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大事にするって、約束してね。~マポロ3号『対世界用魔法少女つばめ 1巻』感想 ※内容に関するネタバレを含みます


まずはジャンプ+で今すぐ読むんだ。無料だ。そして1巻を買え。出たばかりだ。

この本を手に取ったきっかけ

初めてこの漫画を読んだのがいつ頃のことだったかは忘れてしまったが、とにかくジャンプ+で連載が始まって間もなくのころに読んだことは覚えている。正直に言うとこの時一度、第二話で挫折している。「なんか一人魔法少女になったと思ったら一人魔法少女いなくなっちゃうし、一人目の魔法少女のことだってなんもわかってないのにもう一人魔法少女が出てきてなんかそれを追う悪の組織みたいなのも出てきてうわーー!!!」となり、まあ、展開の速さについていけなかった。

それを改めて読もうと思ったのが、書店で新刊コーナーに面陳された青い表紙に一目ぼれしたからであった。

これはきっと変身シーンだ俺にはわかるそうに違いない

私は部屋のスペースの問題でマンガは基本的に電子版を買うのだけれど、このカラーの表紙があまりにもかわいかったので、結局紙でも買った。見開きページがちゃんと「見開き」になるので、やはり紙はよい。

魔法少女=祟り神、のその先へ

「魔法少女まどか☆マギカ」以降(以前の魔法少女のことをよく知らないので雑語りになるが)、魔法少女にはいつも暗い影が付きまとっているように思う。影がない魔法少女なんてプリキュアくらいなもんだ(最近はプリキュアでもなかなかに重い展開があるけれどまどマギほどのえぐみはない)。
『対世界用魔法少女つばめ』もそんな新しい王道にもれず、始まりの見開き一ページ目から「なんで私たちのことは誰も大事にしてくれないの? 守ってくれないの?」という、元(?)魔法少女による人類への呪詛で始まっている。

第一話の中で、漫画のタイトルにもなっている主人公のつばめちゃんが「魔法少女になりたいのは、いざって時に自分と自分の大事な友達二人を守りたいからだ」と言い、それに対して上記の呪詛を吐いた張本人である心心ちゃんは「それは魔法少女が一番言ってはいけないことだ」と返す。魔法少女が守るべきは世界全体および魔法少女ほどの力を持たない弱者であるところの一般人であり、たとえ自分にとって大切な存在であっても魔法少女である限り冷酷に切り捨てなければならないというのが心心ちゃんが持つルールである。

祟り神の話をする。(これまた私の知識が足りないので専門にしている方から見たらあまりにも雑な話をしているなあとあきれられるだろう、という保険をここに置かせてください。)祟り神はもともと厄介な悪霊を神様として祀り上げることで鎮まってもらおうという考え方から生まれた信仰対象である(これがとても雑な説明であることは重々承知しておりますすみません)。祟り神は名前からすると「めちゃくちゃ荒ぶっててやべえ神様」であるように思われるが、実はちゃんとお祀りすればとても心強い守護神になってくれる(ということになっている、実際のところはわからん)。

心心ちゃんおよび心心ちゃんの時代の魔法少女が祀られない祟り神と化した存在が「思念」「大罪の思念」である、と私は解釈した。そしてそんな祟り神から「あなたは祟り神にならずに私をちゃんと祀ってね」と託され魔法少女になったのが主人公のつばめちゃんである。

「魔法少女まどか☆マギカ」において、まどかは最終的に自分の身を犠牲に世界を救う。でもつばめちゃんは、きっとそんなことはしないのだろう。だからこそ心心ちゃんは「全部の思念を倒すって約束してね」と言って、彼女を魔法少女にしたのだろう。

サムネ切り取ってて今気づいたけど、表紙、これ指切りげんまんするために小指立ててるね……。

「本当に大事なもの」を決められるか

この漫画の登場人物はみんな、「自分の一番大事なもの」を決めている。

つばめちゃんの大事なものは「自分、そして友達である心心ちゃんと泪ちゃん」である。これは第一話で明言されている。

心心ちゃんが、魔法少女として大事に「すべきである」と思っていたのは世界の平和だった。これも第一話から。たぶん心心ちゃんの時代にいた魔法少女たちは皆そうだったのだろう、本当に大事にしたいものは世界以外にもきっとたくさんあっただろうに。

第三話で登場する魔法少女でない人物も、「僕の最重要は泪、オーケー?」と他人に宣言するほどに強い決意をもって「大事にするもの」を決めている。そしてそれに対しつばめちゃんは「オーケー! 私もあなたより泪ちゃんが大事ー!」と答える。無邪気で、単純で、愚かに見えるほどまっすぐで、だけどこのまっすぐさは愚かさであったとしても他者を守るmlのである。

一人の人間が抱えきれるものには限度がある。心心ちゃんや、最終的に「憤怒の思念」になってしまった緋薔薇ちゃんは両手を広げても抱えきれないほどの「世界」を守ろうとした結果、魔法少女でいることが苦しくなったのだろう。
その点つばめちゃんは自分が抱えられるものだけを抱えたいと願って魔法少女になった。その他の魔法少女とは違って、「自分で」一番大事にするものを決めている。これはすごくすごく重要な点だと思うし、この点が今後の物語に大きくかかわってくるんだろうなあ~と思っている。つまりめちゃくちゃ楽しみ。

絵柄がポップでキュートで超かわいいって話

これはこの見出しの通りで、この漫画は絵が! マジで! 最高に! かわいい!!!!!!

主人公のつばめちゃんは魔法少女になるとリボンとフリルとハートでいっぱいのめちゃくちゃかわいい衣装になる。対照的に、もう一人の魔法少女である泪ちゃんは鎖をモチーフとしたダークでセクシーな衣装になる。鎖はおそらく、泪ちゃんが本当は魔法少女でいたくないことを表現したデザインなんだろう……と思うんだけどとにかく! 今まで祟り神だのなんだの分析してきたのを放り出して、この漫画は全部のページが「超カワイイ」であふれている。

私は装飾が好きだ。過剰であれば過剰であるほどいい。ハートにリボンにフリルにヒラヒラのスカート、これらがなくて魔法少女は名乗れない! めちゃくちゃかわいいすべてのコマを時間かけて楽しんでほしい。

今後の楽しみな伏線(箇条書き)

・つばめちゃんや泪ちゃんなど現役魔法少女のお目目はきれいなハートになっているけれど、心心ちゃん、緋薔薇ちゃんなど旧魔法少女はハートがギザギザに割れてしまっている。今後つばめちゃん泪ちゃんのハートも割れちゃうときが来るのかしら……(ドキドキ)

・上空のハートが割れた時の思念のデザイン、中央にある骸骨? でできた瞳? みたいなのは一体何だろう? 

・死んだはずの魔法少女が思念になって上空を覆うまでは一体何があったのだろう。気になる!

・つばめちゃん、泪ちゃん以外の現在魔法少女は登場するのかしら?

・回想シーンで心心ちゃんの隣にいた長い黒髪の女の子、誰!?!?

・心心ちゃんも七つの大罪のうちの一つを担っているのかな? だとしたらなんだろう。七つの大罪外だとしたら、何になるんだろう!?!?(ワクワク)

・つばめちゃん泪ちゃんは「対思念用魔法少女」、心心ちゃん緋薔薇ちゃんは「対世界大戦用魔法少女」。じゃあ、タイトルの「対世界用魔法少女」になったつばめちゃんは、自分と友達を守るために世界を敵に回すってコト??????

まとめ

ジャンプ+なら今すぐ! 最新話まで!! 無料で!!! 読める!!!!

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以上です

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