私たちについて

私たちは助産師、小児外科医の夫婦です。
今まで皆さんに小児の医療の知識や技術を提供してきました。
たくさんのお父さんお母さんからの「どうしたらいい?」に対して
「こうしてみたらどう?」とアドバイスしてきました。
曲がりなりにも、プロだと自覚していました。

ところが、私たちの子どもにはそのアドバイスは全く!通用しませんでした。

困った私たちは、市役所、小児科、園、学校、カウンセラーなどたくさんのところに相談に行きました。

ですが、どこに行っても

「お母さんの愛情が足りてないんじゃないですか?」
とか
「しつけをちゃんとしないと!お母さん、子どもになめられてるからそんなことになるんですよ」
とか
「核家族でお父さんが忙しいから、子どもが不安定なんですよ」

という言葉が返ってきました。
そう言われたら、「そうか、私の育て方が悪いのか」
私はそう考えました。

一生懸命やってるつもりなのに、子どもとコミュニケーションは取れないし、
言い聞かせているのに子どもはカッとなって暴れること毎日。

私は疲れ切ってしまいました。
公園で健やかに過ごしている親子を見るのも辛くて
外出が出来なくなってしまいました。
たくさん泣きました。


私の子どもがようやく児童精神科医の診察を受けることができたのは
8歳の時でした。
そして、自閉スペクトラム症の診断を受けました。

私たちはその時、実はうれしかったです。
子どもに障害があると分かってなぜうれしかったのでしょう。

それは、訳の分からない子どもとの生活に理由があることが分かったからです。
私たちの育て方が悪いわけではないのだと。
これから、きっと状況は良くなるだろう、そう思えたのです。

診断までも色々ありましたが、
診断を受けたからと言って、何かが劇的に良くなるわけではなく
手探りで子どもに接することは変わりませんでした。

学校とのやりとり、前例がないと断られることばかり。
病院は数か月に1度、なかなか予約が取れません。

今、14年経って思うのは、
私たちのこんな思い、しなくてもよかったのではということです。

結局親だけが苦しみながら子どもの環境調整を頑張らないといけない
今の現状、変えます。