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投資歴20年の会社員が、企業価値を探究する投資家を今から目指すための入門書3冊を厳選してみました

この記事の続編です。↑の記事はまだ入口にいる、まだ踏み入れていない人に向けたものでした。今回は、実際に入口に踏み入れた、投資を始めた人にオススメしたい入門書を3冊選んでみました。なかでも、企業価値を探究する投資家を今から目指したい人をイメージしています。

投資歴20年経ちましたが、現在の僕自身が「企業価値」を探究する投資家を目指しています。その歴史の半分以上は「企業価値」ではなく「株価」「価格」を追いかける投資家でした。インデックスファンドって「株価」「価格」を追いかけ回している、僕はそう認識しています。

なぜなら市場が付けた価格を追いかけて売り買いしないと株価指数には連動することはできない、インデックスファンド失格になるからです。投資している会社が創っている、実現しようとしている「価値」は見ていない、というか、見ちゃいけない、それがインデックス運用の正体です。投資している会社の事業や働く人たちを一瞥さえすることなくただただ市場で付けられる「株価」を追いかけ続ける、そんな宿命です。

投資を始めて10年以上経って、インデックスファンドの正体に気づくことができました。

僕は10年以上かかってしまったのですが、これからご紹介する3冊の本に出会えば、「株価」「価格」を追いかけ回すのではなく「企業価値」を探究する投資家をいち早く目指すことができると思います。

ご注意を!ー投資のリターン、成果という点で、「企業価値」を探究する投資が、「株価」「価格」を追いかけ回す投資に優る、上回るとは限りません。くれぐれもご注意ください。

3冊の本をご紹介しますが、できれば紹介していく順番で読み進めていくのが僕のオススメです。

1冊め、『ESG投資で激変! 2030年 会社員の未来』

本の著者は、楽天でIRを担当されていた市川祐子さん。

この世の中を変えようと挑戦する人が、それを応援しようとする人と出会い、対話を重ね、株を買ってもらい、わくわくするような未来をつくり、すべてのステークホルダーに報いるような社会を、ともに妄想しませんか?

楽天IR戦記 「株を買ってもらえる会社」のつくり方(著・市川祐子さん)

市川祐子さんの『楽天IR戦記』の一番最後の文です。この一文とバッチリつながっている!と感じたのがこの一冊でした。

この本を読むと、株式会社とは、株式上場することとは、一体どういうことなのか、が分かりやすく学べます。企業価値を探究するための土台となる知識を得ることができます。

株式会社の仕組み、株式上場、そんなことはもう知っているよ、分かっているよ。という方も多いと想像します。でも、一度手に取って読んでみて欲しい1冊です。

この本についてはこれまでにもいくつか記事をつくっていますので、よかったら覗いてみてください。

2冊め、
知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ

本の著者は山口揚平さん。その山口さんの『デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座』の”終わりに”からです。

企業は、計画を練り、お金を工面し、投資をし、運営し、その成果を投資家と分かち合う。そのサイクルに参画することが投資の醍醐味といえよう。そしてそのような姿勢で投資をするならば、投資は一生続けるべき価値ある社会参加の一形態になるだろう。私はコンサートに行きたいのであって、チケットを売買したいのではないのである。

『デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座』(著・山口揚平さん)

この”終わりに”の冒頭、コンサートとチケットを使って「価値」と「価格」の違いを説明されています。その「価値」と「価格」の違いをより分かりやすく平易に説明されているのが、『知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ』 です。企業価値を探究する投資家を今から目指すための入門書 2冊めとしてオススメします。

本の冒頭、「はじめに」でこう述べられています。

私は、個人投資家には5つの段階があると思います。

山口 揚平. 知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ (Japanese Edition) (Kindle の位置No.13). Kindle 版.

