見出し画像

兵庫県産干しカレイのオーブン焼き サルディーニャ島のヴェルメンティーノの完熟果実と潮の香り

ウィークリーの恒例になりつつある魚の干物のオーブン焼き。
今回は兵庫県産干しカレイ。カレイの漁獲高は北海道が全体の6割ほどを占める圧倒的な1位、そこに一桁パーセントで2位島根、3位鳥取、そして4位に今回のカレイのふるさとの兵庫。但馬の国からいらっしゃったカレイを、サツマイモ、レンコン、シイタケ、ネギと一緒に焼く。
海と土の恵みを滋養に寒さを乗り切ろう。
過去にカレイはバーベキューでグリルしたものを島根ワイナリーの甲州に、また煮付けにしてニュージーランド産のピノ・ノワールに合わせている。

干しカレイに島根の甲州

カレイの煮付けにニュージーランドのピノ・ノワール

料理に合わせたワインは、イタリア サルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種のものを2つ、ロンバルティア州のフランチャコルタ(シャルドネ、ピノ・ビアンコ、ピノ・ネロ)、シチリア島のカリカンテ品種の計4種類。
実食の結果、焼き目が付いてハラリとほぐれるカレイの身の上品な脂に、サルディーニャニャ島の樽香の効いたリッチな果実味のヴェルメンティーノの相性が最も良かった。
果実味がはっきりと出ているヴェルメンティーノ2種との相性は良かったが、植物的、鉱物的なニュアンスも強かったフランチャコルタとカリカンテとの相性は残念ながら良くなかった。
オーブン焼きのカレイの淡白で上品な脂は、ワインの果実味に誘導させるのが良い。

さて、それぞれのワインと料理との組み合わせについて。

ピエロ・マンチーニ, プリモ, ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ 2021, 2,049円
Piero Mancini, Primo, Vermentino di Gallura, DOCG, Italy, 2021, 14%

サルディーニャ島で唯一のDOCG格付けのヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ。
香りにはリンゴのリキュール、林檎酒、ピンクグレープフルーツ、グァバにグレープフルーツの果皮、レモングラスなどのハーバルな香り。ほんのりと樽香、白胡椒のスパイスのタッチ。海岸を歩いているような潮の香りも。
風味は豊満でジューシーな完熟した果実味、塩味がワインにメリハリを与える。清々しい酸味、余韻にはまったりとした乳酸飲料のようなタッチ。鼻腔を樽香が力強く抜ける、ほろ苦さを伴う充実したリッチな余韻。
干しカレイのオーブン焼きにワインを合わせる。ワインの風味のボリュームが大きく料理のそれをやや圧倒するが、それでもしっかりと包容。グリルのほんのりとした焦げ目は樽香との相性よろしく、ワインが持つほのかな潮の香りは口内でハラリとほぐれるカレイの身に命を吹き込むように活力を与え、旨味が立ち上がる。相性: ★★★★☆

レ・マルケジーネ, フランチャコルタ, ブリュット, ニテンス, イタリア, NV, 2,970円
Le Marchesine, Nittens Brut, Franciacorta, Italy, 12.5%

イタリア・ロンバルディア州でネゴシアンを家業としていたピアッタ家が1985年に設立したワイナリー。ステンレスタンクで発酵させたワインを24ヶ月超、瓶内二次発酵(+熟成)。ブドウはシャルドネ、ピノ・ビアンコ、ピノ・ネロを使用。
香りにはフレッシュなグレープフルーツ、レモンなど快活な柑橘香、柑橘果皮のビターなフレーバー、ほんの微かに酵母の香り、ほしわらや海藻などのヨードのニュアンスも。
風味のなかの果実味の主張は控えめでほろ苦さ、切れ味のあるシャープな酸味、ミネラルのニュアンスに富む。果実味豊かなタイプとは一線を画し一貫してドライ。
干しカレイのオーブン焼きに。ワインのビターな風味やどこかヴェジェタルなニュアンスがカレイの生臭みを惹起し口内は耐えられない状態に。。。相性: ★☆☆☆☆

ルナエ, エチケッタ グリージャ, コッリ・ディ・ルーニ, ヴェルメンティーノ, イタリア, 2021, 2,492円
LVNAE, Colli Di Luni, DOC, Vermentino, Italy, 2021, 12.5%

トスカーナ州とリグーリア州の境にワイナリーと畑をもつ。コッリ・ディ・ルーニは両州にまたがる産地の呼称だ。ワイナリー名のルナエの由来はラテン語の「Lunae(月)」。古代ローマ時代、ワイナリーの土地の近くに「Luna(イタリア語で月)」という名の町があり、高品質なワインを造っていた町でもあったことにあやかった。
香りには青リンゴ、メロン、スイカズラ、ほのかにグァバ、白桃の果実香に白い花のフラワリーなフレーバーが豊かに。穏やかに混じる潮の香りがワインのフレーバーを完成させる。
風味にはみずみずしいピュアな青リンゴジュースを思わせる清々しくハリのある果実味、酸味は中庸からやや穏やか。余韻にほのかに舌にフェノリックなタッチとほろ苦さが心地よい。
干しカレイのオーブン焼きに。ワインの塩味とハリのある果実味の風味バランスに、カレイの穏やかな脂と干されてキュッと凝縮された旨味に調和。相性: ★★★☆☆

クズマーノ, アルタモーラ, エトナ ビアンコ, カリカンテ イタリア, 2020, 2,464円
Cusumano, Alta Mora, Etna Bianco DOC, Sicilia, Italy

2000年創業の比較的新しいワイナリーで、その品質とコストパフォーマンスの高さで人気。創業以前はバルクワインを生産していたが元詰めに参入。いきなり創業年のヴィンテージのフラグシップワイン(ノア)でトレビッキエーリ(著名ワイン評論誌ガンベロ・ロッソで満点の三つ星グラス)を獲得し注目される。このワインはヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山の北斜面の畑で栽培されたブドウから造られる。
香りには潮のニュアンスをたっぷり。グレープフルーツ、ライム、スウィーティーの果実香。青い果皮の柑橘香がピンポイント海藻、ヨードが支配的、微かにスモーキー。セルフィーユの軽快なハーブ、アカシアの黄色いフラワリーな香りも。
風味にはみずみずしくフレッシュでハリのある活力のある果実味、シャープな酸味、中盤から余韻にかけてほろ苦さがゆるゆると残る。ミネラルのニュアンスに富む魅力的なワイン。
干しカレイのオーブン焼きに。柑橘果皮のハリが生臭みを惹起してしまうが、ワインに富むミネラルのニュアンスにより相性は多少ながらリカバリー。相性: ★★☆☆☆

この記事が参加している募集

おうち居酒屋やってみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?