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災害時の役割②|災害ボランティア

前記事に続き、ここでは災害ボランティアの役割について触れますが、読んでくださっている皆さんに改めて分かっていただきたいことは、特に災害時に顕著に表れること。
それは、自治体の手が行き届かないこと、制度として役目にないこと、または社会システムとして不足していることがあるということです。

災害ボランティアの役割とは

「被災者が再び自らの日常生活を送ることができるよう、手が足りないところ、時には支援の手が行き届かない領域で生活再建の手伝いをする」ことです。
これは目的といえます。

不足する人手

災害時の自治体と社協の役割は重要ですが、大規模災害では地域内の役所や社協も被災をし、あるいは職員が被災し、組織としての機能が一時的に停滞することがあります。
また、長引く激務で疲弊し、離脱を余儀なくされる人もでてきます。
これは、医療や消防、警察であっても同様です。

一方で、「住民同士で助け合うもの」ではありますが、地域よっては深刻な過疎化など、様々な社会環境の変化や災害そのものも甚大化し、以前とは被害の様相も変わってきています。

例えば、散乱物や家財道具の片づけや清掃は大変な作業であり、親戚や知人の手伝いがあっても相応な時間と労力を費やすことになります。
更に、日常生活に必要な多くを失った場合は避難生活もままならない中で心労も蓄積し、体調を崩す人もいます。

届かない物資

被災地には、発災後数日で国、災害協定のある自治体、民間企業、個人などから提供された物資が届きます。
これは報道でも見聞きできることなので、被災地外の多くの方は「すぐに配られるだろう」と安心されるでしょう。
しかし、実際は直ぐに、全ての被災者に、くまなく、継続して、届くことはほとんどといってありません。
その理由は大きく3つ。

  • 人材不足(仕分け、運搬要員)

  • 被災者数、被害状況の把握が困難(一定の時間を要する)

  • 品目、数量が揃わない(被災者数に相当する物資の数量不足)

いわゆるロジスティクスの問題ですが、加えて自治体は住民に対し平等に扱うことが前提ですから、物資の数量がひとりひとりに、若しくは世帯ごとになくてはなりません。
言い換えれば、用意が整うまでは配付ができないということです。
そして、把握できない被災者や情報が届かない被災者には物資が行き渡らないことがあります。

不足する人手と支援の空白を解消するために

捜索、救助・救出、片付けや物資の用意、困りごとの聞き取り、精神ケアなど、災害時は多岐にわたる対応に要する人材が圧倒的に不足します。
そこで外部への要請として、自衛隊や消防、医療従事者、自治体・社協職員が被災地外から派遣され、それぞれの役割において支援にあたるわけですが、冒頭に書いたようにこれらをもってしてもカバーできないことがあります。
このような時にその穴や隙間を埋めるのが災害ボランティアの役目といえます。

未来がこの瞬間の先にあるならば、現在進行形で不自由を強いられている被災者にとっては、明日につなぐための今を生き抜くことが大事なのです。
そして、今日を生き抜くために必要なことは金銭よりも、灯りや温かい食べ物であり、心の支えなのです。

以下、参考

災害対策基本法(抜粋)

(国及び地方公共団体とボランティアとの連携)
第五条の三 国及び地方公共団体は、ボランティアによる防災活動が災害時において果たす役割の重要性に鑑み、その自主性を尊重しつつ、ボランティアとの連携に努めなければならない。

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