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あなたはどこから来たのか

先日、紹介記事をつくった2冊の本。

ともにタイトルの中に”企業価値”が含まれています。

企業価値”は企業がこれから将来生み出すキャッシュフローから試算する、と2つの本ともに説明しています。将来、未来を描き、その絵を現在の価値に換算する(資本コスト等で割引く)。
投資の成果、果実は、将来、未来からやってくるものだ、と。

しかし、その将来、未来を描くためには、沿革・歴史が重要だ、ということを両方の本が指摘しています。とりわけ強く印象に残ったのが

「あなたはどこから来たのか」

という問いです。これは #新解釈コーポレートファイナンス理論  のエピローグで登場する3つの問いのうちの一つです(このエピローグは本を見事に締め括っており、この本を読み通した人にはぜひ味わっていただきたい、そう強く思いました)。

この問いは次のように言い換えられています。

あなたの会社はどこを出発点として、どういう理念で経営されてきたか。

将来のことは何もないところからいきなり唐突に空想されるものではない。将来の繁栄は現在の投資がもたらし、現在の繁栄は過去の投資がもたらしている。企業にはそれぞれに始まりがあって、過去行ってきたことの妥当性と現在行っていることの合理性があって、そして将来への意思が築かれる。時系列で語られるこの企業固有の物語が企業の将来キャッシュフローの予見可能性を高め、価値を生むことになる。

宮川 壽夫. 新解釈 コーポレートファイナンス理論「企業価値を拡大すべき」って本当ですか? (Japanese Edition) (pp.377-378). Kindle 版.

過去、これまで辿ってきた道程、その出発点は必ず現在につながっているし、未来にもつながっている。そこに関心を寄せることの大切さが述べられています。

#10倍株の思考法  ではコラム”沿革を知ると、未来が分かる(かもしれない)”で沿革が、将来、未来を描く助けになることを強調されています。

事業に対する妄想を膨らませることができ、握力にもつながること請け合いですので、投資先の沿革はぜひチェックする習慣を付けておきましょう。

こんな資料を見つけました。



みさき投資 中神康議さんの2017年の講演資料から です。

https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/award/nlsgeu000002dzl5-att/yamashita_nakagami.pdf

「長期投資家」とは「長期調査家」

どんな調査を投資前に行うか、の一例だそうです。この中で「社史を読み解く」「役員人事の変遷」等の項目が示されています。

投資するべきか否か、その判断の過程で「あなたはどこから来たのか」は理解すべき必須事項であると想像されます。

おおぶねシリーズを運営する農林中金バリューインベストメンツ #NVIC  さんのWebサイトにこんなページができていました。

おおぶねJAPANの受益者向けの月次レポートを再編集したものです。

オリエンタルランドさんが詳しく紹介されているのですが、あります!

有価証券報告書に記載の沿革です。

有価証券報告書をそのまま貼り付けたわけではなく、NVICさんの視点から見た「エポック」を切り取られていることが分かります。

「投資家は、企業を支えてきたリレーの中で、いまバトンを持つ走者である」

#10倍株の思考法  著者の ろくすけさんのブログで深〜〜〜〜〜く頷いた言葉です。

バトンをしっかりと握り続けていたい、そう思わせてくれる会社、ファンドに出会いたいと思います。そう思わせるものの一つが「沿革」です。

僕の場合、保有する投資信託を通じて新しい投資先、会社と出会います。その際「沿革」にはより多くの注意、関心を向けたいな、という気づきを得ました。

沿革については 2年前にも記事をつくっていました。


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