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03.デート ー愛の正体ー


恋愛の真の本質は、自由である。

- シェリー -

(英国のロマン派詩人 / 1792~1822)


◆デート

初めてまともなデートをしたのは、18歳の春だった。

どこへ行けば良いか、何を話せば良いのか、相手は自分のことをどう思っているのだろうか…何もわからなかったぼくは、とりあえず上野の美術館のチケットを買った。館内は涼しいし、デートっぽいからという安易な理由だった。

初デートの相手は、街中でナンパした女子大生だった。彼女は美術にそこまで興味を持っていなかったけれど、了承してくれた。

デート中、何かを聞き出さなくてはと思ったものの、気の利いた質問が浮かばず、代わりに自分のことばかりを話していた。

夜は大戸屋で定食を食べ、なるべく一日中いられるようにと、ボーリングを誘ってみたり、ダーツに行ったり、予定を一日に詰め込んだ。

でも次の日以降、彼女とは音信不通になった。

苦い思い出だ。

ぼくはデートの目的を「女性が男性を採点する日」だと決めつけていた。
だから、自分だけで何もかもを決めて、完璧なデートを実現しようと空回りした。

本来のデートの意味は、ローマ帝国時代の言葉で「会う予定の日」というらしい。

つまり、会えれば良いのだ。

デートに答えはなく、どこへ行くのも、何を食べるのも、二人の自由だ。
二人で会って、二人で楽しむ。これがデート。


当時のぼくにアドバイスをするなら、以下のように言ってあげたい。

どこに行くかなんて、相手と決めれば済む話さ。
恋愛の指南書なんて読む必要はないよ。

当日は、気の利いたことを言う必要はないよ。
「その服いいね、どこで買ったの?」くらいの雑談で会話は十分広がるんだ。ポイントは相手の良いところを褒めること。

相手のことを知ろうと意識するだけで、自然と質問が出てくるよ。
会話が弾めば、楽しくなってくる。

一回のデートで濃密な時間を過ごそうなどと思わなくて良いよ。
人は月に1回、長時間会える人より、月に4回、サクッと会える人の方に好感を抱くんだ。心理学ではこれを「ザイオンス効果」と呼んでいる。

付き合う前は月一回、丸一日かけて遠出するより、ランチだけ、夕飯だけとか、3時間くらいのデートを週一回くらいのペースで重ねてみるのはどうかな。でも、「ご飯友達」にならないように、しっかり自分の気持ちを伝えることを忘れないようにね。

雑談の中で、笑いが起きればお互いに相性が良い証拠。
会話のキャッチボールの回数分、二人の距離は縮まっていくんだ。

何度かデートを重ねれば、「この人の前なら私は自由に振る舞える」か、「どうしても相手に合わせて私を演じてしまう」の2つのパターンに分かれる。前者のパターンなら、今後もストレスの少ない良い関係を続けられるから、勇気を出して告白しよう。自分の気持ちは、口に出して伝えなきゃ絶対に伝わらない。

デート、それは男性が女性に採点される日ではない。

二人で自由に楽しむ日だ。



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