシャンに宮廷を設けていた。
*3つの首都があった。
*バビロン、アフメタ(エズ6:2、エクバタナとも言う)、シュシャン
*ダニエルはそこに住んだことがある(ダニ8章)。
*エステルの時代以降に、ネヘミヤはそこで王に仕えていた(ネヘ1章)。
⑤アハシュエロスは前486年に王となる。
⑥その治世の3年目(前483年)からこの物語が始まる(エス1:3)。

2.メッセージのアウトライン

Ⅰ.エステルの選び(1~2章)
1.追放される王妃ワシュティ(1章)
2.新王妃となるエステル(2章)

Ⅱ.反ユダヤ主義の台頭(3~7章)
1.ハマンの陰謀(3章)
2.モルデカイの心配(4章)
3.エステルの勇敢な行動(5~7章)

Ⅲ.神の守り
1.王の新しい詔書(8章)
2.ユダヤ人の勝利(9章)
3.モルデカイの栄誉(10章)

3.結論

(1)神の摂理
(2)ユダヤ人を巡る霊的戦い
(3)アブラハム契約

エステル記を通して、神の摂理的守りについて学ぶ。

Ⅰ.エステルの選び( 1 ~ 2 章)

1 .追放される王妃ワシュティ( 1 章)

(1)王はその治世の3年に、180日間の宴会を催した。
①全地から、主だったすべての臣下がやって来た。
②それに続いて7日間、民のために宴会を催した。
③王は王妃に、王冠をかぶって宴会場に姿を現すように命じた。
④しかし彼女は、酔客の見世物になることを拒否した。

(2)王は7人の首長たちと相談した。
①メムカンが口を開き、王妃の退位を提案し、それが受け入れられた。
②夫に従わない妻は、厳しく処分する必要があるという理屈であった。
③王の愚かな決定は、ペルシヤ王国の隅々まで伝えられた。

2 .新王妃となるエステル( 2 章)

(1)新しい王妃を選ぶために、美人コンテストが開かれた。
①集められた娘たちの中に、エステルがいた。
*エステルとは「星」という意味。
※銀座アスター
*ハダサとは「銀梅花(myrtle)」、「ミルトス(myrtus)」である。
※ハダサはへブル名
②両親は無く、モルデカイの養女となっていた(おじの娘)。
③モルデカイは、捕囚民の子孫の一人だった。

(2)娘たちは、宦官ヘガイの管理下に置かれた(ユダヤ人とは言わない)。
①エステルは、ヘガイの好意を得た(背後に神の御手が見えてくる)。

(3)王の好意を受けるエステル
※ユダヤ人だとは言わない。逆風。。
①12か月の準備期間の後、娘たちは順番に王のところに入って行った。
※エステルは飾り立てず、素の状態で入って行った。
②王の気に入られなければ、別の部屋で残りの生涯を過ごすことになる。
③神に委ね切った彼女の姿は、王に深い印象を与えた。
④かくして、エステルは、ワシュティに代わる王妃となった。

(4)忘れられたモルデカイの功績
①モルデカイは偶然にも、ふたりの宦官による王の暗殺計画を耳にした。
②彼はこれをエステルに知らせ、彼女はこれをモルデカイの名で王に伝えた。
③ふたりの宦官は逮捕され、死刑に処せられた。
④この事件は、年代記の書に書き残されたが、不思議なことが起こった。
⑤王は、モルデカイのことをすっかり忘れてしまったのである。
⑥しかし、アハシュエロス王の失念は、神から出たことであった。

Ⅱ.反ユダヤ主義の台頭( 3 ~ 7 章)

1 .ハマンの陰謀( 3 章)

(1)同調しないユダヤ人
①ハマンは、王によって高い地位に登用された。
②王の家来たちはみな、ハマンに対してひざをかがめてひれ伏した。
③しかし、モルデカイだけはそれを拒否した。
④理由を問われたとき、彼は、「自分はユダヤ人だから」とだけ答えた。

(2)ユダヤ人抹殺計画
①ハマンは、モルデカイだけでなく、ユダヤ民族を根絶やしにしようとした。
②彼は、ユダヤ人抹殺計画を実行する時期を決めるために、古代オリエントの習慣に従ってくじを引き、神意を求めた。
※プリム:プル(くじ)の複数形
③最初の月(1月)にくじを引いたところ、最後の月(12月)に当たった。
*実行までに約1年間の猶予ができた(アダルの月の13日)。
④ハマンの王への進言
*ユダヤ人の存在は王のためにならない。
*この計画には経済的利益が伴う(金庫に銀340トンが納入される)。

2 .モルデカイの心配( 4 章)

