#33 ミカ書

本日はこちら。

レジュメ

※「※」や「⇒」で書いてる記述は、このNoteを書いてる者のメモです。他はレジュメのコピペです。

1.はじめに

(1)ミカ書の位置づけ
①大預言書(the Major Prophets)
*イザヤ書、エレミヤ書、哀歌、エゼキエル書、ダニエル書
②小預言書(the Minor Prophets)
*ホセア書からマラキ書までの12書。
③ミカ書は、捕囚期前預言書(12)のひとつである。

(2)ミカという人物(1:1)
Mic 1:1 ユダの王ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代に、モレシェテ人ミカにあった【主】のことば。これは彼がサマリヤとエルサレムについて見た幻である。
①ミカはミカイヤの短縮形である。「誰が【主】のようであろうか」
②彼は、前8世紀の預言者
*イザヤと同時代の預言者(恐らくイザヤの友人)
*イザヤは都会の預言者、ミカは田舎出身の預言者である。
③彼の出身地は、モレシェテ・ガテと呼ばれる町(エレ26:18)。
*エルサレム南西30キロにある町
※ガテ:ペリシテ人の地

(3)ミカが活動した時代
①ユダの王ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代
*ヨタムは、短命の王であった。
*アハズは悪王で、ユダ(南王国)に偶像礼拝をもたらした。
*ヒゼキヤは善王であった。
②ミカは、アッシリヤの攻撃という文脈の中で、【主】のことばを民に伝えた。
③ミカの預言は、主にサマリヤ(北王国)に関するものであった。
*聴衆は、主にユダ(南王国)の住民たちであった。
※サマリヤ:北王国の首都。

2.アウトライン

Ⅰ.メッセージ 1:迫り来る裁き(1~2章)
1.裁きの預言
2.嘆き
3.ユダの罪
4.回復の預言
Ⅱ.メッセージ2:裁きの後に来る祝福(3~5章)
1.指導者たちに下る裁き
2.御国(千年王国)の祝福
Ⅲ.メッセージ3:罪の糾弾と祝福の約束(6~7章)
1.罪を裁かれる【主】
2.回復の約束

結論
1.時代背景
2.裁きの基準
3.イスラエルの残れる者

ミカ書の内容について学ぶ。

Ⅰ.メッセージ 1 :迫り来る裁き( 1 ~ 2 章)

1.裁きの預言(1:2~7)
Mic 1:2 すべての国々の民よ。聞け。/地と、それに満ちるものよ。耳を傾けよ。/神である主は、あなたがたのうちで証人となり、/主はその聖なる宮から来て証人となる。
(1)神の法廷のイメージ
①法廷が招集される。
②「聞け」(ヘブル語のシャマ。申6:4参照)で始まっている聖句
*1:2、3:1、6:1。ミカ書の3区分の始まりとなっている。
③神は、世界を証人に招いて、被告人(イスラエルの民)を裁こうとしている。
④神の裁きの結果
Mic 1:4 山々は主の足もとに溶け去り、/谷々は裂ける。/ちょうど、火の前の、ろうのように。/坂に注がれた水のように。
*サマリヤ(北王国)は滅亡し、その民はアッシリヤ捕囚に引かれて行く。

(2)裁きの理由
①偶像礼拝の罪。神の目から見ると霊的姦淫に当たる。
②裁かれるのはサマリヤだけではなく、ユダもまたそうである。

2.嘆き(1:8~16)
(1)アッシリヤはサマリヤ(北王国)を征服した後、ユダにまで迫って来る。
①ミカは、喪に服す。「はだしで、裸で歩こう」
②ミカは、ユダの地が荒れ果てることを思い、嘆き悲しむ。
*アッシリヤの侵攻では、エルサレムは滅びない。
*ユダの地の荒廃は、最終的にはバビロンの侵略によって成就する。

(2)預言者たちに聞き従わないなら、神の民には希望はない。
①それはまことに「いやしがたい打ち傷」である。

3.ユダの罪(2:1~11)
(1)裕福な上流階級の人たち(指導者たち)が、弱者を搾取している。
①彼らの罪の本質は、貪欲である。
②イザヤは都会での状況を語り、ミカは田舎での状況を語っている。
③この時代、都会から田舎に至るまで、貪欲の罪が国中に蔓延していた。

(2)神は、民の「道徳的罪(悪)」に対して「わざわい」をもって応える。
①敵がやって来て、彼らの土地を略奪する。
②その土地は、元は貧しい者たちから奪ったものである。

