見出し画像

1年ぶりの生ポルノグラフィティで泣いた話

3/31は私が愛してやまないポルノグラフィティの19th LIVE circuit「wasn’t built in a day」の最終公演日である。

有明アリーナという駅から絶妙な距離の会場で、私とポルノグラフィティとの距離のようなもどかしさを表しているようだ。高鳴る胸の鼓動に合わせて一歩一歩踏み出すと、そこには待ちに待った会場と音がお出迎えしてくれた、という話を今日は書き記しておきたい。

そもそもなんで私はこんなに心待ちにしているのか。それは単なる愛の深さだけではない。このLIVEを応募し当選した日、私は人生2度目の大学受験の真っ最中だった。当時はこのLIVEで受験合格を盛大に祝ってもらう予定だった。

残念ながらその目論見は共通テストで世紀末のような点数をとったことで叶わぬ夢となったが、それでも視点を変えて慰めてもらいにいこうと切り替えた。

そしてその受験によって全てのライブに行かなかった。「受験が終わればポルノグラフィティの音に包まれることができる。」これだけを胸に生きていた。この日まで私はもはや生ける屍だった。

そして生ける屍が人間に戻る日、それが3/31である。

1年ぶりのライブは天国だった。グッズ売り場での長蛇の列ですら、生ける屍にとってはライブを盛り上げるスパイスであり、何を買うか悩むことがこんなにも幸せかと噛み締めていた。その反動で締めていた財布の紐がつい緩みきってしまい、思わず買うつもりのなかった初回限定盤のシングル「解放区」を勢いで買ってしまった。「これは投資であり、募金である。自分のお金に付加価値がついた」と記事を書いている今でも錯覚が残っている。

一度会場を後にし、お昼ご飯をたらふく食べて精神統一した。ソロでの参戦はグループやカップルで来る周りと比較すると、少し寂しさもある。だが、そのおかげでライブで使う喉を温存できた側面もある。飲み物も買い、いつライブが来ても大丈夫であった。

お昼ご飯後のライブ会場は、グッズ購入の時とは別の顔を見せてきた。いよいよライブが本当に始まるのか、このことの想像したら涙が滲んできた。この時すでに私の涙腺が今日で枯れ果てることが確定していた。

席はアリーナのC7後方。理想的な席では決してないが、この際どこで見ても感動する。この時のために私はメガネを購入した。どこにいてもモニターだけでなく肉眼でポルノグラフィティを捉え、脳裏に焼き付けることが可能になった。気持ちは無敵である。

ポルノグラフィティのライブはライブ前も盛り上げる工夫がなされている。会場にある無数のカメラで客を切り抜きモニター越しにイジるという、恒例のやりとりがある。そのやりとりは客だけでなく、スタッフや警備員にも矛先が向くので、普段なら無機質な存在にも温かみを与え、我々がポルノグラフィティであるという一体感を一層掻き立てる。

明かりが消え、今回最後のライブサーキットが始まる。モニターに演出が流れ始めた途端、今まで我慢してきた感情が爆発した。本人登場前に号泣してしまった。

スモークの中からついに本人が出てきた。一年越しの2人は一層格式高く見え、神々しい。ここでメガネが思わぬ活躍をする。晴一のギターが新機のグレッヂであることを捉えたのだ。ギターで新機を投入するというのは、野球で言えばピッチャーを変えるようなものである。黒いグレッヂはこのLIVEの大谷翔平だ。それで私の涙腺のダムは完全に決壊した。

びっくりするかもしれないが、曲は始まってない。
自分の感受性が仕事し過ぎて、頭が少し痛む。

そんな中、ついに一曲目が始まった。
「Century Lovers」だ。私が思うポルノグラフィティの中でのこの曲の立ち位置は「終盤の観客から精魂を抜き取るバンパイア」であり、もう声出すのしんどい…ってなった時にやってくる曲だ。

それを最初に持ってくるなんて、誰が予想できただろうか。おそらくこのLIVEが約4年ぶりに叫ぶことができるようになったライブツアーだから、最初から精魂を持っていくつもりなのだろう。私は選曲にびっくりして、初めてこの曲で泣いた。

続いてくる曲が「テーマソング」だ。
この曲はコロナ禍に生まれた曲で、元気のないファンの心に一筋の光を届けたに違いない。そしてこの曲は大合唱のパートがある。この曲が出た時から私は「大合唱するまでは死ねない」という呪縛に縛られて生きてきた。それがこのライブの2曲目にして呪縛から解放され、感動で泣いた。

3曲目はイントロをライブ仕様に変更し、合唱できるようにしてきた。聞き覚えがあり、なんとか歌えたが、タイトルが出てこない。一気に明るくなった会場とともに鳴り響いた晴一の特徴的なリフで思い出した。「キング&クイーン」だ。モヤモヤがスッキリして、泣いた。

4曲目は「Mugen」である。これもイントロで叫ぶところがあるので、もちろん合唱する。この曲は私がギターで弾くことができるようになりたいと必死に練習し、弾けるようにした思い入れのある一曲である。そのリフを晴一が黒いグレッヂで優雅に弾いているところを見て、泣いた。

