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少女漫画のような

昔、少女漫画に憧れていた。


私の見た目はどちらかといえば可愛らしいものでは無く、クールだとか冷たい印象だ。目つきがあまりよろしくない。

そんな私でも小学生の頃までは、キラキラするような学校生活や手が触れただけでドキドキするようなかわいい物語に憧れを抱いていた。


今や心にどろりと残るような恋愛や修羅場、職場環境に身を置かざるを得なくなっているが、人生のご愛嬌といったところか。


大人になってもなおドキドキするようなことなど、もはや縁がないと思っていた。先日まで。


その日は、以前にここにも記したゲーム仲間とご飯を食べていた。その後はもちろん彼の家に「ただいま」といって帰る。

彼とはこんなご時世ということもあり、数ヶ月ぶりの再会。会えない間に次に会ったときの話を沢山詰め込んで、今夜の為にボルテージを上げてきた。


開けてくれた玄関に身を滑らせ、サンダルを脱ごうと後ろ脚に手をかけようとした瞬間

くるっとこちらを向いた彼にマスクを取られ、壁に抑えつけられた。情熱的過ぎるキスに圧倒されながら荷物を離し、両手を壁に固定される。

長身の彼の脚が私の太腿の間に入ってくる。思わず声が漏れると「しーっ」と聞かれるかもしれないぞ、と羞恥心を煽られた。


息が切れる程のキスの後、二人でシャワーを浴びて最高潮に達した性欲をお互いにぶつけ合う。

「めちゃくちゃ楽しい」

前回セックスが不得手だ等と言っていたのはどこへやら。真正面からの真っ直ぐな性欲を受け止めるのはこんなにも楽しかったのか。


2回目が終わった頃にはもう外は薄っすらと明るんでいた。疲れのせいかストンと眠りに落ち、意外にもスッキリと目が覚めた。


今回は2日間彼と目一杯遊ぶつもりできていた。初日にビッグバンを起こす予定はなかったが、これもまた一興というやつなんだろう。


デートの予定時刻が迫っていたのでちょっとえっちないたずらで起こす。

「まだ足りないの?」

そんなことない、なんて言う前にもう一回おかわりして結局ギリギリまでお互いを堪能して部屋を出た。


今の私は言うまでもなく少女漫画より青年誌、いや、成人雑誌になっている。歩くエロ本、居るだけでエロ漫画。

遥か昔のキラキラに憧れる私のままでもよかったが、歩くエロ漫画もそう悪くはない。


こうして極く偶に少女漫画のようなドキドキを味わえると感動するような大人になれたから。

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