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洋服記録93_辛苦のボタニカル

誰とも被らない、 あなたの特技を教えてください。 これは就活時代、 とある企業の最終面接で実際に聞かれた問いである。 たしか6~7名のグループ面接であった。 自己紹介やら学生時代のエピソードやらを散々話し終え、 各自の経験値やキャラクターがなんとなく分かってきた終盤戦。 「誰とも被らない」、という条件が付いているので、 ありきたりの特技では物足りないし、 少なくともここにいる誰かと被ったらもうアウト。 そんなプレッシャーの中で、 端の人から順に回答が進んでいく。

    • 洋服記録92_冷静と流行の間

      流行を追いかけるという行為は、 一体何歳まで許されるのか。 アラフォー女に常に付きまとう問いである。 これでも昔は、一応追いかけていた。 古着屋でベロアジャケットを探すとか、 ジーンズに白スカートをあわせるとか、 ミリタリージャケットをフェミニンに着るとか。 「一応」と言ったのは、 流行と似合う服とが一到するとは限らないため、 これなら挑めると判断できたものだけ乗っかっていたから。 良い結果の時だけ信じる占いと同じ理屈だ。(たぶん) 学生の頃の一時期、 白Tとキ

      • 洋服記録91_憧れのカジュアル化

        アラフォーの間でよく出る話題。 子どもの頃描いていたアラフォー像と、 実際のアラフォーには乖離がある。 10代の頃のアラフォーといえば、 とんでもなく果てしないほどのおばさんだったのであるが、 今のわたしは、 自分をそこまでのおばさんだと思っていない。(残念なあるある) 20代の頃のアラフォーといえば、 バリバリのキャリアを積んだ上品なマダムだったのであるが、 今のわたしは、別にバリバリでも上品でもない。(無念なあるある) そしてファッションのイメージで言うと、

        • 洋服記録90_印度ワンピの魔法

          リアクションを間違えると悲劇を生む。 選ぶ表情や言葉を誤ったり、 反応の二択をミスすると、 その場を凍らせるほどの威力を放つ。 過去にそんな場面に遭遇したことも多々あるし、 自分がミスに巻き込まれたことも、 自分がミスの発信源になったこともあるが、 そんな中で頻繁に思い出すのは、 髪型にまつわるほろ苦いリアクション。 均衡の美学で触れた通り、 高校時代のベリーショートをきっかけにストレートから脱却した私は、 スーツの救世主の助言でボブになり、 そこからボブとミディアムの

        洋服記録93_辛苦のボタニカル

          洋服記録89_均衡の美学

          自分は保守的な人間だと思っている。 基本的に世間や会社のルールはおおよそ守るし、 人間関係もむやみに広げようとしない。 食べ物も冒険せず自分の好きなものを何回もリピートする。 そんな保守的人間が安心感を覚えるものとして、 左右対称 があると思うのは私だけだろうか。 例えば、建物。 お寺やお城など、綺麗な対称の歴史的建造物は多い。 デザイナー物件のような非対称の建物もおしゃれだけれど、 やはり落ち着くのは、 中央からぴしっと左右対称に広がる建造物。 やや無機質な昔ながら

          洋服記録89_均衡の美学

          洋服記録88_DNA的ファッション

          記憶に残るドラマというものがある。 今も昔もリアルタイムでドラマをみる機会は多くなく、 沢山の作品を知っているわけではないのだが、 それでもいくつか、記憶に残っているドラマがある。 その一つに、 「恋ノチカラ」がある。 深津絵里演じる籐子と、 堤真一演じる貫井巧太郎のラブ・コメディではあるのだが、 大手広告代理店から独立した有名クリエイターの個人事務所が、 徐々に信頼を得て仕事を軌道に乗せていくビジネスストーリーでもある。 私がこのドラマを知ったのは高校生ぐらいの時で

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          洋服記録87_シロクロニシティ

          自分のことを地黒だと認識していた時期があった。 幼少期から外で遊び、 夏は海やプールで一日中泳ぎ、 学生時代も炎天下で部活に励んでいた。 皮が剥けるほど真っ赤になった後、 染み込むように黒くなって夏を越し、 その後遺症で真冬でも私の肌は小麦色であった。 故に長年、 自分は地黒だと思い込んでいた。 それが勘違いだと気付いたのは高3の頃。 大学受験を控えた最上級生は、 その多くが春夏の大会を最後に部活を引退する。 私も同様に引退し、部活の代わりに塾に通う夏休みを過

          洋服記録87_シロクロニシティ

          洋服記録86_門出バッグ

          春は出会いと別れの季節と言う。 だがここには、 自分が当事者になるパターンと、 自分が当事者にならないパターンの 2種類が存在する。 自分が当事者にならない場合は、 周囲の新たな出会いと別れの悲喜こもごもを、 菩薩のような目で見守っていればよい。 だが自分が当事者になる場合はそうもいかず、 出会い、別れ、それぞれへの、それ相応の準備が必要になる。 仕事の引継ぎや挨拶品の準備などに加えて、 私にとってマストで発生してくる案件が、 クローゼットの大幅入替え。 新しい部門が

