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ファミマ熟成豆板醤のコクの海老チリ ギリシャの古木ブドウの深淵な味わい

ファミマでシーフードのおつまみを探していると海老チリを発見。
熟成豆板醤のコクというフレーズが目を引く。税込355円。

ちなみに先日のローソンのエビチリは横浜重慶飯店監修で(税込430円)、スペインのメンシア品種が素晴らしい相性だった。

今回合わせたのはオーストラリアのスパークリングワイン(シャルドネ主体)、白ワインはイタリア シチリア島のカリカンテ品種、赤ワインはカラブリア州のガリオッポ品種とギリシャのクシノマヴロ品種。合計4種類。
実食の結果、カラブリア州のガリオッポ品種が平凡な相性だったのを除き、どれも素晴らしい相性を見せた。
特にギリシャのクシノマヴロとの相性は特筆。
荒々しい果実味が6年の熟成を経て程よく落ち着き、エビチリの甘辛のソースによく馴染んだ。

さて、料理とそれぞれのワインの相性について。

キリ・ヤーニ, カリ・リーザ, P.D.O.アミンデオン, マケドニア, ギリシャ, 2,860円
Kir-Yianni, Kali Riza, Greece

ワイナリーのルーツは1879年からワイン造りを行ってきた老舗ワイナリー「ブタリ・ワイン」。
キリ・ヤーニは年に数本開栓する私のお気に入りの造り手。

今回のワインは自根で育つ樹齢60年を超えるクシノマヴロから造られる。
ブドウ根アブラムシの対策として台木に耐性のあるアメリカ系のブドウ木を植え、そこに接ぎ木するのが一般的だがそれをしないのが自根育ち。
ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュといった名産地においてもこのフィロキセラ対策のためにアメリカ系のブドウが根になっていることは、ワインを勉強し始めると誰しもが受ける大きな衝撃だろう。
ちなみにクシノマヴロはギリシャ語で「酸と黒」の意味を持つ、ギリシャ固有の品種。北ギリシャ原産。
香りにはドライフルーツ、プルーン、ブルーベリージャムの濃縮した甘やかな果実香に、ドライローズのフラワリーなタッチ。黒胡椒と茎か微かにヴェジェタルなスパイス。
よく溶け込んだバニラ香、海岸を歩いているような鼻に微かな渇きを覚える潮の香り。
味わいにはカドの取れた滑らかな口当たりの果実味ながら、タンニンはまだまだ力強くじっとりと舌に残る。塩味が強く舌に残るのが印象的。
果実味の熟成感、潮のニュアンスに富む魅力的な海の国の赤ワイン。
海老チリに。ワインの力強くもやや甲高い果実味がソースの辛みと、柔らかいエビの旨みに絶妙に調和。塩味がエビの旨味に活力を与える。タンニンがしっかりと唐辛子と甘辛ソースを包容する。相性: ★★★★★

デ・ボルトリ, ラ ボエム キュヴェ ブラン, ヤラ・ヴァレー, オーストラリア, 2,586円
De Bortoli, La Boheme Cuvee Blanc, Yarra Valley, Australia

1924年に創業者ヴィットリオ・デ・ボルトリが北イタリアからオーストラリアに移住してから100年。
過去にデ・ボルトリはいくつか飲んでいてそのコストパの高さには驚かされている。

今回のスパークリングワインは、オーストラリア出身のソプラノ歌手ネリー・メルバの代表作のオペラ「ラ・ボエム」をイメージして造られたワイン。
シャルドネ93%、ピノ ノワール7%。
香りにはリンゴジャム、リンゴのコンポートの厚みのある果実香にカスタードクリーム、レモンカードのまったりとした香り、バニラ香も。
微かに黄色い花、アカシアハチミツも。
味わいにはフレッシュさを保ちつつ心地よい複雑さと奥行き、シャープな酸味。
ゆったりと中庸からやや長めの余韻、鼻腔を微かに柑橘果皮や植物的なタッチが抜けて爽やか。
海老チリにワインを合わせる。
辛味に引き立てられたエビの旨味、甘辛のソースに、ワインのやや厚みのある果実味が絶妙に調和、甘と辛の強めの味付けが次のグラスを呼び、エビのコクも力強く立ち上がる。相性: ★★★★☆

クズマーノ, アルタモーラ, エトナ ビアンコ, カリカンテ イタリア, 2020, 2,464円
Cusumano, Alta Mora, Etna Bianco DOC, Sicilia, Italy

創業以前はバルクワインを生産していたが2000年に元詰めに参入。
いきなり創業年のヴィンテージのフラグシップワイン(ノア)でトレビッキエーリ(著名ワイン評論誌ガンベロ・ロッソで満点の三つ星グラス)を獲得し注目される。
その品質とコストパフォーマンスの高さでも人気。
私も愛飲していてこれまでにもいくつか登場している。

このワインはヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山の北斜面の畑で栽培されたブドウから造られる。
香りには潮のニュアンスをたっぷり。グレープフルーツ、ライム、スウィーティーの果実香。青い果皮の柑橘香がピンポイント海藻、ヨードが支配的、微かにスモーキー。セルフィーユの軽快なハーブ、アカシアの黄色いフラワリーな香りも。
味わいにはみずみずしくフレッシュでハリのある活力のある果実味、シャープな酸味、中盤から余韻にかけてほろ苦さがゆるゆると残る。ミネラルのニュアンスに富む魅力的なワイン。
海老チリに。
ワインの潮の香りを受けてエビの風味が活き活きと立ち上がる。
強めの辛味もしっかりと受け止めるハリのあるワインの果実味との素晴らしい協奏。相性: ★★★★☆

リブランディ, ドゥーカ サンフェリーチェ, チロ DOC, ロッソ リゼルヴァ, カラブリア, イタリア, 2,440円
Librandi, Duca Sanfelice, Ciro DOC, Riserva, Rosso Classico Superiore, Calabria, Italy, 2019, 14%

リブランディはティレニア海とイオニア海に挟まれたイタリア半島のつま先部分に位置するカラブリア州を代表するワイナリー。
ワインに用いられるガリオッポ品種の語源はギリシャ語の「美しい足」に由来。
古代ギリシャ、オリンピックの勝者に与えられたワインは、ガリオッポから造られていたという説もある。
このガリオッポにカベルネ・ソーヴィニョンをブレンドしたワインがカルチジョリム(太刀魚のピリ辛煮)と素晴らしい相性なのだ。

このガリオッポ100%のワインの香りには完熟したブラックチェリー、チェリーリキュール。
微かに黒胡椒のスパイスのヒント、ほんのりとビターチョコレート、ほんのりと茎のようなヴェジェタルなニュアンスや穏やかにハーバルなタッチも。
おおらかで穏やかな乾いた木のような香りも(と思いきや樽は熟成には使われず、樹齢の高さによる香りの複雑さか)。
味わいの果実味の凝縮感は思いのほか軽やかで甲高い、鼻腔をスパイシーなノートが強く抜ける。
明瞭でワインに輪郭を与える酸味、やや粗さのあるパワフルなタンニンがしっとりと舌に残る。
余韻にはビターなニュアンスやミネラルに富む、ややシンプルで抑揚には欠けるか。
海老チリに。
ケンカはしないがワインのどこか甲高い果実味の調子がエビのコクやチリソースとやや噛み合わないか。相性: ★★★☆☆

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