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決断疲れ。

 決断と聞くと、高価なものを決意して購入する時の印象が強いかも知れないが、そんなに大袈裟なことではない。

 起床するか、しないか。ごはんを食べるか、食べないか。着替えるか、着替えないか。どの服を着るか。会社や学校に行くか、行かないか。これらは全て決断だ。

人は平均で1日に35,000回の決断をする。

 にわかに信じがたいが、米ロバーツ・ウェスレヤン大学の研究で明らかになってる。

 アップルの共同創業者であるスティーブ・ジョブズさんは、プレゼンの際はいつもイッセイミヤケの黒いタートルネックに、リーバイスの501、ニューバランスのスニーカーだった。フェイスブックの創設者であるマーク・ザッカーバーグさんはグレーのTシャツに黒いパーカーと決めている。

 心理学の世界では決断するときの労力を「認知資源」と呼んでいて、彼らはこの認知資源を無駄遣いしないことで、重要な決断を確実に行っているわけだ。

認知資源の無駄遣いは判断ミスの元凶。

つまり、いかに決断疲れをしないかが、正常な判断を行うためには重要となるわけだ。そして、世の中はこの決断疲れをマーケティングに利用している。

 例えばスーパーのレジ付近にはちょっとしたお菓子が置いてある。お菓子コーナーのお菓子ほど魅力はないはずなのに、なぜか手に取ってしまうのは、決断疲れによって非合理的な誤った判断を行なっているためだ。

 そして、常により多くを望む貧しい人たちほどこの傾向が強くなる。なぜなら、道中の魅力的な商品を買いたい誘惑に対して、「値段が高いから」、「今日は気分ではない」などの、尤もな買わない理由を無意識のうちに、いちいち考えて自分を納得させて、買わない決断を何度も行わなければならないからだ。そうしてレジにたどり着く頃には認知資源を消耗して、対して欲しくもない些細なお菓子に気を取られて衝動買いと言う名の浪費をしてしまうわけだ。

選択のパラドックス。

 心理学では有名な話で、選択肢が多ければ多いほど選ぶのがかえって難しくなり、結果として不幸になる心理作用のことだ。

 現代は情報技術の発達によってあらゆる情報が簡単に入手できる。でも、集めた情報が全て真実である可能性は少ない。多かれ少なかれ、偏った情報であったり、場合によっては嘘や出任せが混在している。そうなると、情報を集めれば集めるほど迷い、結果として認知資源を消耗する。最終的に人は選ぶのをやめて先送りする。

先送りしたツケを払うのは将来の自分である。

 このことを忘れてはいけない。情報収集は大事だが、あえて情報を受け取らないことはそれ以上に大事なのだ。

”何をするか”より”何をしないか”が重要。

 私はテレビを所持していないし、SNSアプリも通知で集中力を阻害されたくないから入れていない。面倒でもブラウザから都度アクセスして、情報を受動的には受け取らないようにして、認知資源を温存している。温存した認知資源を、重要な判断を行う株式投資などに割きたいためだ。

 私服を固定化している著名人みたく、選択肢を無くすほどのストイックさは必要はないと思うけど、何事も3択程度に絞れると即座に選べることだろう。松竹梅が理にかなっている訳だ。

極端の回避性。

 行動経済学の世界では、3つの選択肢から1つを選ぶ場合は真ん中を選ぶ心理作用があるとされている。

 当然、マーケティングもそれを織り込んで、真ん中の商品が一番儲かるように価格が設定されている。

 私は天邪鬼な性格が幸いして、こだわるものは最上級で、それ以外は安物と基本的に中途半端な真ん中を選ばない。一番安いものを買うのは申し訳ないと思う世間体と言う名の気遣いは不要なのだ。

認知資源温存術。

 私なりの方法にはなるが、インナーは無印良品で同じものを4セット揃えている。毎日履くスニーカーも黒色のニューバランスで同じ型番が2足ある。6足ある靴下も無印良品の重なり直角靴下を同じ柄で揃えている。これは、洗濯物を取り込む時に靴下のペアを探す手間がなくなり合理的だからだ。靴下がバラバラだと、片側だけ紛失して見つかるか定かでないのに保管したり、片側が破れた時に、もう一方はまだ使えるのにペアが成立しないからと一緒に捨てる必要もなくなる。全てをスペアとして活用できるわけだ。スペアとして活用できるのはスニーカーも同様だからおすすめだ。


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