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クライアントの価値観を紐解く。ウェルビーイングの計測で。

どうも、メタメンターの代表をしてます、れおなと申します。
「コーチングをもっと身近に、もっとデジタルに、もっとサイエンスに」
するため日々精進しています。

さて、今回は念願の!
念願のファーストプロダクトとして、コーチやカウンセラーなどの対人支援者向けウェルビーイング診断早稲田大学 大月教授監修の元、リリースする運びとなりましたので、
・「リリースに至った背景」
・「なぜ今ウェルビーイングなのか?」
・「今後の展望」
などを書いていきたいと思います。

前回β版のご案内もいたしましたが、β版ユーザーの皆様の手伝いもあって無事にリリースされましたー🥳!!背景やストーリーについては是非本文ご覧いただければと思いますし、サービスを触ってみたいという方は「無料」で利用できますので、以下から是非ご利用ください!!
また、本文の後半には大月教授に解説いただいた動画も掲載してます!ご感想をフィードバックいただけると嬉しいです😊


リリースに至った背景

サラリーマン時代にウェルビーイングの大切さを実感

まず私の経歴でいうと2011年に新卒で一部上場企業のITベンチャーに入社した後、2016年には子会社の役員をさせていただく機会をいただきました。
子会社自体も2020年には上場をしたこともあり、周りから見るとかなり順風満帆なキャリアに見えていたと思います。

ただ、組織をマネジメントする側に立つと自分の仕事だけでなく組織全体をみていかなければならず、その観点では成長企業 故の悩みというのもありました。

もちろん事業を成長させていかないといけないプレッシャーでもあったのですが、それ以上に重たかったのは人に関する問題です。

組織として出来るだけ平準化や仕組み化は目指しつつも、次から次へと案件を取っていかないといけない状況であり、どうしても特定の人や組織に業務が逼迫してしまっていました。結果としては担当者のメンタルがすり減っていってしまい休職や退職という事態に陥るケースもありました。

また、マネジメントとして個人のウェルビーイング、つまりメンタルヘルス問題やバーンアウトを解決する明確な打ち手が見出しにくいとも感じていました。(休暇取得や1on1などは実施しましたが、本人にとってどれだけ効果があったのかは定かではありません)

ウェルビーイングの定義

ここで改めてウェルビーイングの定義を確認しておきますが、ウェルビーイングという単語は1946年のWHO(世界保健機関)設立に際して、スーミン・スー博士が定義づけした「健康」で登場しています。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康は、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない

世界保健機関憲章前文 (日本WHO協会)

また、ここからウェルビーイングとは、満たされた状態や心身と社会的な健康を意味する概念として広がっています。そして1985年にアメリカの心理学者であるエドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱した自己決定理論によると「自分で決める」ことがウェルビーイングにつながるとも言われています。

プライベートにおけるウェルビーイングの必要性

2021年頃になり(コロナ環境になり)、より一層職場においてウェルビーイングの必要性を感じていましたが、一方でプライベートにおいてもウェルビーイングと向き合うことになりました。

当時は仕事だけでなく、MBA取得に向けて休日や夜は(一応)勉強やグループワークをしていたのもあり、ほとんど家族の時間が作れていなかったと思います。今回は詳細を省きますが結果として、家族がウェルビーイングでない状態に陥ってしまい、自分自身のウェルビーイングも下がっていたと思います。

そのため自分の価値観は何か、何のために生きているのか、何のために働いているのかという根源的な問いにも向き合うようになりました。

私は幸いにも早稲田の先生との1on1(≒コーチング)で自分の価値観や在りたい姿に向けて考えていくきっかけをいただき、”私自身がコーチングによってウェルビーイングな状態に向かっていきました。それをきっかけとして私もコーチングによってクライアントのウェルビーイングを実現していきたいな”とも感じていきました。

コーチング実践者としての実感と課題

その想いから1年半ほどコーチとして実践経験を積み、まだまだ始まったばかりではありますが一定の成果もでてきました。(詳細は以下note参照)

私のクライアントとしては起業家や大企業のミドルマネージャーの方が多いのですが、私が前職で抱えていた課題と似たようなメンタルヘルス問題やバーンアウトを抱えている方も一定数いることに気づきました。

最近はこれらのメンタルヘルス問題やバーンアウトをブレイクスルーする方法の一つとして「クライアントの自己認識レベルを深める」というのがあるなと感じています。
そして、この方法は決してマイナスからプラスにするだけでなく、未来志向な方に向けたプラスから超プラスに向けたコーチングセッションにおいても有効だなと思っています。

