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Nikon F

NikonFは、1959年6月に発売されたニコン初の一眼レフカメラ。
亀倉雄策氏が外観デザインを手がけたFは、とんがり頭のアイレベルが可愛く、ニコン初の一眼レフ機でありながらすでに完成された形になっています。
1974年6月まで15年もの間生産されアイレベルの他にもフォトミック、フォトミックFTn等のファインダーが登場し、露出計を内蔵したファインダーで撮影がしやすくなりました。

このFの魅力は、強靭なボディとガシャンと奏でるメカニカルシャッターです。
Fは、ほぼメタル部品で作られていますので、落としたりしない限り滅多に壊れることはありません。プラスチック部品よりも歪みや劣化も少ないので50年以上の年月が経った今でも変わらず使うことが可能です。
Fは、電池を全く使わないメカニカルシャッターで1秒~1/1000秒のシャッタースピードで動作します。メカニカルシャッターはギアやスプリングのみで動作しています。これも壊れにくい要因のひとつで、ギアに注油さえすればシャッタースピードの正確性を保つことが出来ます。
メカニカルな重みのあるシャッター音は、何とも心地よいのでシャッターを切る楽しみを感じ取れます。

Fの外観

アイレベルのとんがり頭にある「F」のロゴが何とも美しい外観でカラーは、シルバーの他にブラックがあります。当初ブラックカラーはプロ仕様の特注品でしたが後に市販化されました。シルバーに比べ市場にある台数が少なく貴重なカラーと言えます。

とんがり頭のアイレベルとFのロゴは、Fのポスターや化粧箱にも使われていて亀倉氏のデザインのこだわりを感じさせます。
ニコンミュージアムで「亀倉デザイン」の企画展が開催を参照

写真のFは中期型のシルバーで最も市場に出回っているタイプです。
初期型との見分け方は、シャッターボタンの前にあるロゴがNIPPON KOGAKUの富士山マークが初期型です。中期型以降は、Nikonのロゴに変更されています。

後期型は巻き上げレバーとセルフタイマーのレバーに黒いプラスチック部品が追加されています。
巻き戻しクランクの右下にあるボタンはファインダーを取り外せるボタンで、アイレベルを取り外してフォトミックファインダー等に交換することが可能です。

FはレンジファインダーのS系の名残があり、裏蓋が脱着式になっていたりシャッターボタンが巻き上げレバー側にあったりして使い勝手は良くありませんが、時代を感じされる情緒あるモノづくりを感じさせます。

底面にあるASA(ISO)表示板はフィルムのISO感度を設定できます。赤矢印がカラーで黒矢印がモノクロのISO感度値を示していて、ダイアルを回し設定します。
単にフィルム入れる時のISO感度のメモ機能として使うだけで、本体側に影響を与えるものではありません。

フィルムの入れ方

フィルムを入れる時は、底面にある開閉キーを回し裏蓋を取り外します。
まず初めに開閉キーのノブを持ち上げます。

開閉キーをOPEN側に回し切ると、裏蓋のロック機構が解除されます。

裏蓋を底面方向に平行にスライドさせ取り外します。
くれぐれもフィルムを交換する時は、にシャッター幕を触らないようにご注意ください。

フィルムのパトローネをパトローネ室に入れてフィルムを少し引っ張って右側の巻き上げ軸にあるスリットに差し込みます。

シャッターを押し巻き上げレバーを回し、巻き上げ軸にフィルムが巻き上がっているのを確認します。
さらに、スプロケットの歯車とフィルム上下の穴が噛み合っていることを確認します。

裏蓋を元の位置より少し下に被せ上面に平行にスライドさせます。
開閉キーをCLOSE側に完全に回転しロックさせ、ノブを戻します。

数回シャッターを押し巻き上げます。

フィルムカウンターが0になったことを確認してフィルムの準備ができました。

フィルムの巻き戻し

巻き上げレバーが回らなくなったらフィルムを撮りきったと感覚で分かります。
フィルムの巻き戻しは、まずシャッターボタンにあるA - R切り替えスイッチをR側に切り替えます。

巻き戻しクランクのノブを起こして矢印の方向に回転させます。回転中はシャッターボタンの赤いマークも回転します。途中で回転の負荷が軽くなりシャッターボタンが回らなくなるタイミングがありますので巻き上がり間近であることが分かります。もう数回巻き戻しクランクを回します。

底面にある開閉キーをOPEN側に回しロックを解除します。裏蓋を底面方向に平行にスライドさせ取り外します。

フィルムが巻き取られたパトローネを取り出し、裏蓋を戻しロックします。

撮影の機材

Nikon FにNew NIKKOR 50mm f1.4 (前期型)のレンズを付けフィルムはKodak Gold 200を使って撮影しました。
アイレベルのFは露出計がないので、TTArtisan TT-METER IIを使って大体のシャッタースピードを計測しながら撮影することにしました。

意外な盲点だったのが、Fにはホットシューがない事に気づき、調べてみるとガンカプラーAS-1を巻き戻しクランクに取り付けると使えるようになるとか。
実際に取り付けてみると、せっかくのスタイリッシュなデザインが台無しですよね。

デジタルカメラを持ち合わせている場合はFと2台持ちで、デジタル機をFと同じISOと絞り値にしておけばシャッタースピードが分かるのでFのシャッタースピードをデジタル機に合わせて撮る方がスマートかと思います。

作例

Nikon F + New NIKKOR 50mm f1.4 (前期型)
Nikon F + New NIKKOR 50mm f1.4 (前期型)
Nikon F + New NIKKOR 50mm f1.4 (前期型)
Nikon F + New NIKKOR 50mm f1.4 (前期型)
Nikon F + New NIKKOR 50mm f1.4 (前期型)