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浅草のシーフードレストランでカキグラタン、白子のムニエル、サンマの香草焼き シチリアの島ワインとのシンクロ

浅草のシーフードレストランIBUKI(イブキ)を訪問。

ネットでお店探しをしているとシーフードメニューが充実、また、シチリア島のワインを常備とのことで、最近イタリアワイン、特に海沿いのワインに傾倒している私は迷わず予約の電話を入れた。
ここ最近1、2ヶ毎に会っている友人が先に到着してビールを始めていた。子供の歳も近く家族ぐるみの付き合いだが今日はパパどうしで。小走りで額に少々汗しつつ到着した私もビールで水分補給しつつ、メニューを眺める。真鯛カブト トマトソース煮、タコとセロリのセミドライトマトマリネ、炙り金目鯛のカルパッチョ、寒ブリ ガーリックステーキなど、心躍るメニューが手書きの黒板に溢れている。更に別の黒板はシーフードパスタメニューで埋め尽くされていた。

悩んだ挙句、本日の鮮魚盛り合わせサラダ、カキグラタン、白子のムニエル焦がしバターソース、新サンマ ハーブパン粉焼きを注文。料理に合わせてシチリア島の白ワインをボトルで。シチリア固有の品種グリッロで造られたワイン。グリッロの栽培はシチリア西部に限られていて、酒精強化ワインのマルサラにも用いられる。グリッロの香りは酸化のニュアンスを帯びやすいので、還元的な醸造方法が多く行われる。このワインも4ヶ月ほどステンレスタンク熟成されていて樽の酸化的環境を避けた造りだ。よくあるグリッロの酸化したニュアンスがなく、グリッロ本来の味わいをフレッシュに体感できる。

ペッレグリーノ, サリナーロ, グリッロ, イタリア シチリア, 2017, 5,800円(レストラン価格)
Cantine Pellegrino, Il Salinaro, Grillo, D.O.C. Sicilia, Italy, 13%

香りには磯や貝殻のニュアンスに加えてワラのようなヒントとドライハーブ、穏やかでみずみずしいグレープフルーツの柑橘香も広がる。が、潮風の中を歩いているような海のワイン特有のフレーバーがなんといっても魅力。
風味にはみずみずしさが豊かで穏やかで主張しすぎない優しいタッチの果実味、酸味は中庸、ヨードや苦味が心地よいアクセントになりつつも全体的に大らかなリズム、微かに蜂蜜のヒントがほのかに鼻腔を抜ける。

まずは本日の鮮魚盛り合わせサラダに。

3点、5点、7点盛りから選べるので3点盛りを選んだが、運ばれてきたのはイカ、タコ、ブリ、ヒラマサ、貝2種と明らかに多い。それでもシェフは仕上げた料理を淡々と、静かにテーブルに置く。ワインの潮の香りがイカ、タコの磯の香りと素晴らしい相性。相性: ★★★★☆。
一方、喧嘩はしないがブリにはワインがやや圧されるか。相性: ★★★☆☆

続いてカキグラタンに。

ゴロゴロと入ったプリプリのカキの旨味とほろ苦さが、軽く焦げ目の入ったホワイトソースに絡まり幸せなハーモニーを奏でる。そこにワインの潮の香りと塩味がソースのコクに、牡蠣の磯の香りに絶妙に寄り添う。
相性: ★★★★☆

続いて白子のムニエル 焦がしバターソース。

見た目は弾力が強そうだが口に入れると柔らかくとろける白子。焦がしバターでコクが引き上げられ、香草と塩でしっかりと引き締められている。そこにワインの穏やかな果実味と塩味がぴたりと寄り添う。
相性: ★★★★☆

新サンマ ハーブパン粉焼きに。

サンマのリッチな脂と磯の香りが、こんがりと焼かれた表面のパン粉と香草に相性が良い。サンマのしっかりとした脂に合わせて、塩気がしっかりと効かされている。ワインはサンマのリッチで個性のある脂をも絶妙に包み込み、料理の塩気とのシンクロ率が驚くほど高い。シチリアの島ワインの底力を楽しんだ。
相性: ★★★★☆

料理のソースが美味しく余すことなく楽しもうとバケットを注文する。

良心的な価格設定でシーフード料理が充実。お料理はややしっかりとした火入れ具合、それに調和するはっきりと効いたハーブや塩味の味付けに、グラスがどんどん進んでしまう。他のシーフードも体験したいので再訪することになりそうだ。

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