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35.審査

何度も立ってきた。
しんと静かな空間で、
全ての視線がこちらへと向けられている

今だけは私だけの時間だといつも思う。

人に見定められることを繰り返してきた。
これが私ですと、全て曝けなければ未来はない
人生のうちのほんの数ミリの時間
そこに全てを賭ける
求めているのはその先にある一縷の望み

13歳でようやく、はじめの一歩を踏み出した。
もしも、もしも もう一度人生をやり直せるならば
同じ目標を持って、また歌をうたう私で
もっと早くから動き出したい。
と、これもまあナンセンスだが考えている

吐くことができないから、
吸えずに苦しいあの感覚も
今までに何度も味わってきた。

私が求めているもの以外にも、
日々は審査の連続であり
いつだって人に見定められている

来月ディズニーランドに行こうよと
誘ってくれたあの子の、その審査に
鳥居れなが見事選ばれたように。

そして私も日々審査員なのである。
今朝もコンビニエンスストアで、
朝食おむすびオーディションが開催された。

みんな違ってみんないいのだ
今まで幾度となくこのオーディションに参加し、勝ち抜いてきた和風ツナマヨ、
8月も終わりだが、まだ残暑が続くこの頃に
さわやかな出立ちで並ぶカリカリ梅のおむすび、
海苔。ひとくち頬張ればパリパリと心地よい音が鳴りその風味で日本人に生まれて良かったと思わせてくれる海苔が付いているシャケのおむすび。

陳列棚、いやもはやひな壇にすまして並んでいる
彼女たちだが。ひとめ見た時からもうほぼ、選ばれし3人に絞られている。

そこからはもう気分で、最終審査を通過したのは
シャケのおむすびだった。

そういうことだと思う。

私は今朝、勇敢なシャケのおむすびと
ご縁を結んだ

他のどのおむすびにも、
悪いところなんて何もなかった。
私の今日の気持ちと、
これまでたくさんの方に愛を込めて作られた
シャケのおむすびという人が
強い気持ちを向いてそこで向き合った結果だった。

私がこれまで、そしてこれからも
自分の意思で決めて挑んでいく審査には
全ての魂を込めて。
その先にある光とひとつになった時のことを
理解して、覚悟して関わっていく。
経験や知識は武器になる
けれどそれ以上に、私は努力だと思う。

自らの手を伸ばした瞬間から
物語ははじまっていて
その手と手が繋がれたならば
何だってやれる。
魂が削れたっていいから、
なりたい者に向かって努力をし続ける。

チャンスは弛まず準備をし続けた者に微笑むから。

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