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医療費の増大で思うこと。

病棟=老人ホーム?

 私は今までの人生で大きな病気を経験したことがなかったが、年明けに胆石発作で倒れて、入院手術を行ったことで、病棟の実態を知ることになり、衝撃を受けた。老人ホームに間違えて入れられたのかと思う程度に、高齢者で溢れかえっていて、入院している患者の中で20代の私と最も年齢が近かったのは40代の方だった。つまり、現役世代は健康保険料を納める一方で、その納めた保険料の大半は私たち現役世代に還元されることなく、高齢者に使われていることを意味している。

 個人的には、国民が納めた税金や社会保険料、つまり国や地方自治体の財源は、一時的にそれを必要としている人であったり、公共性が高く、潰れてしまうと困る人が出てくるような事業を支えるために使われるべきだと考えている。

瀕死の弱者とゾンビ化する強者。

 だからこそ、今回の疫病で、旅行業界を潤すだけの政策や、飲食業界に対する休業支援金、物価上昇に伴う年金の追加給付などには税金を惜しげもなく使っているのに、なくなったら経済的な弱者ほど困るはずの公共交通機関や将来を担う若者に対しては自助努力を強いるなど、税金の使い方に疑問を感じている。

 医療費も同様である。医療費の増大が問題となり、医薬品をジェネリックに切り替えるなど、小手先の改革しか行っていないが、もっと根幹となる構造改革に踏み込むべきだと考える。

 医療費の窓口負担割合は、現役世代が3割で後期高齢者は1割負担となっている。菅義偉さん(フルネームなのは苗字だけだと、別の歴代首相と誤解を招くため)が現役並みの所得がある後期高齢者の窓口負担を、団塊の世代が後期高齢者となる前に2割としたのは、現役世代としてとても評価している。

国益に貢献する人を優先して支えた方が長期目線では良い。

 生産年齢人口にあたる現役世代が、大きな病気をしたことで一時的に100万円単位の医療費が発生した場合、本人の負担が10万円で、国が健康保険や医療制度で90万円負担しても、現役世代が社会復帰することによって、一時的に負担した額以上の税金や社会保険料を将来的に納付してくれるわけだから、税金を使っても支えるべきだと考えている。

 しかし、後期高齢者が1割負担で医療を受けたところで、基本的に社会復帰して税金や社会保険料を納めてくれるわけではない。むしろ現役世代から年金を搾り取るだけである。

 社会保障に投資的な観点を持ち込むのはいかがなものかと言う意見もありそうだが、少子高齢化によって収入のパイが減るのが目に見えている以上、限られた財源の中でどの世代を助けると国益につながるかと言う視点は今後重要になってくると思われる。

 現に自分で食べることができなくなってしまった高齢者に対して、胃ろうの処置を保険適用で行っている。後期高齢者の場合、医療費の9割が国民の税金や社会保険料から賄われているのが現実で、生物として食べられなければ死んだも同然のところを、無意味に延命させて長寿大国を謳ったところで、医療費は増大するに決まっている。

高齢者に押し潰される現役世代。

 そうして、現役世代の負担が重くなり、若者は将来に希望を持てず、最悪の場合自殺してしまうわけである。現に駅員時代の同僚は将来に希望が持てないためか、首吊りに至ってしまった。鉄道に身を投げる方がハードルが低いにも関わらず、彼は最期に苦しむ首吊りを選んだ。心境を今更考えたところで死者が生き返る訳もないのだが、心の闇を感じずにはいられない。

 これは氷山の一角でしかなく、現役世代の自殺者数は軒並み増加していて、老後世代が減少している傾向が統計上明らかとなっていることからも、シルバー民主主義社会であることを如実に表している。

○令和3年は令和2年と比較して、20歳代、40歳代及び50歳代の各年齢階級で増加した。
○増加した年齢階級の中では、50歳代が最も大きく増加し、193人の増加となった。一方、減少した年齢階級の中では、60歳代が最も大きく減少し、158人の減少となった。

令和3年中における自殺の状況|警視庁

時には極端な舵取りも必要な現代。

 後期高齢者になったら医療費は全て保険適用外で、国は手助けせず自助努力で延命するかを選択する。浮いた医療費や年金の財源を教育や少子化対策に充てる方が公営費の本来あるべき姿であり、長期目線で国益になるのは明らかではあるが、何よりシルバー民主主義社会であるため、こんな過激な発言をする政党は与党を含めてどこにもいない。その点では維新の会が提唱しているベーシックインカムが現実的かつ整合性のある再分配制度だと感じている。

 現行の社会制度の多くは、人口が右肩上がりで増加することを前提にして作られたもので、少子高齢化に直面している日本社会には適合していない。現在、中国やインドでは人口が増加傾向にあるが、世界の人口は2100年頃に110億人をピークに減少に転じると、統計をもとに予想されている。

 恐らく私を含めた多くの現役世代は、世界人口が右肩上がりの最中に最期を迎えるため、全世界株のインデックスファンドに投資しておけば間違いはないが、1〜2世代後は世界人口が頭打ちになり、日本のようなパイの奪い合いが始まるものと思われる。

 その点で、日本は偶然、他の先進国よりも先立って少子高齢化問題に直面しているのであり、現状は脱却できずに失われた30年と無惨に年数が増えているだけではあるが、具体的な解決策を確立できれば、世界中のロールモデルとなることも可能である。そのためには今後、後期高齢者は健康保険を剥奪するくらいの過激な舵取りも必要になってくるのではないだろうか。

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