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「社会とつながる株式投資」

野本響子さんの今朝の記事です。

「インフルエンサー」だけじゃないよね、って思っています。

一人の人間にとっては、色んな制約があります。時間は1日24時間だし、体だって一つしかない。器用な人は複数の事業をこなすことができるかもしれないけれど、それだって限界があります。

ところが、お金を使うと、より多くの事業に参画することが可能になります。株式投資なら、お金で投資先の株式を手に入れます。僕は毎月、投資信託を買い足していますが、投資信託だと、数十、数百、数千という会社の株式を保有することになります。つまり、お金を資本にして、それだけの数の事業に参画しているということになります。

奥野一成さんのツイートも、そういう種類のことをおっしゃっていると理解しています。

お金を投資して、価値・富を生む事業に参画することで経済的に豊かになれる可能性が増える、そういうことだと捉えられます。ここで重要なのは、「価値・富を生む事業」であるということ。「株価が値上がりしそうな・・・」ではありません。
詳しくは奥野さんの本をご覧ください。

この記事の本題は、ちょっと別のところにありまして。
冒頭の野本さんの記事を読んでいたら、ある本の記憶が蘇りました。

私には、脳梗塞がもとで、寝たきりに近い生活を余儀なくされていた父がいました。

ある日、そんな父が床に伏しつつ、「株式投資って、おもしろそうだなぁ」と話しかけてきたのです。

誰かがたくさん儲けた話をテレビで見たのかなと思いつつ、その理由を尋ねると次のように語るのでした。

「俺は、足が動かない、右手も動かない。でも幸い頭だけはしっかりしているようだ。でも頭だけは回転しても、物理的に身体が動かせないと、社会とつながっていくことは難しいもんだ。」

ところが、株式投資ってやつはすごいな! 自分がやってみたかったことを、企業が代わりにしてくれるのを応援できるんだよ。手元にあるわずかかもしれない資金であっても、自分のしたかったことを実現してくれそうな企業に委ねることで、俺は社会とつながることができるんだ。株式投資を通して企業は、この動かない足と手の代わりになって動いてくれる。これって、すごいことだな! 寝たきりの俺でも、企業を通して社会で活躍できるんだぞ」

平山賢一さん『ハートで感じる長期投資の始め方』191頁

2006年に出版された、平山賢一さんの著書『ハートで感じる長期投資の始め方』の中で”社会とつながる株式投資”として紹介されていたエピソードです。

久しぶりに本を開いたら、このページに栞代わりにハガキが挟んでありました。

この頃から #会社が好きな投資家  の成分がちゃんとあったんだ、そんなことを確認することができました。

このエピソードを再読して感じるのは、株式投資から得られるものは金銭的、経済的なリターンに限定されることはないということです。逆に言えば、投資している会社についての興味や関心を抱かなければ、金銭的なリターンしか見えなくなってしまう可能性がある。

ESG投資は儲かるか。

この問い、依然としてあちらこちらでたくさん目にします。でも、そもそもの話、株式投資は社会とつながっているからこそ、取り巻く環境や社会から投資のリターンを得ているんですよね。だからこそ、企業はもちろん、投資家にも責任が求められる、果実を受け取るのですから。

この種の奇妙な問いが早々に霧消することを願うばかりです。


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