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サ終と亡霊

先日、私が数年前にかなりやり込んでおり、その後も時たま不定期に復帰していたデジタルカードゲーム「ハースストーン」の競技シーンが大幅縮小されるというニュースの発表があった。これは単に競技シーンの内容が縮小しただけで、決してハースストーンがサービス終了したわけではないのだが、これまで活動してきた競技プレイヤーの引退宣言もあるなど、関連のタイムラインはお通夜的な雰囲気になってしまっていた。

「ハースストーン」は私にとっては非常に思い入れが強いタイトルで、年末の大晦日に大会の権利を争って月末ラダーと呼ばれる戦いをしながら年を越したり、大会で海外に行くこともあったりなど、今でも色あせない思い出が数多くある。「シャドウバース」「ドラゴンクエストライバルズ」など、その他のデジタルカードゲームでも活動はしてきたことはあったが、当時シャドウバースでお仕事をいただいていたのもハースストーンで活動してきた実績ありきのものだったし、それらデジタルカードゲームの起源である「ハースストーン」は私の中では特別な存在であり続けていたのだ。

実際、先月~今月は久々にやりたくなって、2年ぶりぐらいにかなりゲームをやり込んでいた。ちょうど年を越して新たな競技シーンの制度が発表されるタイミングであったので、あわよくばランクマッチの上位を取ることで大会の権利を狙ってみようかという腹づもりであった。

「ウマ娘ラボ」の運営もあり、今までにないほど長い期間触れていなかったので多少不安はあったが、これまでも数ヶ月間触れなかった後の復帰からランクマッチ上位となって公式大会の権利を獲得した経験は何度かあったし、12月に1ヶ月リハビリ期間を設ければ恐らくいけるだろうという読みはあった。事実、1月中旬には50位近くまで順位を上げられていたし、過去に権利を取ったときと比べても遜色ないペースで動けていた。

そこに、この競技シーン大幅縮小の発表である。詳細の説明はここでは省かせていただくが、2022年の世界チャンピオンが「ストリーマーへの移行にトライする」と言うほどのもので、それまでハースストーン一本で食べてきたプレイヤーの多くが生活できなくなるような、そのレベルの規模縮小だった。当然私もショックは大きく、この日以来ほぼランクマッチをプレイしていないし、発表当日は酒を飲んでふて寝した記憶がある。

とはいえ、実際にはまだゲーム自体は続いていくわけだし、サービス終了、俗に言う「サ終」に比べればマシではあるのだが、思えば私はこれまで現在進行形で熱を入れていたゲームのサービス終了に立ち会ったことがなかった。最もそれに近いのが「ドラゴンクエストライバルズ」のサービス終了時であるが、サービス終了が発表される少し前ぐらいにもう引退していたのと、元々大会の権利月だけ真面目にやるという出稼ぎ的プレイだったので、熱を入れてずっとプレイしてきたプレイヤーに比べるとそのショックは軽いものであったと思う。

だが、今回の一件は、私にとってはここ最近の出来事の中でも最もショックが大きい事件だった。いわゆる「サ終」をしたわけではないのにこれほど心を揺さぶられたことを考えると、熱を入れていたゲームがサ終してしまった時のプレイヤーの気持ちは、筆舌に尽くしがたいものであっただろう。例えば、前述の「ドラゴンクエストライバルズ」に関しては、サービス終了して久しい今日でも未だにアプリを消せず、ライバルズ2に思いを馳せる“亡霊”になってしまった方々が散見されるのだが、今ならその気持ちが多少なりとも分かる気がする。

この事件があって以降、「ハースストーン」の競技プレイヤーが皆完全に引退してしまったのかというともちろんそんなことはなく、発表当初はやめる的な空気だったプレイヤーが現在もランクマッチを回している姿もいくらか見られる。私個人としては、彼らを陰ながら応援しつつ、カジュアルにプレイしているバトルグラウンドの酒場パス等に課金しながらゲームの存続を祈っていこうかと思う。当たり前のようにそこにあったコンテンツが突然なくなってしまう可能性を考えると、せめて今遊ばせてもらっているコンテンツにはそれなりのお金を落としていきたい。今回の出来事は改めてそう感じさせられた事件だった。

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