          洋服記録86_門出バッグ

          洋服記録85_革靴と牛肉

          もしかしたら、初めて購入したかもしれない。 コンバースはコンバースでも、 ハイカットのコンバース。 長年スカート派だった私にとって、 ハイカットスニーカーは諸々不利になる。 足首が隠れてすぐふくらはぎが現れる、というスタイルは、 ほっそりとした足を持たないスカート派の人間にとって、 あまりメリットがないのである。 だがパンツ派になったらなったで、 今度は新たな問題が発生した。 座った時に、 靴下から覗くふくらはぎが現れる。 個人的な好き嫌いの問題にはな

          洋服記録85_革靴と牛肉

          洋服記録84_小指の爪舞うスリッポン

          ここ数年、スニーカーの増加が止まらない。 NIKEに始まり、IENAコラボのニューバランスが続々と増え、 最近は原点回帰のコンバースも仲間入りしてきている。 コンバース以外はまあまあ幅を取るシューズ達のため、 1段に1つというコレクター的な収納にならざるを得ず、 いよいよシューズボックスが満杯になってきた。 そんな中異色を放っているのが、 ポロのスリッポンである。 クマの刺繍に釣られて思わず買ったのであるが、 スリッポンなんて本当に何年ぶりに購入しただろうか。 ここ

          洋服記録84_小指の爪舞うスリッポン

          洋服記録83_酵素吸いニット

          ここ1年の毒素を排出したくて、 酵素風呂なるものに出掛けた。 高温のおがくずに横たわる行為は砂風呂と同じだと認識しているのだが、 私が今回浸かったのは米ぬか。 まさに人間漬物である。 初めてのことにドキドキしながら赴くと、 お肌ツヤツヤのマダムがお出迎えしてくれた。 着くなり、長めの雑談(肌感で20分は超えていた)。 この話が漬物の出来に関わるのか疑問を持ちつつ喋り、 さあいよいよ入ろう!となった時、 マダムから下記の注意事項を受けた。 「熱いと思ったら、決して我

          洋服記録83_酵素吸いニット

          洋服記録82_体格相性診断

          長年自分の体と生きていると、 自分が着てもいい服と着てはいけない服というのは、 一目で判別できる。 私のように肩幅や上半身に厚みがあるタイプは、 首元の詰まったクルーネックやぴたぴたのタートルネックはご法度。 鎖骨ががっつり見える広めのVネックや、 大きな目で編まれたオーバーサイズのニット、 袖口や裾がフレアになったトップスなど、 全体的にざっくりとしたものであれば、比較的似合いやすい。 これらは、少しでも自身のガタイの良さを誤魔化すために、 幼少期から苦し紛れに見出し

          洋服記録82_体格相性診断

          洋服記録81_守護神ドルマン

          今年の冬は、ほぼ1種類のコートで乗り切った気がする。 カフェラテ2024で触れた通り、 昨年末、3枚のコートを処分した。 代わりに購入したショート丈のダウンは、 カジュアルにバサッと羽織るのに最適で、ころんとしたフォルムも愛らしい。 何より気に入っているポイントは、 ドルマンスリーブであること。 分厚いニットやオーバーサイズのトップスにも、 一切のもたつき無く合わせることができる。 袖周りのキツさも、生地がくしゃっとなることも無い。 ドルマンスリーブのアウターは、本当

          洋服記録81_守護神ドルマン

          洋服記録80_骨格は3Dで捉えよ

          私の頭はまるい。 いや、一般的に人の頭は丸いものだが、 なんと言うか、 本当に見事なまでの「球」なのである。 ヘッドスパに行こうものなら、十中八九言われる。 初めて行く美容院でも、ほぼ全員から指摘される。 丸顔という顔かたちの話が2Dの世界なら、 こちらは完全に3Dの世界。 頭を立体的な物体として捉えた時に、丸い。 いや、「球い」のである。 同類のエピドートはつい先日も。 食事をしている最中に自分のおでこの広さを晒す機会があったのだが(なんだその機会)、 「おでこが広

          洋服記録80_骨格は3Dで捉えよ

          洋服記録79_愛とパンツの裾ほつれ

          華麗なる寝返りっぷりを表すように、 パンツに関する投稿が続く。 最近パンツを多用するようになって、 新たに気付いたことがあった。 左足の裾がほつれる。 そう、内側に折り込まれた裾のまつり縫いが、 どういうことか左足側だけほつれるのである。 歩いていて自分から細い糸が出ていることに気付き、 糸くずかと思って引っ張ると面白いほどスルスルと延びていく。 それが自分の左足に起因すると分かったころには、 半分以上のまつり縫いを自らほどいてしまった後。まさに後のまつり。 どうし

          洋服記録79_愛とパンツの裾ほつれ

          洋服記録78_スカートの盲点

          最近、ちょっとした手術を受けた。 決して大掛かりなものではないのだが、 これまで健康体そのものの人生を送ってきた身としては、 まさに初体験であった。 果たして、手術当日はどういった格好をすべきなのか。 行き帰りの服装もそうであるし、 そもそも施術を受ける時の服装すらわからない。 前日、慌てて医院からの書類を読み返すと、 「着替えやすいスカートでお越しください」とある。 なるほど、着替えるのか。 だが着替えやすさという観点でスカートを指定するのであれば、脱ぐのは下だけな

          洋服記録78_スカートの盲点