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帽子を作るこだわり

みなさんこんにちは。
お久しぶりのブログです。
今回は帽子を制作する時のこだわり。

そもそも帽子を始めた時は、自分で被れる帽子が作れればいいな!と思っていました。ところが帽子の学校に通い始めると奥が深い事を知ったのです。
初等科、中等科、高等科に分かれて技術のレベルが上がっていきます。
科が上がる度に課題を提出、作品を作り、レポート提出、筆記試験を受けます。
先生からは細部まで教えていただけるので、手作りである意味、価値。を学べます。世の中には安くてそれなりのモノ。が溢れかえっていますが、手作りのモノには手間や技術等が組み込まれているのが分かります。

今回は布で作る帽子をご紹介します。

布の帽子を作るには型紙から制作します。

パターン作りは立体裁断と呼ばれ簡単に言えば、この紙で立体的に帽子を作るところから始まります。布でなく、紙で帽子を作るのです。
帽子は細かいカーブが多く少しの歪みが仕上がりに大きく影響します。
この紙を切る際にはごくごくごく少量を調整しながら滑らかなラインを作っていきます。ハサミで切るというより、デコボコした歪みを削る。と言う表現の方が適切かもしれません。

次にパターンができると型だしという作業に入ります。
白い布で実際に帽子を作っていきます。
神経を使って完成させたパターンと1ミリの誤差もなく布を断ちます。
縫いしろは基本的に5ミリです。7ミリや1センチの帽子もありますが、表地と裏地が重なることを考えると厚みが出るので5ミリになります。

そんな細かい作業を終え縫い合わせ白い布が帽子の形になります。
出来上がった形を360度から確認しバランスを見ます。

ビスポークの帽子はこの時点でお客様にフィッティングしてもらいます。

ここで合格ならば型紙の完成です。

そして、ここからが本番で表地の布で帽子を作り裏地でも同じ形を作ります。裏地の縫い目を割る作業にも被り易さを追求し、サイズリボン(サイズバンド)という額に接するテープにもカーブをつけたりと細かい気遣いがあります。

私が帽子作りが楽しい!と思えることはいくつかありますが、妥協せずに細かいところまできちんと作業すると素晴らしい完成度の帽子ができます。
昔からツメが甘い性格で最後の最後で万歳をしてしまう私ですが、先生の元で帽子作りを習い始めてから丁寧に仕事をすると、それ以上の帽子が完成するという事を学びました。そしてこれらは髪を切る仕事でも同じです。
360度から確認をし何度も細部まで細かく仕上げていく。すると丁寧な仕事になりお客様にも喜んでいただける。趣味で始めた帽子が本業と大きく関連する点があります。

「お金では買えない価値がある」そんなフレーズのコマーシャルがありましたが正にその通りですね。お客様の為にどれが一番似合うかを考え、その中で自分らしさを表現し形にする。頭の形、髪質、毛量、癖、好み、普段のお召し物、すべてを脳の中で組み合わせご提案するヘアカット。帽子も同様に作りますが、いつ、どこで、どのシチュエーションで?が加わります。
ご自身の為だけに、世界で一つだけの物。その裏には量産ではできない手間やこだわりがあり、それが手作りの価値だと思います。

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