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ルパン三世 PART5 ルパンの声とルパンの孤独


「その名前、誰から聞いた?」


短い沈黙の後クリカンの声が一瞬裏返る
声のトーンが変わる


不二子の名前を出されて言葉に詰まったルパン
動揺したのがわかる


ミスのような声の裏返りは
声優出身の人ならしないはず


パート5のクリカンは名シーンてんこ盛り
プロの声優じゃないから物凄く時間かかったけども
その不安定さから何が出て来るかわからない新鮮な演技が生まれてる

それは即興性や意外性をポリシーとする原作ルパンと物凄く相性がいい
山田さんが2ndでやたらとアドリブ入れてたのもそういうことかなあと


声優出身の方の声はどんなシーンもテンプレ通りで想像出来てしまう
いくつもの感情パターンをそれぞれの声のパターンに当てはめてる
うますぎて意外性がない
コンスタントに90点出してくる

でもクリカンはそのテンプレがないから中々ハマらなかったけど
たまに120点のホームラン打ったりする
普段があまり高くないというのもあるかもだけど(笑)


山田さんにそっくりな声優さんいるのにずっと変えなかったのも
ルパンのイメージをあえて固定させないためもあるのかな

クリカンによる新境地開拓は嬉しいボーナス
ワルい声、シビアな雰囲気が本当よく似あってる

シリアスなシーンは山田さんよりドス利いてたりする
クリカン苦手な人は最近のルパン観てないんじゃないかな


沢城さん、クリカンのこと天才って言ってましたけど
そう思うと思います

声優さんが行けない所、出せないものを見つけちゃった
それは芸人としての即興性みたいなもの

プロの声優の声に驚きはない
でもクリカンのルパンにはいくつもの驚きがある


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「不二子とはもうそういうんじゃねえよ」


空の青さが本当きれいで
ルパンのスーツとよく似あう
ルパン・ブルー
ルパンの心もブルー


パート5の枯れた感じのルパンは
ガツガツしてないせいで知的に見える
眼鏡要らないほど(笑)


パート5のルパンは撃たれて倒れる回数もダントツだけど
そこはまあ相手が悪かったということで
本当は歴代で最強だと思うのです
この冷静さと落ち着き、暗さ


一番ハードボイルドしてるかもしれない


次元がバンバン殺してたけど
本当はルパンがやりそうなくらい冷徹


銃撃戦の下で顔色一つ変えないミラージュ回
全てを手に入れ生き甲斐のない老人と同じ境地
不二子の話をされても動じない


次元の腕を信頼しきっている
でも次元がダメなら自分が生きてても仕方ない
不二子もいない
だから生き残ろうが死のうがルパンには同じこと


歴代で一番冷たくて淡々としてる
心が冷え切っている


あの不可解な次元の暴力性
虐殺シーンはルパン(の気持ち)でもあると思う
次元はルパンのシャドウだから
次元にアレをさせたのはルパンの心では


それくらいパート5のルパンは不二子を失って、芯から冷めきってて
心は凶暴になっている

表面上はいつものルパンだけど
殺伐としてる

だから仲間の心が離れて行ったりする


きっと一度も負けたことのなかったルパンが
挫折したことのなかったルパンが
不二子との関係で初めて敗北を味わっている


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パート5は熱いと書いたり冷たいと書いたり
大分矛盾しているようですが

ルパンの心の内圧が一番高い状態とでもいいましょうか
これまでのどのルパンよりも熱く、どのルパンよりも冷たい
だからテンションがすごい


不二子への想いは熱いままなのに
叶えられない感情は理性で冷やすしかない
内に秘めた感情は静かな怒りとして現れる

理性的になればなるほど怒りは溜め込まれる
それが最後爆発して次元のあの行動・・・


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空のブルーと海底のブルー。ルパンの心もブルー
寂しかったのはアミだけじゃない
孤独の淵にいる二人に青い希望の光が射す
まるで教会のよう


ちなみにミラージュ回
敵はルパンの鏡と考えると、あの大富豪の爺さんはルパンの将来でもあるかもしれない

スリルを求めて散々無茶して来たルパンが
あの爺さんのように年老いて引退して
若い頃のようなスリルを味わえなくなった時
あんな風な金に任せたクレイジーなゲームを
楽しむ姿が想像出来るのだけど




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