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Week7&8: ESGリスクってほんとに業績に影響与えるの?〜社会人17年目のイギリス留学

またまた遅くなりましたが、1週間前のイースター前の追い込みの記録🐣です。
写真は、学内のカフェです。毎週、大学の中にあるジムに2〜3回ほど通っているのですが、そのあとに街からいらしているmadamとおしゃべりしたあと、こちらのカフェでくつろぎながら論文読んだり課題をやるのがお気に入りのルーチン。
忙しくても体を動かして外に出るのは大切ですね。

イースター前は、リサーチメソッドという論文の書き方を学ぶ科目の課題に勤しんでおりました。
今回は統計の基礎を学ぶことを目的にしていて、ESGが企業業績に与えるインパクトを、ESGリスクスコア(サステナリティクスが出しているスコア)と主に財務諸表データを用いて分析せよ、というものでした。

そもそもESGとは?

Environment (環境)、Social(社会)、Governance(統治)の頭文字を取ったもので、企業活動において、金銭的なアウトプットを追い求めるのではなく、環境や社会に対する成果も考えて企業を経営していきましょう、という考え方です。
国連により、2006年に責任投資原則(PRI)が提唱されて以降、ESGのパフォーマンスが高い企業に投資するというESG投資の考え方が投資家の中に広まって来ています。

ESGの成果の測り方

しかしながら、決算書で今期の利益がわかる財務の成果とは異なり、ESGの成果を図るのは難しい。
どれだけ環境に良いことをしたか、環境への影響を最小限に止めるように対策がとられきちんと統治されているか、など、定性的な情報も必要です。
そこで、投資判断の際に用いられるのが、企業の信頼性などを格付けする評価機関が出しているESG指標ですが、これも評価機関によってどのように測定されるかが異なります。
今回の課題にあたり読んだ論文(Berg, Kölbel and Rigobon, 2022)では、異なる評価機関が発表している、6種類の指標(Kinder, Lydenberg, and Domini (KLD), Sustainalytics, Moody's ESG (Vigeo-Eiris), S&P Global (RobecoSAM), Refinitiv (Asset4), MSCI)を取り上げ、どの程度のバラつきがあるのかを調査し、バラつきの要因は、①対象スコープ、②測定の相違、③各測定項目の重みづけの相違、の3つのうち、②の要因が大きいということが指摘されていました。

ESGの成果が高まると財務パフォーマンスは上がるのか?

ばらつきがあるにせよ、環境や社会に良い成果をあげている企業は、財務的にも儲かるのか?が気になると思います。
この点に関しては、ほんとにたくさん、論文が出ていますが、基本的には、良い成果が出るという研究結果が多いです。
基本的に、と書いたのは、(特に短期的には)そうでないケースもある、ということです。
製造業だと、設備投資や技術革新によって安定して環境への悪影響を減らして利益を上げるまでにどうしても時間がかかります。
また、株価、という指標は、株式市場の成熟度、投資家の環境意識の高低によっても変わります。

大切なのは、財務パフォーマンスを上げることのみを重視して、環境や社会の影響を無視するような企業を生まないこと、どうしたらこれらを両立した企業や取り組みを増やすことができるか、なのです。

業界による傾向はあるのか?

今回調べる中で、金融機関は製造業と異なり、ESGの開示を通じた取り組みの強化が負のインパクトを与える、という論文(Buallay, 2019)があったので、ほんとかな?と思い、今回の課題では、ESGリスクスコアと財務パフォーマンスの相関に、製造業と金融で差があるのか、を調べてみました。
結果は、確かに違いがありました。
・製造業: ROAとESGリスクが相関を示している
→環境リスクを考えながらそのリスクを最小化し、財務的なリターンを最大化するような運営をしている、と読み取れる?
・金融機関: 明らかな相関が見られない。
→製造業ほど明確にリスクにどうやってどう対処するというのがまだなく、相関として見えにくいのかも?

単なる学生の課題の結果なので、信頼性の高い情報ではありませんが、コンサル時代の経験だと、金融機関の方が、リスク管理に積極的な印象があったので、これが日本とイギリスの違いなのか、はたまた、金融業界全体として、やっぱり難しいからリスク管理に積極的ということなのか、そもそも、分析の仕方がイマイチなのか(この可能性はめっちゃ高い)、知りたいなと思いました。先生からのフィードバックを楽しみに待ちたいと思います。

統計を用いた仮説検証の面白さ

今回、レポートを書いていて、イギリスのFTSE(日本の東証みたいな株式市場)の企業の財務やESGリスクスコアを定量的に見ましたが、定量分析、統計って、世界が一気に広がって面白いなと感じました。
論文を読んで、この考え方が正しいならば、FTSEのデータにこの分析手法を当てはめたらこういう結果になるんじゃないか?というのを考えて、結果を見て原因を考える、というのは、ケーススタディで得られる知識とは違い、一般的にこうだよね、と言える論拠になるので、仕事でも役に立つなぁと感じました。

おまけ) DeepL活躍!

今回、統計が中心だったので、
・英語
・日本語
・数学
の3つの言語と格闘したかのような課題でした。この場合は、とにかくDeepLのパワーがすごい。
数学は日本語で学んできているので、わざわざ一度英語を介するとちんぷんかんぷんになってしまうので、今まで以上にDeepLに助けられました。
名前をつけて可愛がりたいくらいです。

英語そのものの力を上げることも、留学の目的なので、教科の中身そのものを理解することと、どちらを優先するかを常に考えながら、こうしたツールも活用していきたいなと思ってます!


それでは今日はこの辺で。
みなさま、ご機嫌よう。

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