第1楽章リピートするブラームスが好い

譜例の繰り返しを演奏するか、省略するか。
わたしはマッケラス盤を聴きつけているので、繰り返すのが当然と思っています。20世紀中は省略される演奏の方が多いのではないかしら。

序奏冒頭部はティンパニ・ロールに載ってもう一度現われ、寂しげな木管の調べを経てアレグロの主部に入る。提示部には繰り返し記号があり、かつては繰り返して演奏されることはあまりなかったが、近年は繰り返しが行われる例も増えている。

ウィキペディア
リピートするよう指示
譜例付き動画でリピート省略の場合


ラトルはハ短調第1楽章の、繰り返し部分約「3分30秒」分を省略しています。第1楽章が約14分なので、繰り返すと17分30秒かかる計算です。
そんなに重大な理由はないかもしれません。3分短ければ3枚組が2枚組になるくらいのことかしら。とはいえラトル盤は3枚[1+(2+3)+4]。
アダム・フィッシャーは繰り返して14分54秒。繰り返し部分は約3分間。もし省略したら、11分54秒で第1楽章は通り抜けてしまいます。とはいえアダムも3枚[1+(2+3)+4]。昔なら廉価ナクソスだからと思ったでしょうが。
最近のティチアーティ指揮は繰り返し省略で12分、2枚組。
イヴァン・フィッシャーは、繰り返して16分半。1交響曲+αで1枚つくり計4枚。実に興味深い兄弟です。(いわゆる「音楽家の一族」ですな。)
繰り返し演奏は、マッケラスは15分半。ジンマンもほぼ同じ。ノリントン約14分40秒(セカセカ系)。ガーディナー約15分(いつもガサツに聴こえます)。アーノンクールは17分10秒ほど。マゼールも繰り返して17分20秒ほど。

アダム・フィッシャーは、埋没してしまう管楽器の音が妙に届いてきて、中には、即興的装飾してませんか?みたいに聴こえるところもあります。
弦楽器が無限流麗なスピログラフでなく、トメハネのはっきりした日本の書道のような雰囲気。全体に「セカセカ」「チマチマ」しては聴こえません。ただ全体に管楽器がういて聴こえ、映画音楽のよう。あえて言えば「ファンタジア」のストコフスキーを想い出しました。

アダムには熱烈なファンがいました。立派。
わたしが「トメハネ」と聴いたのは下記と符合するかもしれません。

http://blog.livedoor.jp/haydnphil/

弦楽器が少ないから音に厚みがないし、ダウンボウで音を短く切ることが多いので、弦楽器が多いフルサイズのオーケストラの演奏に慣れている人はびっくりする

クラシックおっかけ日記



トメハネ・ブラームスの評価で、ホ短調交響曲は効果的だ、というのがありました。トメハネがややブツブツと乱暴に聴こえます。ふと、とりあえず交響曲は指揮者の意志を尊重して、しかしブラームスだけとってみても、その他の管弦楽作品、協奏曲とかはどうなってしまうのかしら。18世紀オケの初期、協奏曲でブリュッヘンのオケと協調する独奏者がいるか、話題に。結局メンバーとして活動したギボンズやホープリチを独奏者として起用しました。晩年はショパンのピアノ協奏曲も演奏、有名なゲストと協演していました。(オケにこだわったツィメルマンみたいな奏者とは相いれない感じがしますが) ブラームスのピアノやバイオリンの協奏曲はよく交響曲的といわれます。最近でたシフのブラームスのサンプルを聴きましたが、その限りではシフはオケをアダム・フィッシャーには任せそうもないなあ。

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