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バスバトル

 世の中で最もテンションの上がらない乗り物といったらバスだ。大体の人がそうだろう。少なくとも私はそうだ、1番苦手な乗り物だ。でも満員電車だって辛いしなぁ、、、いやそれでもバスだ。バスに乗るのが1番しんどい。

 スチュワーデスさん、今で言うキャビンアテンダントに憧れる子どもはたくさんいる。特に女の子。男の子で言うスポーツ選手なんかと同レベルに憧れられるキラキラしたイメージを纏う職業だ。だがバスガイドさんに憧れる子どもは少ない。体感だが全国で6人ぐらいしかいないはず。

 どちらも観光業に属する仕事なのに、遠足でお世話になるのはバスガイドさんなのに、バスガイドさんが憧れられることはほぼない。クラスの女子には無い大人の魅力にノックアウトされるマセた男児を除いて。

 それは思うにバスに乗るという体験にポジティブな思い出を持っている人が少ないからだろう。私もバスには嫌な思い出しかない。

 バスの嫌な思い出として代表的なのは乗り物酔いだろう。万葉集に収録された和歌でも”バス”は、”乗り物酔い”の枕詞として使われている。古くは平安時代から”バス”と”乗り物酔い”は切っても離せない関係なのだ。

 バス移動でなぜ酔ってしまうのか。それはバスという乗り物のルーツを考えれば歴然だ。意外と知られていないことだが、バスとは「罪人を揺さぶって苦痛を与える拷問器具を自走できるように改良したもの」だ。成り立ちからしてそもそも酔わせる方がメイン移動はオマケなのだ。そりゃあ酔うに決まっている。(大嘘です)

 幸い私は乗り物酔いに強い方だ。過去に酔ったのは小学3年生の時、夜間の長距離移動バスの暗い車内でマリオテニスGBをぶっ続けで遊んで気持ち悪くなった一度のみだ。この体験も、酔ったと言うよりは、自ら酔いに行ったと表現したほうが正確なレベルの愚行であるため。私は乗り物酔いへの耐性は強い方だと思っている。

 そんな私でもバスでの乗り物酔いを恐れている。なぜなら、当たり前のことだがバスに乗っているのは私だけじゃないからだ。路線バスを除いて、バスに乗りこんでしまった者は、自分の望んだタイミングで降りることができない。我々乗客は運命共同体なのだ。

 いくら自分が乗り物酔いに強くても、一緒に乗り込んだ人の中にはバスが苦手な人がいるかもしれないし、体調のすぐれない者もいるかもしれない。あるいは、懲りずにマリオテニスをやり続けるバカが潜んでいる可能性もある。メンバーは選べない、即席チームで戦うことを強制される

 そう、バス移動とは忘れられがちだが集団競技なのだ。さらに悪いことに、チームプレイ型の競技の中でも「メンバーそれぞれが長所短所を補って勝利を目指すタイプ」ではなく、「チーム全員がノルマを抱え、1人でも失敗すると連帯責任が発生するタチの悪いタイプ」だ。似ているのは長縄。運動会で競われる中で、あれほどグロい競技はない。

 と言うことでバス移動の恐怖について語ってみた。なぜ今こんなことをやっているかと言うと。明日私は、仕事の関係で片道3時間越えのロングドライブに挑むことになったからだ。お休みなのに。

 戦う前に敵の強みを分析しておけば、理性的に試合に臨めると思ってこの記事を書いてみたのだ。

 でもムリ。勝てる気がしない😨

 おしまい

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