(1)灰をかぶるモルデカイ
①モルデカイは、王の門の前で叫び声を上げた。
②王国内のすべてのユダヤ人が、叫び声を上げた。

(2)エステルへの要請
①モルデカイの叫びは、エステルに非常事態を知らせるためであった。
②エステルはひどく悲しみ、着物を送って荒布を脱がせようとした。
*王宮にいた彼女には、何も知らされていなかった。
③その後ふたりは、宦官を通して意思の疎通を図った。
*自分のことが原因でハマンが陰謀をしかけたこと
*ハマンが王の金庫に納めると約束した正確な金額
*発布された法令の文書の写し
④モルデカイは、「自分の民族のために王に憐みを求めるように」と要請した。

(3)消極的な反応
①ペルシヤの法律では、王に召されないで内庭に入ると、死刑に処せられる。
②しかし、王がその者に金の笏を差し伸ばした場合は、例外的に赦される。
③王に面会を求めるためには、死刑になる覚悟が必要であった。
④しかも彼女は、このところ30日間も王のところに召されてはいなかった。

(4)モルデカイの助言の言葉
①エステルもユダヤ人虐殺法の対象であり例外ではない。
②今行動しないならば、神は別の人物を立てるであろう。
③エステルに与えられた王妃としての立場は、この時のために与えられた。

(5)エステルの応答
①エステルは、自分の判断で行動を開始する。
②シュシャンのユダヤ人共同体に、三日三晩断食してくれるように要請した。
③「私は、死ななければならないのでしたら、死にます」
④これは諦めの言葉ではなく、最善をなさる神への信頼の言葉である。

3 .エステルの勇敢な行動( 5 ~ 7 章)

(1)王の好意を得るエステル
①3日の断食の後、エステルは王宮の内庭に立った。
②王は彼女を見て、笏を差し伸ばした。「彼女は王の好意を受けた」
③彼女は、自分が設ける宴会にハマンとともに来てほしいと願った。
④それが叶えられると、再度ハマンと宴会に来てほしい、そのときには何を願っているかを打ち明けると王に告げた。

(2)ハマンの自慢
①ハマンは上機嫌で宴会から帰宅した。
②しかし、自分を恐れないモルデカイの姿を見かけると、憤りに満たされた。
③家に帰りそれを告げると、妻ゼレシュと(知恵のある)友人たちがこう助言した。
「高さ50キュビト(22メートル)の柱を立て、王の許可をもらってモルデカ
イをそれにかければよい」
④ハマンはその計画に同意する。
⑤この夫婦は、王がハマンの願いを聞き届けてくれるにちがいないという前
提のもとに、計画を進めている。

(3)眠りを奪われた王
①その夜、王は眠れなかったので、(自分のカッコイイ記録である)年代記の記録を読ませた。
*モルデカイの通報によってふたりの宦官を捕らえたという事件
*驚いたことに、モルデカイにはなんの報償も与えていない。
②王がモルデカイに何を与えるべきかを考えていたちょうどそのとき、ハマ
ンが自分の計画を持って王宮の外庭に入って来た。
③王はハマンに、「王が栄誉を与えたいと思う者には、どうしたらよかろう」とたずねた。
④ハマンはこれを自分のことと取り、図々しい提案をする。
⑤エス6:7~9
Est 6:7 王にこう言った。「王が栄誉を与えることをお望みでしたら、
Est 6:8 王のお召しになる服を持って来させ、お乗りになる馬、頭に王冠を着けた馬を引いて来させるとよいでしょう。
Est 6:9 それを貴族で、王の高官である者にゆだね、栄誉を与えることをお望みになる人にその服を着けさせ、都の広場でその人を馬に乗せ、その前で、『王が栄誉を与えることを望む者には、このようなことがなされる』と、触れさせられてはいかがでしょうか。」
⑥王となったらこのような姿になれるのだというハマンの下心が見える。
⑦王はその提案を受け入れ、そのようにモルデカイにせよと命じる。
「一つもたがえてはならない」というだめ押しの言葉まで付いた。

(4)逆転する立場
①ハマンは、モルデカイに栄誉を与えた後、頭をおおい、嘆きながら急いで家に帰った。
②ことの次第を妻と友人たちに話すと、冷たい反応が帰って来た。
「モルデカイが、ユダヤ民族のひとりであるなら、あなたはもう彼に勝つことはできません。きっと、あなたは彼に負けるでしょう」
③ハマンの友人たちは「知恵ある者たち」と呼ばれているが、これは皮肉。

(5)王の前でとりなすエステル
①エステルが王の前に心を明かす時が来た。
②彼女は、自分のために、またユダヤ民族のために、命乞いをした。
③王は、予想もしなかった内容に驚いた。
「そんなことをあえてたくらんでいる者は、いったいだれか。どこにいるのか」
「その迫害する者、その敵は、この悪いハマンです」
④ハマンは、王と王妃の前で震え上がった。

