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カブール


チャランゴ



チャランゴという楽器を、私はボリビアに住んで初めて目にした。

最初は、Centro Cultural de Los Kjarkas という音楽教室で、
Rene Arinasさんという先生のクラスに入った。

Rene先生は、なんども日本で演奏活動をしているベテランで、
国際的なチャランギスタだった。
日本人の演奏家との親交も盛んだったらしく、
日本人なのに何を弾けるわけでもない私のことを珍しいと感じているようだったけれど、いつも親切に、たくさん指導してくれた。

最初の一カ月は先生から楽器を貸してもらった。
その後は、一緒に楽器屋さんに行って選ぶのを手伝ってもらった。

先生は私のことを貧乏だと思っていたのかもしれない。
楽器屋さんへ行くと、素人の私でも「これって音、出るの?」という雰囲気の楽器ばかりを「これがいいんじゃない?」と勧めてくれた。値段だけ見てとりあえずお手頃なのをお勧めしているように感じられた。

もう・・・
そうじゃなくて・・・

私がほしいのは・・・

Suarez(スアレス)!

レッスンの時に隣の席にいた少年がとても上手に弾いていて、その子と同じのが欲しかった。

それは、Suarez(スアレス)というメーカーのチャランゴで、200USドルくらいだった。

1時間くらい楽器屋さん巡りをして、やっと、あった!!

わたし、これが欲しいです!

みぃつけたぁ!

いい感じのチャランゴが、あった!

これはすごくラッキーで、しっかりしたチャランゴはめったやたら店頭に並んでいないのだとか。

きちんとした楽器を欲しい人はオーダーメイドするのが普通で、
後に、もう一台欲しいと思っていろいろな店を巡ったとき、
ネックが曲がっていたり長さがズレていたりして音が安定しないチャランゴばかりが観光客騙しに売られているだけだった。

コンクール、その後


なんとなくボリビアに住むからボリビアの楽器を習ってみよう、酸素が薄い高地で笛系はキツイだろうから、じゃぁ、チャランゴで、という軽いモチベーションしかなかった私も、良い楽器を買ったからには頑張らなきゃね、と気合が入った。

一年後にはコンクールに出場した。
それがきっかけとなり、チャランゴフィルハーモニー(Filarmonica del Charango)という楽団に入ることにもなった。

それは50人くらいでチャランゴを合奏するチームだった。

チャランゴの神といわれるマエストロ・エルネスト・カブールさんも、ここにいた。

カブール(Maestro Ernesto Cavoure)


エルネスト・カブール - Wikipedia

カブールさんにお金を払ってレッスンしてもらうことは一度も無かったけれど、一緒に練習することは多々あった。




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