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Vol.14 浜松市のお金事情について

今回は、今までの見方とは少し違って、浜松のお金事情(地方財政等)について見ていきます。

ただ、この観点においては浜松市単独で見ても分かりづらいと思いますので、近隣市町村である「磐田市」「湖西市」、また同じ静岡県内の政令指定都市である「静岡市」で比較していきたいと思います。

○浜松市の税金について

まずは、皆さんの生活にも関わる税金について見ていきます。

皆さんが、地域住民として生活する場合でも、また事業を営むにしても、この部分は知っておく必要がありますね。

出典:総務省「地方財政状況調査関係資料」、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯調査」一部加工

<一人当たり地方税>
2017年以降増加傾向であり、2019年は、189千円、静岡県内で10番目、全国では175番目の順位になっています。
近隣市町村では、湖西市が一番高くなっていますが、ここ数年その差は少なくなってきています。

<一人当たり市町村民税法人分>
2009年以降、ほぼ横ばいで推移しており、2019年は、15千円、静岡県内で12番目、全国では220番目の順位となっています。
近隣市町村では、湖西市が10千円程度高くなっておりますが、その他地域に関しては、ほぼ同額となっています、

<一人当たり固定資産税>
2008年以降、ほぼ横ばいで推移しており、2019年は、68千円、静岡県内で28番目、全国では526番目の順位となっています。
近隣市町村では、湖西市が一番高く、浜松市よりも35千円高くなっています。
また、近隣市町村比較においては、浜松市が一番低くなっています。

一生活者目線から言えば、税金って安い方がいいと思いがちですが、現時点での税金だけで見るのでなく、時系列に見たときに上昇しているのか、また下降しているのか、そして、その要因は何なのかをしっかりと見極めていきたいですね。

また、税金を納めるのは良いですが、その納めた税金がどのように使われているのか、そんなことも注意深く見ていきたいですね。

ということで、次はどのようにその税金が使われているのか歳出面から見ていきます。

○浜松市の歳出決算額について

<目的別歳出決算額の比較(構成比):2019年>

出典:総務省「都道府県決算状況調」「市町村別決算状況調」「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯調査」

こちらでは、実際に各市町村が、どのような項目にお金を使っているのかを見ることが出来ます。
こうやって見てみると、各市町村によって多少力の入れ方が違っていることが分かります。

浜松市は、全国平均や近隣市町村に比べ「教育費」の構成割合が高いですね。
また、「商工費」も高いように思われます。やはり産業の街としてこの辺りは充実させているのでしょうか?

<目的別歳出決算額の比較(構成比):時系列比較>

出典:総務省「都道府県決算状況調」「市町村別決算状況調」「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯調査」一部加工

次に、時系列でも見てみます。

【浜松市】
先ほど見ました浜松市の「教育費」に関してですが、長年高い割合を示していた訳ではなく、2017年から急激に上がっていることが分かります。
近年、より一層教育に力を入れ始めているのでしょうか?
また、「商工費」に関しては、一過性のものではなく、コンスタントに高い構成割合を占めています。

【磐田市】
「土木費」、「教育費」が2017年から増加傾向であることが分かります。
また、その他地域と比べると「労務費」の構成割合が結構高くなっていることが分かります。

【湖西市】
「衛生費」の割合が他地域に比べて5%強程度高くなっており、健康増進、疾病予防、環境保全などに力を入れているように見えます。
また、浜松市同様「商工費」の割合も高いことから産業面の強化を図っていると思われます。「教育費」についても2019年は大幅に増加しています。

【静岡市】
「土木費」が右肩下がりで、大きく構成割合を低くしています。
また、浜松市同様2017年以降「教育費」が急激に増加しています。

このように歳出状況を見ても、それぞれの市町村で傾向が異なる部分がありますので、どのような所に力を歳出が増えているのか、また逆に歳出が削減されつつあるのかをチェックすることは必要かもしれませんね。

また、各市町村の「総合計画」等で、その街をどのようにしていきたいのかといった指針が示されていますので、こういったものも併せて見ることで、政策と歳出状況と連動性があるのか、またその効果が出ているのか等、効果検証も出来ると思いますので、ぜひ、色々と確認してみてください。

<参考:総合計画等>

○財政状況について

出典:「地方公共団体の主要財政指標一覧」「地方公共団体定員管理調査結果」「都道府県決算状況調」「市町村別決算状況調」「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯調査」

最後に財政状況についても少し触れます。
用語解説については下記致しますのでご確認ください。

浜松市は、財政力指数が、0.87と全国平均の0.51(財政力指数が高いほど、財源に余裕がある)を大幅に上回っており、経常収支比率についても92.7%と全国平均93.6%(比率が高いほど財政構造の硬直化)を下回っており、安定的な状態となっていることが分かります。

また、実質公債費比率も5.5%と全国平均5.8%を下回っていると伴に、近年改善傾向でもあり、健全化が進んでいるものと思われます。
(早期健全化基準:25%、財政再生基準:35%)

<財政力指数>
地方公共団体の財政力を示す指数で、基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値。財政力指数が高いほど、普通交付税算定上の留保財源が大きいことになり、財源に余裕があるといえる。ただし、特別区の財政力指数については、特別区財政調整交付金の算定に要した基準財政需要額と基準財政収入額によって算出したもの。

<経常収支比率>
地方公共団体の財政構造の弾力性を判断するための指標で、人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費(経常的経費)に充当された一般財源の額が、地方税、普通交付税を中心とする毎年度経常的に収入される一般財源(経常一般財源)、減収補てん債特例分及び臨時財政対策債の合計額に占める割合。この指標は経常的経費に経常一般財源収入がどの程度充当されているかを見るものであり、比率が高いほど財政構造の硬直化が進んでいることを表す。

<実質公債費比率>
当該地方公共団体の一般会計等が負担する元利償還金及び準元利償還金の標準財政規模を基本とした額(※)に対する比率。借入金(地方債)の返済額及びこれに準じる額の大きさを指標化し、資金繰りの程度を示す指標ともいえる。地方公共団体財政健全化法の実質公債費比率は、起債に協議を要する団体と許可を要する団体の判定に用いられる地方財政法の実質公債費比率と同じ。(※標準財政規模から元利償還金等に係る基準財政需要額算入額を控除した額。)

<人口1人あたり人件費・物件費等の決算額>
人口1人あたりの人件費、物件費及び維持補修費の合計。ただし、人件費には事業費支弁人件費を含み、退職金は含まない。

○まとめ

今回は、各市町村の税や歳出、更には財政状況について見てきましたが、住んでいる地域のお金事情を知ることで、自分たちとしても様々なことに対応したり、考えたりすることが出来ると思います。

また、街のことは行政にお任せではなく、住んでいる人たち一人一人が自分事として捉えることが必要だと思います。

ぜひ、今回のような地域のお金事情を知ることで、自分たちにとって住みたい街、住みやすい街に向けて何かアクションを起こしてみてはいかがでしょうか?

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