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デンマークのヒュッゲを味わう「スモーブロー ディナーの会」

デンマークの幸せ ヒュッゲ。
人と繋がる幸せ、ヒュッゲをお伝えする活動を、さまざまな形でしています。

その一つが「ヒュッゲを味わう会」。
ヒュッゲは翻訳できないデンマーク語、と言われていますが、ヒュッゲの温かく満たされる感覚を味わっていただきたいなと思っています。

デンマークの楽しみ方:ドリンクと合わせて

今回は「スモーブロー ディナーの会」。
スモーブロー(Smørrebrød、デンマークの国民食)は、レストランでビールやワインと楽しむ、ごちそうサンドイッチです。

コペンハーゲンのレストランにて

水道ギャラリーさんではランチの会として開催してきましたが、今回はドリンクも一緒に楽しんでもらおうと、ドリンク2杯を含むディナーの設定で開催しました。

クラシックなスモーブローの楽しみ方は、ニシンのスモーブローにじゃがいもの蒸留酒アクアビット(Aqvavit)を合わせ、チェイサーはビールと言われています。

アクアビットはさまざまなスパイスやハーブで香りをつけてあるのが特徴です。無色透明なウォッカのような見た目のものがポピュラーですが、いろいろなメーカーから様々な香り・味わいのアクアビットが出ています。現地のスモーブロー・レストランではワインリストさながらに長いアクアビットのリストがあり、何を合わせようか考えて選びます。
最近はクラフト・ジンの流行と同様に、クラフト・アクアビットの流れがあって、レストランで独自にハーブなどを漬けて香りづけしたアクアビットを用意して、メニューとのペアリングを提供するお店などもあります。

今回はアクアビットをご用意しました。世界的に有名なアクアビット、オールボー タッフェルのアクアビット。

無色透明のザ!アクアビット、オールボー タッフェル

さらにアクアビットの異なる味わいを楽しんでみたい方には、樽に入れて船旅をさせることで有名な樽熟成のリニエ(Linie)をご用意しました。

3皿目のスモーブロー、左側にあるのがLinie

アクアビットはアルコール度45度と高いのでちょっとびっくりされた方もいましたが、初めて味わってみる機会として楽しまれた方も多かったです。

今回のスモーブロー 7種

デンマークのオープンサンド、スモーブロー(smørrebrød)はレストランで食べるご馳走です。デンマークでは1皿ずつコースのように提供され、フォークとナイフでいただきます。
水道ギャラリーの会では作家さんの作品を使わせていただくこともあり、カトラリーを使わずに手で持って食べていただきます。そのためデンマークのスモーブローより細長くした、オリジナル仕様。1枚のスモーブロー(ライ麦パンのスライス1枚にトッピングがあるもの)を2枚のサイズに分け、2種類のトッピングに分けて、ご用意しています。

デンマークのライ麦パンをご紹介

自家製サワードウで焼いたデンマークのライ麦パン、ルブロ(Rugbrød)2種類でご用意しました。

1皿目: ニシン2種

ニシンの酢漬けと新じゃが、奥はニシンの焼き漬けのスモーブロー

デンマークで最もポピュラーなメニューは、ニシンです。スモーブローを食べる時、最初にニシンを食べることが一般的。ニシン3種、というのが典型的なメニューです。今回は1皿目にニシン2種をお出ししました。

1つ目はニシンの酢漬けと新じゃが。サワークリームにケイパー、ディルというクラシックな組み合わせのスモーブローです。じゃがいもとライ麦パンはとっても相性がよくて、新じゃがのスモーブローはそれだけでも美味しいほど。

ニシンの酢漬けとじゃがいものスモーブローはアクアビット=スナップスのための一皿(Snapsemad スナップスメウ)と呼ばれる組み合わせ。ニシンの酢漬けにケイパーやサワークリームの濃厚な味わいと、アクアビットのハーブの香り高くすっきりした味が合わさって、なんとも美味しいのです。
今回アクアビットを試された方たちから「ニシンとアクアビットを合わせると、こんなに美味しいんですね!」と言っていただきました。

2つ目は、ニシンの焼き漬け(Stegte sild ステクトゥ シル)。日本でもニシンが季節ですね。ハーブをつけてライ麦粉をつけて焼いたニシンを、スパイスの効いた甘酢に漬け込んで3日間。一緒につけている赤玉ねぎ、そして爽やかなりんごのスライスを添えていただきます。日本で思うより、かなり甘めの味付け。デンマークのレシピよりは甘さを抑えていますが、りんご酢にりんごジュースも入っていて、魚がりんごの甘みと酸味ですっかり食べやすくなるのです。

ニシンは苦手な方もいるので心配でしたが、今回は全体を通してニシンを気に入っていただけた方が大変多かったです。嬉しい!