4.回復の預言(2:12~13)
Mic 2:12 ヤコブよ。/わたしはあなたをことごとく必ず集める。/わたしはイスラエルの残りの者を必ず集める。/わたしは彼らを、おりの中の羊のように、/牧場の中の群れのように一つに集める。/こうして人々のざわめきが起ころう。
(1)ユダは裁きに会うが、神は、ご自身の民を見捨ててはおられない。
①「イスラエルの残れる者」の存在。救いを受ける真の信仰者たち
②大患難時代の最後に、ユダヤ人の3分の1が残る(ゼカ13:8〜9)。
③彼らは、「逃れの地」に避難するので生き残る。
*「おりの中の羊」とは、「ボツラの羊」である。
*イスラエルの民が逃れる場は「ボツラ」である。
*ここは現在のヨルダンのペトラという町である。

(2)この預言は、ミカの時代の「残れる者」たちを大いに励ました。

Ⅱ.メッセージ 2 :裁きの後に来る祝福( 3 ~ 5 章)

※メシアがベツレヘムに生まれるというのはここです!

1.指導者たちに下る裁き(3章)
(1)イスラエルの家の指導者たち
①彼らは、神の御心を知りながら、それとは正反対のことをしていた。
②彼らは、民衆を搾取し、苦しめていた。
③彼らは、民を苦しめながら、厚かましくも【主】の助けを求めて祈った。

(2)偽預言者たち
①彼らは、民を導く代わりに彼らを惑わせ、偽りの道へと導いていた。
②彼らは、自らの賜物(※預言の賜物とは?能力?地位?)を、私腹を肥やすために用いていた。
③彼らは、神からの答えがないので、すべて恥を見る。
④真の預言者は、人を恐れず、勇気をもって神の義と裁きを宣言する。

2.御国の祝福(4~5章)※ここ大事
Mic 4:1 終わりの日に、/【主】の家の山(=エルサレム)は、山々の頂に堅く立ち、/丘々よりもそびえ立ち、/国々の民(=異邦人)はそこに流れて来る。
Mic 4:2 多くの異邦の民が来て言う。/「さあ、【主】の山、ヤコブの神の家に上ろう。/主はご自分の道を、私たちに教えてくださる。/私たちはその小道を歩もう。」/それは、シオンからみおしえが出、/エルサレムから【主】のことばが出るからだ。
Mic 4:3 主は多くの国々の民の間をさばき、/遠く離れた強い国々に、判決を下す。/彼らはその剣を鋤に、/その槍をかまに打ち直し、/国は国に向かって剣を上げず、/二度と戦いのことを習わない。
※イザヤ書でも似たような箇所がある。ミカがおそらく先。
※Mic 4:3はニューヨークの国連本部の記念碑に書いてある。
(1)エルサレムの高揚
①3:12は、エルサレムの荒廃を預言していた。近い将来に起こる出来事。
②4:1〜5は、エルサレムの高揚を預言している。遠い将来に起こる出来事。
③この預言は、メシア的王国の到来を告げたもの(イザ2:1〜4と同じ)。

(2)エルサレムは、異邦人諸国の注目の的となる。
①異邦人たちは、エルサレムに上って来るようになる。
②その目的は、メシアから直接教えを聞き、その道を歩むためである。

(3)メシア的王国では世界的平和が訪れる。
①メシアが国際紛争を裁き、公平な判決を下すからである。
②すべての争い事が解決されるので、戦争の仕方を学ぶ必要がなくなる。

(4)メシアの出現
Mic 5:2 ベツレヘム・エフラテよ。/あなたはユダの氏族の中で最も小さいものだが、/あなたのうちから、わたしのために、/イスラエルの支配者になる者が出る。/その出ることは、昔から、/永遠の昔からの定めである。
※ベツレヘム:パンの家の意味。
①メシア誕生の地は、ユダ部族の領地にあるベツレヘムである。
②この聖句は、メシアが人間として誕生することを教えている。
③メシアは、人性と神性の両方を持っている。
*イザ9:6〜7、エレ23:5〜6などでも預言されている。
④イエスがベツレヘムで誕生されることが、700年も前から預言されていた。
Mat 2:5 彼らは王に言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者によってこう書かれているからです。
Mat 2:6 『ユダの地、ベツレヘム。/あなたはユダを治める者たちの中で、/決して一番小さくはない。/わたしの民イスラエルを治める支配者が、/あなたから出るのだから。』」

Ⅲ.メッセージ 3 :罪の糾弾と祝福の約束( 6 ~ 7 章)

1.罪を裁かれる【主】(6章)
(1)【主】のことば
①【主】の側には何の落ち度もない。
②イスラエルの民に残されている道は、罪を告白し、悔い改めることだけ。

(2)民の言葉
①彼らの罪の認識は表面的なもので、不十分である。
②彼らは、【主】にささげるいけにえの可能性を数え上げている。
*「全焼のいけにえ」、「一歳の子牛」、「幾千の雄羊」、「幾万の油」
*「私の犯したそむきの罪のために、私の長子をささげるべきだろうか」
③内面的な悔い改めがないなら、いけにえが神に喜ばれることはない。

