「うちの　お父さんの名前、回文みたいで面白いんだよ。
”たかはしたかし”だよ。」

恵美ちゃんとは、それでゲラゲラ笑った思い出がある。
小学生から短大まで、ずっと一緒の学校だった。
華奢で、ツインテール。中学ではショートにして、
あだ名は”パチ”。隣の家に、柴ちゃんという親友が居て、
２人はいつも一緒だった。

パチと私は学校の行事で一緒に行動するけど、
仲が良いこれといった思い出はない。

同じ短大に入った時、
たぶん、パチは柴ちゃんと学校が離れて、誰か探していて、
私に一緒にバイトしようと誘ってくれた。場所は結婚式場。どう考えても私がまともにお役に立てそうにない場所だけど、
パチの紹介と言う事で、採用してもらって、短大時代お世話になりました。

バイト中も、パチは新郎新婦のご両親を担当したり、真面目で気配りの出来る人で。私はドンテン（片付け）とテーブルセッティングの記憶が多い。
だから、仲良く一緒に働いたという思い出はあまりない。

ここまで話してきて、パチとの思い出はあまりない。で終わってしまうと
読んでいただいた事が申し訳ない。ここからです。

短大を卒業する卒業旅行。
一生の思い出に残りそうな、卒業旅行。
パチに誘われて、２人で東京ディズニーランドへ行った。旅行の予約も、チケットも全部パチがリサーチして準備して、私は当日、時間通り動いただけだった。大変だっただろうと思う。
でも全然そういう顔しないし、シンデレラ城で最後の一撃の剣を振ったりして。メダル貰って（ハタチ超えてても貰えるんですね）。一緒に来れて良かったと言ってくれていた。

確かに卒業旅行の事は、今でも覚えている。
夢の国まじで夢の国やなと思えた。

パチは２０代で白血病でこの世を去ってしまった。
それから私は、自分から何かを始めるタイプじゃなかったんだなと思う。
一向にまともに何かが出来ている気がしない。
私にとっての幸運を呼ぶ人。
パチが居てくれたらなと思う時がある。