【失敗談】ヘルススコアや活用度を目指してはならない理由

こんにちは。Repro CSMの岩田です。
本記事はカスタマーサクセス Advent Calendar 2018 15日目の記事となります。およそ2年前。カスタマーサクセスの立ち上げ時期に、私自身が陥ってしまった2つの失敗体験を振り返り、まとめました。少しでもCS担当者の参考になれれば幸いです。

KPIはプロダクト活用度(ヘルススコア)だった

当時、プロダクト活用度が10%程度と悲惨な状況に陥り、活用度を引き上げる事が急務でした。

そのため、CSチームを立ち上げ、活用度を高める為に毎日3,4アポ取り、全契約顧客に訪問しました。足を運び、地道に顧客の声に耳を傾け、まず現状を知り、どうしたら活用していただけるか、考える日々が約半年ほど続きました。非常に泥臭い取り組みでしたが、成果は少しずつ見えてきました。

毎月訪問するたびに、クライアントに信頼して頂けるようになり、少しずつ当社が提唱する新しいアプリマーケティングの考え方を理解してもらい、Reproを使って頂けるようになったのです。

※当時、Reproを活用していただくには、新しいアプリマーケティングの概念を理解していただく必要があり、非常に時間がかかりました。HiCustomer鈴木さんの言葉を借りればReproは「啓蒙必須型商材」と言えるものでした。

とあるクライアントでの失敗

日々プロダクト活用度をモニタリングし、活用して頂く為に訪問し続けていたのですが、あるクライアントで活用度が一切引き上がらないという状況に直面しました。

Reproを活用してもらう為に毎月毎月訪問し、アプリのモデルに合わせた施策のご提案、他社事例のご紹介、時にはプッシュ通知キャンペーンの下書き保存することまで行いました。

しかし、一向に改善しない。。。一切使ってもらう事ができないどころか、徐々に連絡が取れなくなっていきました。

どうして活用して頂けなかったのか?

後で気付いたことなのですが、実は、当時そのクライアントにとっての最優先事項はReproの活用ではなく、「深刻なアプリバグの改修」だったのです。アプリバグが多発しており、エンドユーザーがアプリを利用したときに迷惑をかけてしまう。一刻も早くバグを直さなければいけなかったのです。

当たり前ですが、それはReproを活用してリテンション率を改善する事よりも、はるかに優先度が高い事でした。普通に考えれば「そりゃそうだよね」と言える事にすら気付く事ができませんでした。

顧客課題を真に把握できていなかった

ヒアリング不足でしたし、相手の立場に立って物事を考えるという基本的な事ができていなかったのが反省です。どのくらいの頻度でバグが起こっているのか、それによりどのくらいの工数をとられてしまっているのか、それによりエンドユーザーへどのような悪影響を及ぼしそうなのか、担当者の悩みは何か、真摯に聞くべきでした。

そしてReproとして何かサポートできないか、顧客の状況に寄り添い、真摯に対応すべきでした。

自分が顧客の立場ならこんな風に思うと思います。

「わかった。あなたの提案は分かった!正論だし、そうするべきだという事も重々承知している。でも弊社の深刻な状況を理解してくれ!!」と。

目の前にいるクライアントを見ず、活用度スコアだけを見ていた事による失敗でした。

もう一つの失敗。活用度が高いクライアントからの解約宣告

別のクライアントの話です。

オンボーディングを終えたクライアントがいました。活用度スコアは非常に高い状態になり、良い状態だと思っていました。しかし、、、

「すみません。解約を検討させてください。」
数週間後にこのような連絡を頂きました。

聞けば、Reproを頑張って活用しても成果を実感できないと。このままではツールの費用対効果の説明が難しくなってしまうと、ご相談を頂きました。

これを聞き、非常に反省をしました。

またしても、活用度スコアしか見ていなかったのです。当たり前ですが「活用度の向上=顧客の成功」ではないのです。そしてクライアントはReproの導入により圧倒的な成功と成長を望んでいます。(そこそこの成功は望んでいません。)

顧客の成功まで考えず、目先の活用度スコアの上昇に満足していた自分はCSM失格でした。

カスタマーサクセスはその言葉が示す通り、常に成功を目指しサポートし続ける職種です。

そのクライアントからの解約相談をキッカケに非常に反省し、成果が上がるまでサポートをさせて頂きました。その結果、大きな成果が出て、おかげさまで「Reproはアプリに取って必要不可欠な存在です」と言って頂けるようになりました。

