スケールする組織を目指して。Repro CSチームのエンプロイーオンボーディングの軌跡

前回の内容

新メンバーの立ち上がり速度を改善するために、エンプロイーオンボーディングステップを設計しました。しかしReproのCSチームは1日3~4アポは当たり前。常に外出しており、メンバーの相談に乗ることや質問に答える事ができません。「生じた疑問をすぐに解決できる仕組み」を作る必要がありました。

そこでReproのエンジニアチームをベンチマークし、ドキュメント化に舵を切ったのです。


しかし、単にドキュメント化すれば良い問題ではなかった

なぜなら当時のCSチームはドキュメント文化が根付いていなかったからです。この状態でドキュメント化に舵を切ることは「一切読まれない死に文書化」するリスクを意味していました。

事実、Salesforceではドキュメントを用いたエンプロイーオンボーディングに失敗しています。ドキュメント文化が存在しない営業チームでドキュメント手法を採用すると何が起こるのかをSalesforceは教えてくれます。

【効果的な営業研修のアプローチ】
限られた資金で機動的にチーム内にオンボーディングしてもらうためには、消化しやすいサイズのコンテンツにする必要があった。パワーポイントやマニュアルを読んでもらおうとする行為はNGである。

Jim Steel氏はベストプラクティスの共有を推奨する文化づくりを行った。CEOを筆頭にすべての役員陣がエレベーターピッチを録画し、すべての社員が動画を見れる環境を整備した。それにより新入社員全員が会社の文化、サービスの特徴などを学び、すぐに売り込みができる状態になった。 エレベーターピッチも複数のタイプのものを用意した。90秒のもの、10分バージョン、ヒアリングピッチ、反論対抗ピッチなど。 新たにジョインした営業メンバーはそのコンテンツを見て、自身のエレベーターピッチを録画することで改善をしていった。
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「組織は、その組織の文化と調和することしか実行できない。」

心理学者で組織開発や組織文化の研究者、エドガー・H・シャイン博士はそう言います。

徹底的な数字ファースト、ロジカルファーストな文化で知られるGunosyさんも文化と相いれない「計測性や再現性のない施策の実行」が難しくなる事で知られています。

したがってCSチームも、文化が根付いていない状態で、ドキュメント化だけを進めれば失敗する事は目に見えていました。

突破する道は2つだけでした。

・1.Salesforceのように、チーム文化に調和する手法を採用するか

・2.チームの文化を変革するか

ReproのCSは変革を選んだ


CSチームにドキュメント文化を根付かせる。

まず行ったのは、自身をCEO(Chief Esa Officer)※
と名乗り、旗振り役となる事でした。チームのドキュメント化を宣言し、チームメンバーに「面倒くさいなぁ」と思われながらも「これドキュメント化お願いします」「このドキュメント読んでおいてください」と文化浸透を推進する役割をこなす。長期戦です。
※Reproではesa(エサ)というドキュメントツールを使っています

ちなみにCSチームでは新しいツールを導入する際に、旗振り役のCXOをアサインします。Trelloを導入するときはCTO(Chief Trello Officer)、Salesforceを導入するときにはCSO(Chief Salesforce Officer)を。結局のところツールの導入とは、異文化の導入そのものです。ツール活用が組織文化に適合しない場合、「ツールを導入しただけで、使いこなせず終わる」という状況に陥ってしまいます。したがってCSチームではツールを導入するとき、CXOをアサインし組織文化の変革に取り組みます。

ただ、CSチームはその特性上、エンジニアチームと密に連携が必要なチームでした。幸いな事に、ドキュメント文化はごく自然に根付いていきました。

esaを使ったドキュメント化

エンジニアチーム内で浸透していた「esa(エサ)」というドキュメントツールを使ってドキュメント整備を行いました。

そして、様々なドキュメントを「README」と呼ばれるトップページに一覧としてまとめています。

CS READMEの冒頭は
・チームテーマ
・ビジョン
・バリュー
・KPI
・期待するスキルセット
から始まります。チームの存在意義や目指す方向性を定義しています。

それ以下の構成としては以下の項目が並びます。

【セットアップ】
新しいメンバーが入ってきたときにセットアップするツール一覧をまとめています。以前は入社時に都度、face to faceでセットアップを手伝っていました。しかしドキュメントが拡充した現在では、読むだけでツールのセットアップが完了します。

【エンプロイーオンボーディング】
入社時の1on1ロードマップをはじめとしたガイドラインを用意しています。

【ストック情報&ナレッジ】

プロダクトや活用事例のコンテンツをまとめています。
またカスタマーサクセスに関するナレッジもまとめてあり、
・イベントレポート
・顧客インタビュー記事
・過去の失敗体験
・社内勉強会のまとめ記事
・社内輪読会のメモ

【主要業務内容の説明】
主要な業務内容を記載しています。その業務が生まれた背景や目的、ポイントを整理しています。

以上がCSで構築したドキュメントです。但し、はじめからこのボリュームだった訳ではありません。重要度の高い箇所から作成し、現在は新しいメンバーがジョインする度に見直しと修正を行っています。

質問しづらい文化の廃絶。「ドキュメント読め」は正しいか?