2皿目: スモークサーモン、卵とトマト

スモークサーモン、卵のスモーブロー

2番目はスモークサーモン、そして卵のスモーブローです。
スモークサーモンはフェンネルとディルのマリネ、そしてグリーンランド甘エビを載せて。サーモンの下にはハーブが効いた緑色のハーブマヨネーズソースがあり、爽やかな美味しさです。

卵のスモーブローは、今回は美味しくなってきたトマトと合わせました。自家製マヨネーズが入っていて、軽やかな春を感じる美味しさです。卵とトマトは定番の組み合わせ。これが一番好き!という方も何人もいらっしゃいました。

こちらのお皿は黒ビール入りのライ麦パンにてご用意しました。ライ麦パンとしては同じでも、味わいや噛んだ感じも違います。特に手で持って食べていただくので、手に触れる感じなども味わっていただきました。

サラダ:芽キャベツとデコポンのサラダ

芽キャベツとデコポンのサラダ

芽キャベツを焦げ目がつくまでしっかりロースト、そしてたっぷりのひまわりの種もローストして、そこにデコポンとコリアンダーを合わせて、サラダにしました。ちょっとピリピリとしたチリを効かせて。
タネをローストしたコク、果物のフレッシュな酸味、たくさんの具材が刻まれて和えられた感じがデンマークのサラダという感じです。

3皿目: ローストビーフ、レバーパテ

最後はお肉のメニュー。
自家製ローストビーフはいつでも人気のメニューですが、今回はホースラディッシュとクリスピーオニオンを載せているだけでなく、ローストビーフの下に特別なピクルスが入っています。根セロリや根パセリの香り根菜のスパイスピクルスが入っていて、甘酸っぱい中に複雑な香りが鼻に抜けます。香りたつ味わい。

レバーパテはデンマークではスーパーでもたくさん買うことができる、定番のメニュー。今回はビーツの酢漬けとクリスピーベーコン、タイムを散らしました。自家製のレバーパテはふんわり柔らかく、まだ寒い季節に温かい味わいが美味しいですね。

7種目:チーズのスモーブロー

チーズのスモーブロー

今回はチーズを最後に一口お出ししました。デンマークのチーズ、サムソー(Samsø)と、フラットブレッドのクネックブロ(Knækbrød)をお出ししました。自家製のルバーブジャムを一口添えて。
ライ麦パンとは違うパンの味わいで、最後にざくざくとした歯触りを楽しんでいただきました。

一口デザート:苺のハチミツがけ

苺のハチミツがけ

最後に一口デザート。苺のハチミツがけです。タスマニアのレザーウッドハニーという香水のように香り高いハチミツ。香りが豊かなとちおとめと合わせると、幸せな一口です。思わずお皿を舐めたくなってしまうほど美味しい一口でした。

ヒュッゲを味わう会の様子

初めましての方、スモーブローを以前から楽しみにしてくださっている方、みなさんに集まっていただいて、食事とキャンドルの灯りを囲んで楽しい時間になりました。

3皿目のスモーブローを楽しんでいるところ

2回の開催でしたが、どちらも偶然テーブルが一緒になった方達がさまざまな話題でつながって、話に花が咲いていました。
ディナーでドリンクもあったためか、コロナが収束してみんなが集まってお話しできるようになったからなのか、、、初めて同士のみなさんが一緒に楽しんでいて、本当に嬉しい気持ちになりました。

私もいろんなお話をしました。ついつい、料理の手が止まっちゃいます

美味しいものを囲んで、みんなで笑顔で過ごす。
それはなんとも言えない豊かさです。

一緒に笑える時間の幸せ

コロナでなかなか味わうことが少なかった幸せ。
毎日のちょっとずつの幸せ。

そんなヒュッゲを大切にしていきたいと思います。



デンマークの幸せの秘訣、ヒュッゲな時間をもっと広めるためにサポートいただけたら嬉しいです! いただいたサポートはオープンサンドの試作など、デンマークの食文化研究に使わせていただきます。