(3)ミカの言葉
Mic 6:8 主はあなたに告げられた。/人よ。何が良いことなのか。/【主】は何をあなたに求めておられるのか。/それは、ただ公義を行い、誠実を愛し、/へりくだって/あなたの神とともに歩むことではないか。
①「公義を行い」とは、モーセの律法を正しい動機で実行すること。
②「誠実を愛し」とは、隣人愛の実践。
③「あなたの神とともに歩む」とは、日々神との交わりを楽しむということ。

2.回復の約束(7章)
Mic 7:11 あなたの石垣を建て直す日、/その日、国境が広げられる。
Mic 7:12 その日、アッシリヤからエジプトまで、/エジプトから大川まで、/海から海まで、山から山まで、/人々はあなたのところに来る。
(1)エルサレムの回復と拡張の預言
①回復の時になると、2つの主要な国からイスラエルの民が帰還して来る。
*アッシリヤとエジプト
②民は、【主】が自分たちの羊飼いとなってくださるようにと祈る。

(2)ミカの祈り
Mic 7:18 あなたのような神が、ほかにあるでしょうか。(=ミカイヤ!)/あなたは、咎を赦し、/ご自分のものである残りの者のために、/そむきの罪を見過ごされ、/怒りをいつまでも持ち続けず、/いつくしみを喜ばれるからです。
Mic 7:19 もう一度、私たちをあわれみ、/私たちの咎を踏みつけて、/すべての罪を海の深みに投げ入れてください。
Mic 7:20 昔、私たちの先祖に誓われたように、/真実をヤコブに、/いつくしみをアブラハムに与えてください。
①彼は、自分の名前を使って、言葉遊びをしている。
②イスラエルの民をエジプトから救出した方は、偉大な神、比類なき神である。
③出エジプトを下敷きに、終末時代のイスラエルの救いについて語る。
④終末時代における救いも、アブラハム契約に基づいて行われる。
⑤メシアであるイエスの誕生もまた、アブラハム契約に基づいたものである。
⑥私たちも、主イエスを通してアブラハム契約の「霊的祝福」に与っている。

結論

1 .時代背景
( 1 )前 8 世紀までは、イスラエルとユダは、古典的農業経済であった。
①富の分配が比較的平等に行われていた。
( 2 )次第に貪欲な物質主義が支配するようになり、貧富の差が広がって行った。
( 3 )裕福な地主はより裕福になり、農民たちはより貧しくなって行った。
( 4 )農民たちは都市に逃れ、そこで上流階級の搾取を受けることになった。
( 5 )外国との商取引により、偶像礼拝と堕落した道徳観が持ち込まれた。
( 6 )以上のことは、教会が現在(=21世紀)直面している問題そのものである。

2 .裁きの基準
( 1 )モーセの律法である。
①モーセの律法は、シナイ契約の条項である。
②それに従うなら祝福が、背くなら呪いが下る(申 28 章)。
③罪の赦しは、心の割礼といけにえによって与えられる。

( 2 )新約聖書の信者には、キリストの律法が適用される。
①キリストの律法は、新しい契約の条項である。
②罪の赦しは、罪の告白によって与えられる。
※いけにえ不要。

3 .イスラエルの残れる者
( 1 )裁きの預言と、それに続く回復の預言
( 2 ) 3 つのメッセージのすべてに、「イスラエルの残れる者」が出てくる。
①第 1 のメッセージ
Mic 2:12 ヤコブよ。/わたしはあなたをことごとく必ず集める。/わたしはイスラエルの残りの者を必ず集める。/わたしは彼らを、おりの中の羊のように、/牧場の中の群れのように一つに集める。/こうして人々のざわめきが起ころう。
②第 2 のメッセージ
Mic 5:7 そのとき、ヤコブの残りの者は、/多くの国々の民のただ中で、/【主】から降りる露、/青草に降り注ぐ夕立のようだ。/彼らは人に望みをおかず、/人の子らに期待をかけない。
Mic 5:8 ヤコブの残りの者は異邦の民の中、/多くの国々の民のただ中で、/森の獣の中の獅子、/羊の群れの中の若い獅子のようだ。/通り過ぎては踏みにじり、/引き裂いては、一つも、のがさない。
③第 3 のメッセージ
Mic 7:18 あなたのような神が、ほかにあるでしょうか。(=ミカイヤ!)/あなたは、咎を赦し、/ご自分のものである残りの者のために、/そむきの罪を見過ごされ、/怒りをいつまでも持ち続けず、/いつくしみを喜ばれるからです。
( 3 )以上の預言は、当時の信仰者たちへの励ましであった。
①と同時に、今の私たちへの励ましでもある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?