5つ目の最後の段階として挙げられているのが

会社の本質価値に基づいて投資をする段階

とされています。この本では会社の本質価値、すなわち「企業価値」を自分で試算してみるための簡便な方法が平易に説明されています。

「企業価値」を探究する投資家を目指す人に、ぜひ読んで欲しいのが、この本の第2章 「価値」ってなに? の次にあるCOLUMNです。COLUMNのタイトルは

現金はそんなに偉くない! ー 株式投資の本質は価値交換にあり

「現金」→「株式」→「現金」のサイクルをうまく繰り返すことで「現金」が殖えていく、それこそが投資だ!という考え方

山口 揚平. 知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ (Japanese Edition) (Kindle の位置No.458-459). Kindle 版.

「現金」→「株式」→「現金」のサイクルをうまく繰り返すことで「現金」が殖えていく、それこそが投資だ!こんな考え方をお持ちではないでしょうか。山口さんがこのCOLUMNで指摘されています。この考えは「大変危険だ」と。

投資とは、「買い値よりも高く売り抜くこと」ではありません。投資とは、「いまある資産(現金)をより価値ある資産(証券や現金)に交換するプロセス」です。

山口 揚平. 知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ (Japanese Edition) (Kindle の位置No.470-472). Kindle 版.

現金ではなく「価値ある資産」を取得するのが投資。これは、企業も個人も違いはありません。企業によるM&Aのための投資も「価値ある資産」を手に入れるために行われています。個人の株式投資も全く同じだと僕は思います。

このCOLUMNはこう結ばれています。

市場から離れて、投資先企業の価値の増大をじっくり眺めるだけの生活をしていたいものです。

山口 揚平. 知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ (Japanese Edition) (Kindle の位置No.482-483). Kindle 版.

市場は「株価」「価格」と読み替えられると思います。

企業の価値の増大をじっくり眺める」は「企業価値増大を楽しむ投資」と同義でしょう。

その「企業価値増大を楽しむ投資」を詳しく説明されているのが「教養としての投資」です。

3冊め、
ビジネスエリートになるための 教養としての投資

3冊目にオススメするのが奥野一成さんの著書です。

この本でも「価格」と「価値」の違いが説明されています。

奥野さんが最高投資責任者を務められるNVICさんのnoteで見つけた比較表です。

「投資」と「投機」の比較、ではありますが、二つを分つものとして「価格」と「価値」が使われています。

この概念でいくと、投資する対象の個々の「価値」を見ることなく「価格」に応じて何百、何千という会社の持ち高を調整するインデックス運用って「投資」と「投機」のいずれなんでしょうね。

本の中では、企業価値を持続的に増大させられる会社にはどんな要素が必要か、が詳しく説明されています。

この本についてもこれまでに幾つか記事をつくっていますのでよかったら覗いてみてください。

読書を終えたら、次にオススメしたいこと

3冊の本を読んでみて、企業価値を探究する投資家を目指そう! その気持ちが盛り上がってきた方に、その次にオススメしたいこと。

それは、自分が投資している、保有している資産(株式や投資信託)を通じて参画している事業について関心を寄せて調べてみることをオススメします。

3冊の本を読むと、株式投資とは、投資先が営む事業に参加するための権利という資産を手に入れることだとあらためて気づくことができると思います。

事業を通じて(顧客や社会の課題を解決した結果)価値を増大させるような資産を増やしていくこと、これが企業価値を探究する投資家の目指すところだと僕は認識しています。

株式投資はまだ始めていない。という方はご自身の勤務先で良いと思います。あるいは、好きな商品やサービスを提供している会社でも良いでしょう。その会社の「株価」ではなく「企業価値」に関心を寄せてみてください。

企業価値を探究する投資家 への第一歩になるはずです。



おまけ 次のステップに役立ちそうな本

企業価値を探究する投資家 を目指す次のステップに役立ちそうな本を挙げておきます。覗いてみてください。

本ではありませんが、「企業価値」を探究する投資家に、学びの機会を毎月の月次レポートで提供してくれている投資信託を選んだのが以下の記事です。


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