どういうことか少し補足します。

まず、コーチングで扱っていこうとしているのは、表面上の事実ではなくクライアント自身の感情や価値観など深層部分になると考えています。(下図参照)もちろんコーチングスタイルや流派によって異なるケースはありますし、クライアントが求めていない場合は無理に焦点を当てません。
逆にコーチングではなくカウンセリングやキャリコンサルタントのような方も同じようにクライアントの深層にフォーカスを向けることがあるのではないかとも思っておりますので、対人支援者全般において共通的な関わりとも言えるかもしれません。

筆者作成

では、クライアントの自己認識レベルが深掘りされ、価値観や信条、アイデンティティが明確になったとすると、どのようにウェルビーイングに繋がるのでしょうか。(実は心理学やいくつかの論文などではこの辺りの相関は示されています)

例えば、価値観や信条が明確になったとしましょう。

クライアントが自分の価値観や信条を明確に理解していると、自身の選択や決断が価値観や信条に沿ったものになっていきます。そうすると、従来発生していた内面的なコンフリクトの解消がなされ、意思決定が改善されていきます。これらは自分の行動に対する自己決定感や満足度を高め、ウェルビーイングな状態へと向かっていくと考えています。

ただし、一方で以下のコーチングに関する課題も感じました。

①複雑性:コーチングは特定の質問をして特定の方法で進めていけば価値観や信条などのクライアントの深層に辿り着けるかというとそうではないと考えています。表面的なスキルよりも関係性や心身の状態などの変数も含めて捉えていかないと辿り着けない複雑性が高い要素だと思います。
また、1度上手く行ったとしても2回目以降も上手くいくとは限らないですし、クライアントを知った気にならないというのも大事だと考えています。

②長期化:複雑性が高いからこそ、クライアントの深層に辿り着くには時間が掛かることも多いと思います。また、辿り着いただけでは終わらずに、辿り着いた上で次はどうしていきたいかということにも目を向けます。
もしかしたら、今まで築いてきた価値観や信条というものを捨てないと次の目指す先には向かえないかもしれないです。そうするとより一層の時間が必要でしょう。

③恒常性:人には恒常性と呼ばれる元に戻ろうとする力が働きます。その方が安心だしリスクが低いからです。だからこそ、変わろうとするにはエネルギーが必要ですし、何を変えて何を変えないのかという深い自己理解が必要になってきます。コーチとしてはクライアントの現状や在りたい姿というものを出来るだけ可視化(言語化・ビジュアル化・文字化)していくことで、クライアントの恒常性を抑制し、変化を後押ししていく必要があるでしょう。

少し長くなってしまったのでまとめると、

コーチングなどの対人支援サービスによって自己認識レベルを深めることがウェルビーイングの向上に繋がると考えられます。
その一方で対人支援ならではの複雑性、長期化、恒常性などの課題が存在するため、再現性高いサービスが実現しにくい状況なのではないかと想定しています。

なぜ、今ウェルビーイングか

ここまでは自身の経験からウェルビーイングに着目した背景をお伝えしてきましたが、一方でビジネス面のトレンドやニーズも考えていく必要があると思っています。

グローバルで見たメンタルヘルス課題

深刻化するメンタルヘルスの問題は、全世界の生産性損失として年間1兆ドルにのぼるとも言われています。そのため、企業においては魅力的なウェルネス環境を整備することで欠勤の減少、職場の安全性向上、従業員満足度の向上などによる生産性向上で3倍のROIを達成できるというレポートがでています。また従業員の80%以上が職場のメンタルヘルスサポートが求職時の重要な要素になると回答しているアンケートもあり企業側のウェルビーイングに対するニーズが伺えます。(出典:PQ:Comprehensive Guide to Wellness at Work)

GDPと比例しないウェルビーイング指数

2012年まではGDPと比例して成長していたウェルビーイング指数(幸福度)ですが2012年以降はGDP成長ではウェルビーイング指数が向上しなくなっていきました。(Gallup調査)
これらの状況を背景に、国連は2015年「ウェルビーイングが保証される世界」をビジョンに掲げ、SDGsを中核とした持続可能な開発のための2030アジェンダを採択しました。

国内における人的資本開示の義務化

これらのメガトレンドの影響を受け、日本では2022年に人材版伊藤レポート2.0を発表をきっかけとして中長期の経済財政の評価指標としも採用されました。加えて2023年には有価証券報告書への人的資本に関する開示(ISO30414のガイドラインに基づいた開示対応)が義務化されたことでウェルビーイングへの対応も各社追われている状況ではないかと思います。

