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マンション格付けチェック

週一くらいのペースで、平均築年数30年くらいの中古マンションを6年間見続けてきた。リノベ前提数は数えたことないけど、結構な数になる。

大量の中古マンションを見て感じるのは、管理状態の良し悪しで見た目はもちろん、その後の資金計画まで大きく左右されるということ。

下手すると、月1万円くらいだった修繕積立金が倍以上に値上げされたり、一時徴収金をがっぽりとられたりするリスクがある。

マンション買う時にどうしても、外観や立地、間取りに目が行きがちだけど、地味に大切なのが「管理状態」。管理、ダイジ。

管理状態が良いマンションというのは、一体なんなのか。僕自身はざっと挙げるとこんなことを気にして見ていた。

・長期修繕計画がある
・大規模修繕工事が13-15年周期で行われている
・修繕積立金がしっかり貯まってる
・防水工事が定期的に行われている
・共用部の給排水館が定期的にメンテナンスされている
・修繕積立金が適正額(およそ平米200円)
・滞納が多過ぎない

これらをどう見てくかというと、まずは「重要事項調査報告書」と「長期修繕計画」を不動産会社に依頼して取り寄せる。

そこからひとつずつ情報を見ていって、大丈夫か確認する。ネガティブな情報があれば、突っ込んで聞く。

正直に言うと、結構手間がかかる。

そのうえ、管理状態の良し悪しについては、明確な定義がないので、管理状態の良し悪しは担当者判断に任される。属人的。

以前から業界の一部では「マンションは管理を買え」は常識だったけど、まだまだ一般的ではない。

こういう問題を解決する制度がスタートする。「マンション管理適正評価制度」だ。スタートは2022年4月。

ざっくりいうと、管理の良し悪しの評価基準を明確にすることで格付けし、良い管理のマンションにインセンティブを与えるもの。

これは、今年マンション買う人はチャンスでもある。だって来年以降は良い管理のマンションは価格があがる可能性があるから。

今年が管理の良いマンションも、悪いマンションも特段販売価格の影響を受けずに買える最後の年なのだ。

今まではわ、管理状態の良いマンションと悪いマンシ価格差が無かった。知る人は得するし、知らない人は損する状態。

そんなのおかしいよね、ということで来年から施行される。今年買う人は是非最後まで。来年以降買うかもな人も参考までに。

マンション管理適正評価制度とは

この制度の大きな目的は、マンションの資産価値を上げること。定期的に管理状態をチェックし、常に良好な状態にすることを目指す。

僕らも定期的に健康診断を受けて健康状態を定期的に確認し、食事や運動を見直したりするけど、そんなイメージ。

定期的にチェックした診断結果は「開示」される。開示されることにより、買主保護に繋がる。驚くかもしれないけど、買う時に管理書類を見せてくれないマンションもあるのだ。

だから「開示」されるのが原則、となると、実はとてもエポックメイキングな出来事になると思う。2022年はマンション管理元年かも。

管理状態が良いマンションを選ぶメリット

①住みやすく、暮らしの満足度があがる

管理の良いマンションは住んでて気持ちが良い。植栽の手入れ、ゴミ出置き場、自転車置き場に至るまで、管理の良し悪しで変わる。

②リセールバリューの向上

一生住むと決めて買っても、ライフスタイルは変わらない保証はどこにもない。離婚する人もいるし、子供も大人になれば巣立っていく。

だから売りやすく貸しやすいのが大切。管理が良いマンションは、後付けで宅配ボックスがついたり、オートロックがつくところも。

修繕積立金が十分に貯められていれば、物件のスペックがあがり、売りやすく、貸しやすくなる。リセールバリューがあがる。

③保険料の割引による管理費の値引き

例えば、共用部分の給水管から水漏れが起きて、居住者のお部屋に損害を与えてしまったという場合は、保険適用になるケースが多い。

管理の良いマンションはそういったリスクが少ないので、保険料の割引による管理費が安くなる可能性がある。管理が良いとお得。

5つの評価基準

この評価制度では、マンションの管理状態を5つのカテゴリーに分類し、ハード面(建物/設備の維持管理)とソフト面(管理組合運営など)の両面から評価しポイントランク化し、誰が見ても分かりやすいように工夫されている。

これを全部覚える必要はないけど、この5つの視点だけは知ってて損はないと思う。一番ウエイトが高い「組合会計収支」だけでも。

①管理組合体制:20ポイント
・管理者の設置
・組合の開催、議事録の作成
・規約の整備状況

②組合会計収支:40ポイント
・管理費会計の収支
・修繕積立金会計の収支
・滞納管理費等への対策
・修繕に関する資金計画の状況

③建築・設備:20ポイント
・法定点検の実施
・長期修繕計画の有無
・修繕履歴の保管

④耐震診断:10ポイント
・耐震診断の実施の有無
・耐震診断結果、改修計画の予定の有無

⑤生活関連:10ポイント
・設備等異常時の緊急対応
・消防訓練の実施
・防災マニュアル等の整備状況

スコアだけにとらわれずに

点数が低いからダメ、というのは判断が早急すぎるかも。点数がわかることで、改善点が分かる。目標が分かる。改善により評価向上する。

次で良い評価がでれば、リセールバリュー上がる。ということで、現実のスコアだけでなく、管理組合の姿勢をみるのも大切だと思う。

まだまだ発展途上だが、海外で中古流通比率が高い国をみてみると、管理状態を確認して買うのは当たり前。日本もこの流れになると思う。

2022年4月にはじまるマンション管理適正評価制度。日本に情緒あふれる粋なビンテージマンションが増えるきっかけになって欲しい。

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