Easter break 2: アウトプットの質を上げるリーディング〜社会人17年目のイギリス留学🇬🇧
写真はブライトンの街の桜です。もう3週間くらい前になってしまいますが、イースター開始時に撮ったものです。
ソメイヨシノに似てるけどどうなのでしょう?今年の日本は桜の開花が遅かったということで、ブライトンの方が早かったのかな?という印象です。
今回は、イースター後半に取り組んでいた課題を振り返って、英文エッセイのコツをアップデートしたいと思います。
1. やっぱりリーディングがライティングの肝。
秋学期もライティングの肝はリーディングにあり、と書いた通りリーディングの重要性を噛み締めました。
その後に受けた課題へのフィードバックでも、
・ストーリーを表現するだけでけでなく深く分析をすべし
・リサーチクエスチョンがcriticalでない
といったフィードバックで、分析ができるように論文を読み込み、分析観点やフレームワークを理解することが重要であると感じました。
また、リサーチメソッドでも、"まずはliterature reviewをかけ"、と習ったため、今回のエッセイは論文の調査と読み込みに時間をかけました。
2. リーディングで意識すべきこと
とはいえ、ノンネイティブにとってリーディングは辛い。コツは何なのか?が知りたくて、ノンネイティブの中国人の先生に聞いてみたところ、
"目的を持つこと。なぜこの文章を読むのか、を考えてから読め"
と言われました。
ということで、課題にあたっては、
"このモジュール(科目)の目的は何か"を理解するために読み、理解したことをライティングに反映させようと考えました。
また、さらにオリジナリティがあった方が書いていても楽しいし先生も面白かろう(そして高得点につながるであろう)と考えて、
"他のモジュールで学んだことで、組み合わせられることは何か"
を意識しました。
3. リーディングのステップ
ではライティングにつながるリーディングステップとはどんなものか?私なりにやったことを書くと以下のステップ。
✏️マークは、紙のノートにアウトプットをまとめたステップ
💻マークは、Zoteroという文献管理ツールに結果をまとめたステップ
🧑💻マークは、google documentやWordなどで文章を書いたもので、このステップはリーディングではなくライティングです。
全体として、リーディングとはいっても、殴り書きでも書き込みでも良いので、手を動かして自分の考えや気づきをまとめるアウトプット、成果物を各ステップで作ることが重要かなと思います。
4.の使用文献一覧まで辿り着ければ、あとは作業になります。この時点でどんなフレームワークでどんなメッセージを伝えたいのかが組み立てられていれば書くだけ。でもここまでたどり着く時間は膨大で、ワードには1文字も書けてないので結構精神的には焦りました。。。
授業の復習と基本となる文献とキーワードの理解&エッセイテーマ決め→マインドマップ✏️
基本文献の読み込み→サマリー✏️
参考文献のリサーチ→文献一覧💻
参考文献の概要理解→文献一覧💻
ライティングに利用する文献の選別→文献一覧💻
選別した文献の読み込み→サマリー💻✏️
literature review 作成🧑💻
Intro→Findings(body)→Discussion&Conclusionの順でライティング🧑💻
補足: リーディングの基礎は授業。
いきなり論文を読むと迷子になるので、まずは授業を復習して概観を理解するのが大事です。
先生が個々の授業で何を伝えたかったのかだけでなく、コース全体(私の場合は、Sustainable Finance and Accounting MSc)の中でこの科目がどんな位置付けで何を目指しているのかを考えながら、自分が何を学び取りたいのかをマインドマップ、というとかっこいいですが、要はノートに殴り書きしていきます。
マインドマップを作りながら、他の授業で閃いたことを書き足すなどして、どんなキーワードで事例を分析するのかの大枠の論理構成を決めておきます。
私は、授業固有のキーワードに加えて、政策の授業で習ったEnvironment Justiceという考え方と、ファイナンスやエネルギー政策の授業で出てきたmarket failureやexternalityという考え方を会計学固有の理論に加えて、論理構成することにしました。
4. リーディングの質を上げる便利ツール
今回、リーディングに関して使ったツール3種(zotero、Google scholar、Deepl)について個人的な良し悪しを書きたいと思います。
Zotero ◎
単なる文献の一元管理とBibliographyの作成機能だけでなく、pdfも自動で取り込んでくれる上、書き込みやメモの機能も充実しています。
エッセイライティングには必須のツールといって良いと思います。他にもMendeleyなどの類似ツールがありますが、ZoteroがNo.1だと思います。
先生たちも使ってる人が多そう。Google scholar△
ヒットしない文献がそれなりに多いので、自分の専門分野のエリアの文献や最新の論文を調査したい場合には不向きです。
引用回数が見れる点はメリットなので、特に門外漢の分野でどんな専門誌から論文を検索したらいいかわからない時に使うのが便利です。Deepl ◯
時間と脳みそのエネルギーの節約に大活躍します。
特に論理的に込み入った表現が多い論文は確実な理解のためにDeeplを活用しました。
秋学期は、留学中に英語力をつけることを目指していたので、あまり活用してなかったのですが、論文を読む量と質をあげたかったので、解禁しました。
おまけ) エッセイ内容をご紹介〜ノルウェーの風力発電と先住民の人権問題
今回は会計学の授業で、秋学期の会計の基本から応用して、組織をとりまく社会の変化を踏まえつつどう組織が倫理的な説明責任を果たしていくのかという授業の課題でした。
春学期は、エネルギーに関するテーマを深掘りしようと目標にしていたので、風力発電所の建設をめぐる訴訟を取り上げて、建設にあたって企業や政府による公正な意思決定がなされているのか? 公正な意思決定のために、組織の説明責任と利害関係者の巻き込みはどうあるべきかを論じました。
具体的には、ノルウェーにある、欧州最大の陸上風力発電に対する先住民Sami族の抗議活動を取り上げました。隣国スウェーデンからグレタさんが参加して一気にメディアの注目を集めた訴訟です。
風力発電って、一見良さそうに見えますが、広大な土地を必要とするため、トナカイの放牧を生業とするSami族にとっては生活を脅かすものであり、国連の定めた先住民のenjoy own culture(固有の文化を享受する権利)を侵害するものであるとして、電力会社に対して抗議した事例です。
Sami族は最高裁で勝訴したのに、電力会社は操業を続けたため、抗議が本格化し、結果、操業は認めるかわりに補償金を支払うことで合意がされました。
日本でも、騒音被害で停止する発電施設もあるなど、風力がなかなか進まない実態があること、そもそも、マジョリティ(主には大都市や製造業など)からの電気需要のために自然保護にも繋がる先住民の権利を侵害することは、長期的に見て本当に正しいのか?というのを考えたくて取り上げました。
結局、この事例はお金で解決されたわけですが、その後ノルウェー政府は陸上→洋上風力発電に投資先を切り替えています。つまり、電力への大きな需要がある限り、何かを犠牲にして電気をつくる仕組みは大きく変わりません。
犠牲にすることで生じるリスクを下げること、それでもどうしても風力って必要だよね、という合意を図るためには、電力会社だけでなく、地域への影響を見極められるように政府がリードする必要があります。
八幡製鉄所や黒部ダムみたいな、一丸となってこれを作って国として豊かになるんだ!という機運、今の時代に置き換えると、この風力発電を作って、世代を超えて自然と文明の豊かさを享受していくんだ、みたいな機運は生まれるのか、が大事なのかなぁと思っています。
日本の場合は、風力なのか水素なのかなどなどいろいろ議論がありますが、これは別の授業で深掘りしていきます。
それでは今日はこの辺で。
皆様、ごきげんよう。
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