人材版伊藤レポート2.0:健康経営への投資とWell-beingの視点の取り込みに言及しており、「CEO・CHROは、社員の健康状況を把握し、継続的に改善する取組を、個人と組織のパフォーマンスの向上に向けた重要な投資と捉え、健康経営への投資に戦的かつ計画的に取り組む。その際、社員のWell-beingを高めるという視点も取り込んでいく。」としている

日本のWell-beingにおける取組(令和5年の骨太方針):日本における中長期の経済財政の展望とその評価・分析を行う際の指標として、1人当たり実質GDPと共にWell-being(生活満足度)も指標として設定される

このように一時的な流行ではなくメガトレンドとしてのウェルビーイングであるため国内企業も順次ウェルビーイングへの対策を講じていくと考えられます。

そして、私の想いとしては、メタメンターのツールを活用し、クライアントのウェルビーイングに貢献していることを定量化できているコーチは、今後企業ニーズとして表出化するであろう「組織のウェルビーイングを高めたい」というトレンドに乗っていくできるようになる(=儲けることができる)といいなと考えています。

ウェルビーイング診断について

さて、前段が長くなってしまいましたが、いよいよメタメンターのウェルビーイング診断について解説していきます。

まずは「コーチング実践者としての実感と課題」で前述した3つの課題についてですが、これらはクライアントのウェルビーイング状態を可視化することができると解決に近づくことができるのではないかと考えています。

一つ目の①複雑性ですが、クライアントのウェルビーイング状態を把握することで、ブラックボックス状態からのスタートではなくクライアントを理解する補助線にはなると思っています。一つのツールで人の複雑性が明らかになると思っていませんが、クライアント理解のヒントにはなると考えています。

続いて②長期化についても、ゼロからクライアントを把握しようと思うと時間を要しますが、ツールを使えばクライアント理解のショートカットができると思います。この際にクライアント側の負担になってしまっては利用されない仕組みになってしまうので、手軽に実施できる必要はあると思います。

最後に③恒常性についても今のクライアント状態を可視化した上でコミュニケーションすることでクライアントの恒常性を抑制しながらを変化を後押しすることになると考えています。

このようにウェルビーイングの状態を可視化することでコーチひいては対人支援者が抱えている課題を解消し、尚且つクライアントの変容を効果的に支援することになるのではないかと考え、ウェルビーイング診断を開発しました。

ということで、メタメンターのウェルビーイング診断を信頼性・簡便性・網羅性3つの観点から見ていきます。

信頼性

今回のアセスメントはメタメンター単独で作ったわけではありません。Well-beingと行動分析学を研究されている早稲田大学人間科学学術院 大月准教授(臨床心理士・公認心理士)に監修いただいています。

簡便性

定期的に受けてもらうには簡単で分かりやすいUIが必要ですが、今回のプロダクトはそれを実現しています。
以下に診断ページの動画キャプチャーがあるので見ていただいたら分かると思いますが、直感で回答していくと3-4分ほどで完了できます。(念の為5分で完了できると謳っています)
また、後述する網羅性を実現しながら3-4分で回答できるというところにも工夫が詰まっています。

網羅性

ウェルビーイングを心理的側面から測定するツールはよくあるのですが、心理的、身体的、社会的3つの側面を網羅的に明らかにする診断サービスは中々ないのではないかなと思っています。

また、対人支援サービスや福利厚生の刷新などの前後で測定することで、どのように変化したかという変化も可視化することができるようになっています。結果画面も動画キャプチャーを公開していますので是非ご覧ください。

ウェルビーイング診断の特徴

さて、ここまでツール側の解説をしてきましたが、改めて大月教授にウェルビーイング診断の特徴をまとめていただきましたのでご覧ください。


今後の展望

今回はコーチやカウンセラーなどの対人支援者向けのウェルビーイング診断サービスとしてリリースしてますが、今後は対人支援者向け機能をどんどんと拡充してLP機能や決済機能などを展開してきたいなと思っています。
サービス拡大に乞うご期待ください!

また、ウェルビーイング診断サービスについて対人支援者ではなく法人からも一定のニーズを確認できるようであれば、そちらの拡充も視野に入れていますが、まずは対人支援者の皆様に使い倒してもらえるよう改善をしていきたいと思います。


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