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石積みが織りなす曲線美"沖縄読谷村 座喜味城跡"

沖縄へ行った際に宿泊先の読谷村にある"座喜味城跡"を訪れた。
沖縄では海や水族館の他に琉球王国時代に王や英雄が築いたグスクと呼ぶ、お城の跡地を楽しむことができる。
中城城跡や今帰仁城跡など有名だが、この座喜味城跡もかなり見応えがある。

座喜味城は、築城家の名将護佐丸によって築かれた。国王に対する勢力を監視する目的でつくられ、1420年に完成した。敵からの防御や長浜港を控えた地の利を踏まえて座喜味に築城された。
2000年には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」のひとつとして、世界遺産に登録された。


座喜味城跡入り口



普段あまり城跡を注意深く見ることはないが、独特な歴史と文化を持つ沖縄の地で、築城のレイアウトや技術そのものから読み取れることが多くある。

1.奥の様子を切り取るアーチ石門

アーチ石門


城門は沖縄に現存する最古のアーチ門だ。アーチの中央部は強度を持たせるためにくさび石が打ち込まれている。1400年代にこのような技術が沖縄で生まれていたとは、感慨深い。情報が簡単に手に入らない時代に試行錯誤しながら、技術が鍛錬されたのだろう。
空が広い沖縄で、水平方向に続く城壁にくり抜かれたアーチ門。そこに切り抜かれた奥に見える景色は、何とも不思議で先に進みたくなる。

2.石積みに進化を読み取る

城壁
石積み

石積はその上に大きく高い建物を建てるために、段階的に発展を遂げてきた。今帰仁城は硬くて加工がしづらい「古生代石灰岩」が使われ、そのまま積み上げる「野面積」という工法がとられていた。一方座喜味城では「琉球石灰岩」が使われ、お豆腐のように四角く加工して積み上げる「布積み」と5角形、6角形に加工され噛み合わせる「相方積み」が見られる。相方積みは、石同士の接地面が多く強度が最も高い工法だ。隙間なく石を噛み合わせながら3次元に曲面を構成していく。この時代に果たしてどのような工程を経て造られたのだろうか。青い空に城壁の石同士が生み出す、美しいラインを見ながら想像する。

3.読谷村を一望、沖縄の一味違う景色

高台からの眺望
読谷村と海
城壁

座喜味城の城壁は垂直・水平方向に複雑に波打っている。これは建物の強度を保つためであるのに加えて、敵が侵入した際に、行き止まりまで誘い込むような複雑な造りになっている。今だったらスケールの大きな「かくれんぼ」ができそうだ。進んでも進んでも、曲面による幾重もの城壁が異なるシークエンスを生み出している。
城壁に厚みがあるため、上端にも登ることができる。
そこからは読谷村が一望できる。
軍事要塞として役割を果たしてきた座喜味城から見える村の景色や海は、ホテルから見るそれらとは別の景色に見える。

オリオンビールを飲みながら、たまにプールや海に入ってまったり過ごす沖縄。同時に至る所に残る歴史の足跡に触れることができる沖縄。
まだまだ知らない沖縄をこれからも繰り返し訪れ、理解を深めて行きたい。

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