活用度(ヘルススコア)が私たちに教えてくれる事

先日「カスタマーサクセス元年の2018年」を象徴するニュースがありました。カスタマーサクセスのヘルススコアを管理できるHiCustomerが正式リリースされたのです。HiCustomerは非常に使いやすいUXで、多くのCSMの助けになることは間違いありません。Totango CEOのGuy Nirpazも、ヘルススコアとそれを活用したポートフォリオマネジメントの重要性を主張しています。

ただ、ヘルススコア「だけに」囚われてしまうと、私のような失敗に陥ってしまうかもしれません。例えば、「活用度スコア」で測れることは「活用する>成果が出る>成果を認識する」という3ステップの「活用する」という一部分に過ぎません。*1

当然、活用度スコアが上がっただけでは、成果が出ているとは言えません。成果を認識していただくところまで達成しなければなりません。「活用度スコア」だけを目標にするのは危険です。

さらに、活用度を上げるためにコミュニケーションの頻度を上げればよいかと言うと、そう単純ではありません。顧客の状況や課題感を一切無視した不適切なサポートになっていないでしょうか。活用度スコアだけに囚われることなく、顧客の立場に立って考えられているでしょうか。

HiCustomer高橋さんの「顧客の目になろう」という考え方は大変参考になります。

サクセスケース作成数をKPIに

このような失敗体験から、ReproのCSではサクセスケース創出数(成功事例数)をKPIにおいています。「Repro使って頂くだけでは意味ないよね。成果向上まで貢献しなければダメだよね。」という認識をチームで持つようになりました。

「組織文化・エンプロイーサクセス」と言ったソフトイシューに取り組む

ただ、ヘルススコアの数値改善を目指せば、どうしても目先の数値に囚われ同じ過ちを犯してしまう可能性はあると思います。

そのためメンバー全員が「これは顧客のためになっているだろうか?顧客の成功のためには何が必要だろうか?」と自問自答し続ける状態にする事が何よりも大切だと考えています。さらに組織がスケールしても変わらず「クライアントファーストに考えるのが当たり前だよね」と思える組織文化を作っていく事こそが重要です。

10月中旬にラスベガスで開催されたTSWでも、「カスタマーサクセスは『カスタマーセントリックな組織文化をつくれるか』というソフトイシューが大事であり、そのためにエンプロイーサクセスに取り組む必要がある」というテーマが熱く議論されています。

まだRepro CSチームで実現できているとは言えませんが、エンプロイーオンボーディング、チームビルディング、採用など。一歩ずつですがチャレンジし、そのようなビジョンの達成を目指しています。(詳細は「CS×組織」連載記事をご参照ください)

Road to 2019

数多くの失敗を積み重ねていた当時は「カスタマーサクセス」という言葉すら知りませんでした。もし当時にカスタマーサクセスのノウハウがあれば、多くの失敗を回避し、もっと早くCSを立ち上げられただろうなと思います。

「成功はアートだが、失敗はサイエンス」
by 起業のサイエンス 田所雅之

私たちの失敗体験が、誰かの助けになれれば幸いです。

そして2018年はカスタマーサクセス元年。まだ始まったばかりでし、今後急速に成長していきます。*2

指数関数的成長にとって、全ての点は、いつでも始まったばかりだ

指数関数的に伸びていくところは、いつ微分しても、微分値は伸びてく。
つまり、テクノロジーによる圧倒的成長があるときに、「今では始まるのが遅すぎる」というのは大間違いで、いつでも始まったばかりなのです。毎日が始まりなのです。
by 日本再興戦略 落合陽一

2019年のカスタマーサクセスも、始まったばかり。最前線で全力でCSに取り組み、CSを楽しみたいです。2019年もどうぞよろしくお願いします。

by Kengo Iwata

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*1:本投稿では便宜上「ヘルススコア≒プロダクト活用度」のように記載していますが、正確にはそうではありません。ヘルススコアの要素の一つにプロダクト活用度があると考えています。「活用する>成果が出る>成果を認識する」全てのステップを計測可能なプロダクトもあれば、プロダクト外の「キーマンタッチ数やTouch Score」がヘルススコアになるサービスもあります。サービスごとにスコアロジックは異なるので、あくまで一例として参考にしてください。

*2:Gartner Hype Cycle for CRM Sales, 2018

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