(6)柱にかけられるハマン
①王の命令によって、ハマンは、モルデカイのために用意しておいた柱にかけられた。
②ハマンの死は、自業自得である。

Ⅲ.神の守り

1 .王の新しい詔書( 8 章)

(1)没収されるハマンの財産
①アハシュエロス王は、ハマンの家を没収し、それをエステルに与えた。
②ハマンから取り返した指輪をモルデカイに与え、彼を高い地位に登用した。

(2)取り消せない王の文書
①当時のペルシヤの習慣では、王の命令で発布された法律は取り消せない。
②そこで王は、エステルとモルデカイに新しい法を作る許可を与えた。
③ユダヤ人を襲う者に反撃し、滅ぼすことを許すという法律ができた。

(3)祝宴を張るユダヤ人
①新しい法令が届いたどの州、どの町でも、ユダヤ人は歓喜に満たされ、祝宴を張って、その日を祝日とした。
②ユダヤ人への恐れが広がった。
③ユダヤ人とその敵の立場が逆転した。

2 .ユダヤ人の勝利( 9 章)

(1)勝利の中での慎み
①相反する二つの法令があった。
*ユダヤ人の敵はユダヤ人を虐殺することを許された。
*ユダヤ人は自己防衛のために抵抗することを許された。
②大多数の民衆は、中立の立場を取った。
③戦いの結果は、ユダヤ人の大勝利であった。
*帝国内全体で、ユダヤ人を憎む者たち75,000人が殺された。
*第二の法令がなかったら、数十万人のユダヤ人が殺されていただろう。
④「ユダヤ人たちは、獲物には手をかけなかった」という表現が3回。
*ユダヤ人たちは単なる暴徒ではなかった。

(2)祝宴の日
①第12の月の13日に敵を破ったユダヤ人たちは、14日を祝宴と喜びの日と
した。
②シュシャンにいるユダヤ人たちは2日間戦ったために、他の地区より1日
遅れの15日を祝宴の日とした。
③この祝宴は、プル(くじ)にちなんでプリム(プルの複数形)と呼ばれた。

3 .モルデカイの栄誉( 10 章)

①ユダヤ人モルデカイは、ユダヤ民族の間で深い尊敬を受けただけではなく、メディアとペルシヤの王の年代記にその名を残すこととなった。

結論

1 .神の摂理

( 1 )神の摂理の例
①エステルは絶妙なタイミングで王妃に選ばれた。
②モルデカイは王を暗殺する陰謀を発見した。
③くじを引いてユダヤ人虐殺の日を決めたが、それが年の終わりであった。
④王はひと月の間エステルを無視していたが、彼女に行為を示した。
⑤王は、エステルが 2 度目の宴会を開くことを認めた。
⑥王の不眠が、モルデカイの過去の善行を思い出すきっかけになった。

( 2 )神の御名は出てこないが、神の御手は随所に現れている。

2 .ユダヤ人を巡る霊的戦い

( 1 )ユダヤ民族迫害の背後には、サタン的な力が働いている。
①ユダヤ民族は、歴史上 11 回にわたって民族抹殺の危機に直面してきたといわれている。
②反ユダヤ主義は、神の計画の否定につながる。
③ハマンは、反キリストの型である。

3 .アブラハム契約

( 1 )神は契約を守るお方である。
①クロス王の勅令以降、ユダヤ人たちは約束の地に帰還し、モーセの律法に
従って生きるように命じられた。
②しかし、約束の地に帰還したのは少数のユダヤ人たちであった。
③モルデカイとエステルも、約束の地に帰還しなかったユダヤ人である。
④彼らは「イスラエルの残れる者」ではなく、霊的状態も貧弱であった。
⑤ただ、イスラエルの神が自分たちを守ってくださることは信じていた。
⑥そして神は、離散の地に住むユダヤ人たちをも守られた。

( 2 ) 3 つの祭り
①過越の祭り(パロの迫害)※エジプトの話
②プリムの祭り(ハマンの迫害)
③ハヌカの祭り(アンティオコス・エピファネスの迫害)
※アレキサンダー帝国を分割した国の1つ。セレウコス朝シリアの王。

( 3 )戦いの中にあった帰還民は、エステル記の内容によって大いに励まされた。

( 4 )ロマ 5 : 8 ~ 9
Rom 5:8 しかし私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死んでくださったことにより、神は私たちに対するご自身の愛を明らかにしておられます。
Rom 5:9 ですから、今すでにキリストの血によって義と認められた私たちが、彼によって神の怒りから救われるのは、なおさらのことです。
※帰還民でなくても救うのだから、帰還民ならなおさら救う。

感想

エステル記は、祭りになってるだけあって、
分かりやすく盛り上がりますね。

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