しかしある時、CSチームにジョインして間もないメンバー、孫(ソン)から相談を受けました。彼女は深刻な顔をしてこう言ったのです。

「Reproは質問しづらい空気がある。みんな昼間は外出しているし、帰社しても深夜まで働き、常に忙しそう。だからとても声を掛けづらい。。困ったことを気軽に相談しづらい。。」

本当にショッキングでした。そして、痛烈に反省しました。

無情にもドキュメント化の推進により、温かみのない冷たいチームにしてしまっていたのです。孫の一言で、チームが失っていた、大切な事に気づかされました。

「質問しづらい文化を廃絶する!」

チーム全員でこの意思決定を行いました。

そこで作成したのがSlackチャネル「#cs-question」です。気軽に質問できるチャネル。更にchannel topicに絶対守るべき規則を記載しました。二度と同じ過ちを犯さない為に。

回答負荷を低減する

何でも気軽に質問できる#cs-questionチャネルを作成したとはいえ、全ての質問に丁寧に答えられる余裕はありません。クライアントから、別のチームから、チームメイトから、全方位から質問が洪水のように雪崩れ込みます。さらにCSチームの練度が低下していた時期も重なっています。常にリソースは限界ギリギリ。

・質問しづらい文化をなくす
・回答者の負担を可能な限り低減する

この相反する2つの問題をダイナミックに解決しなければなりません。
VP of Engineeringの三木の助けを借りながら、質問フローの整備を行いました。

まずは自己解決、次にチーム内で解決という質問フローを整備し、他チームへの回答負荷を低減しました。ただ、急ぎの時はこのフローを無視して良い、とすることで「質問しづらさ」を解消するように努めています。

Repro CSチームがSalesforceに並ぶとき

2018年4月。1年前と比較して、
・立ち上がり速度は3分の1に
既存メンバーの立ち上げに必要な工数は3分の1に
短縮する事ができました。
1年前は設計書を作成しCS業務に慣れるまで最低でも3~4ヵ月かかっていたものを、1ヵ月に短縮する事に成功したのです。

CSチームがSalesforceに並んだ瞬間でした。

入社1か月目だった駒谷は、当時の様子を以下のように社内ブログで綴っています。

【驚きのドキュメント文化】
コマヤです。
リプロへ転職し1ヶ月程、日々刺激にあふれて大変楽しく仕事してます。
そんな私が入社して驚いたのが新人戦力化の仕組みが超整っている事。
Reproは"ド"ベンチャー、且つカスタマーグロース(サクセス)チームは、
昨年発足で業務内容もドンドン変わってるのに、、超整ってます。驚きです。(入社前は絶対OJTしかなくて血を流しつつ体で覚える展開だと思ってた)
カスタマーグロースチームは1日2~3アポが当たり前。そもそもあまり社内にいません。しかも経験豊富な人程クライアント抱えており手取り足取りする時間もない。。
がesaのドキュメントが「キャプチャはこう取る!」レベルの手順で整備されてます。ですのでSlack上でURLを貼り「コレ見といて!」で業務が進みます。

【効率化された育成ステップ】
BtoBツールのCSだと「まずサービス仕様が基礎、それから発展的な業務知識を、、」という順番で新人育成するトコもあるかと思います。(前職で私はそう教えてました。。)
しかしカスタマーグロースチームでは、

・まずグロースハック基礎知識つめこみ
・次に自社顧客の成功事例つめこみ
・その後、自社サービス操作・仕様理解してもらう

というような順番で育成する、と明確に決めてます。
業務知識なしに仕様から覚えると「こんな風にウチのサービス動くのねー」と分かった気になっても「実際のユースケース」をイメージして仕様を読み込めておらず、結局覚え直しになったするためです。先に業務知識を詰込む事でこの手戻りが少なくなります。

【動画コンテンツにより高速なキャッチアップが可能に】
Reproでは「事例共有会」「プロダクト説明会」
という2つの社内勉強会が行われています。
これらは全て動画に撮ってありいつでもアクセスできます。
入社前に有給消化しつつ空いた時間で見れたので速攻キャッチアップできました。
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by Repro 社内ブログより
※当時CSはカスタマーグロースチームという名前でした。

ReproのCSチームは、加速し続ける

2018年10月。マネージャー山中の判断で、OJT制度を取り入れることになりました。エンプロイーオンボーディングのプロセスが宙に浮いてしまうという問題があったからです。新入社員1名に対し1名の社員がOJT担当として、エンプロイーオンボーディングのサポートを行います。

また入社早々に1on1を行い、OJT担当者と新メンバー間でロードマップを決め目標設定を行います。

エンプロイーオンボーディングは、新しく入ってきたメンバーが定められた定型業務を「単にこなせるようになること」が目的ではない。最速で自走し、最速でその人ならではのバリューを最大限発揮する事が目的です。そして、クライアントへの価値を最大化することを目指しています。

そして、Reproは世界で勝ち切るサービスです。
領域もアプリに留まりません。デジタルマーケティング領域へ拡張し、AIを搭載し、急速に進化し続けます。

今、ようやくスタートラインに立った段階。

メンバーは加速度的に増え続けます。永遠に組織の問題に直面し続けます。しかし私たちは常に改善し続け、強固なチームを作っていきます。

全てはクライアントへの価値を最大化する為に。。

by kengo iwata

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