そしてこのライブで初めての2人でのトークである。ここでのやりとりはデビューまでの話だった。

実はポルノグラフィティは1999年9月8日のアポロでのデビューまでに2年ほどライブハウスで全く集客できない状態が続いていた。その当時のマネージャーも「気持ち強く頑張ろう」と根性論を振りかざす以外できず、全く売れなかった話をしてくれた。

今でこそ売れて、知らない日本人を探す方が難しい。
そんな2人にも苦悩の時期があったという話、これまでに何度も聞いているが、今の状態の私には初めて聞いた感動エピソードに聞こえてくる。故に、泣いた。

トークもひと段落し、曲が始まる。

沈黙を破った曲は「REUNION」である。印象的な電子音に尖ったロックサウンドが耳に残る最近のアップテンポナンバーである。これは初めてポルノグラフィティがライブをリモートで行った「サイバーロマンスポルノ」のアンコールでいきなり演奏した曲である。当初はシングルで出すつもりがなかったらしいが、この曲は彼らが作った名だたる名曲を置き去りにし、ぶっちぎりでファンの心に刺さった。ファンが駄々をこねたせいで、シングルのカップリングに入ったのではないかと噂される曲だ。私が生で聞くのは今回が初めてだ。感動し、泣いた。

その次は「俺たちのセレブレーション」である。この曲は編曲に携わっていた本間昭光氏から2012年に離れ、2013年に出したアップテンポナンバーである。セレブレーションの名にふさわしく、とにかく盛り上がる曲だ。だがこの曲はなんせ裏拍と表拍の行ったり来たりが多い。つまりライブで腕を振るタイミングが何とも合わせにくい。だが、ポルノファンはこうした難曲でも息がぴったりである。

7曲目は「アニマロッサ」である。テレキャスターの尖った音で聞く出だしの軽快なカッティングがなんとも心地いい曲である。この曲はしまなみポルノ2018で初めて聞いたが、外と中ではまた違う感覚があった。この曲に関しての私の中のエピソードは、よくカラオケで歌うくらいの距離で、不特定多数のカラオケで特にお世話になっている。頼りになる先輩みたいなイメージがある。

8曲目は「メリッサ」だ。言わずとしれたポルノグラフィティを代表する名曲の一つである。この曲は数多ある楽曲の中でも特にライブ映えする。なぜか。昭仁のロングトーンが非常に心地いいからだ。昭仁はポルノグラフィティ公式YouTubeの「DISPATCHERS」で判明しているが、肺活量が2700ml程と成人女性の平均を少し超える程度しかない。なのにハイトーンを出し続けることができるのはブレスのタイミングが神がかっているからかもしれない。何度聞いてもスカッとする。

ここで一旦休憩である。トークしたり準備したりしていた。ここまでで私の体はかなりしんどい。泣き過ぎで頭がくらくらする。トークの内容もろくに覚えていない。だが、どうやら次はセンターステージでアコースティックをやるらしい。

9曲目が「Sheep」である。会場がどよめいたから、ここの枠はもしかしたら別会場では違っていたのかもしれない。この曲は黄昏ロマンスのカップリング曲で、正直どマイナー曲だ。ファンでなければまず分からない。だがポルノグラフィティの隠れた名曲の一つだ。歌詞はとても仲がいい男女が恋人になっていくという物語を描いている。アコースティックであることで、より歌詞がダイレクトに届く。もちろん、泣いた。

10曲目は「ジョバイロ」である。この曲もアコースティックが似合う曲である。歌詞はさっきとは真逆で、男女の失恋をダンディな歌詞でまとめ上げられている。キーボードの方が担当したアコーディオンがムードを作り上げ、悲哀を表すギターソロが特徴的なリフになっていた。そんな状況は私にはわからないが、胸に沁みる。

11曲目は「フラワー」だ。『こんな夜更けにバナナかよ』の映画主題歌である。生命の強さと儚さを一輪の花になぞらえた曲である。歌詞が非常に秀逸で「ねぇ君は寂しくはない? 雨宿りのバッタが言う」といった具合に、登場人物も花目線になっている。キーが1つくらい下げられており、これよって原曲とはまた違った切なさが感じられた。泣かす曲なので、泣いた。

12曲目は「夜間飛行」である。アルバム「Butterfly Effect」に収録されたバラードで、男性と別れる女性の悲しみを描いている。これも泣きの一曲で、特にギターソロが我慢しきれなくなった女性の悲しみを物語るような魅せるリフになっている。この曲は好きなので、いつの間にか涙が溢れていた。

ここで楽器隊によるSEが来る。今回は晴一がエフェクトのかかったマイクに音声を入れるというパフォーマンスがあった。しっとりしていた会場のボルテージを急速に上げていく。

その流れから繰り出される13曲目は「オレ、天使」だ。これは神から人間を正すという使命を受けた天使が愛に頼ることや願いが叶うのが間違いと諭していく過程で、天使自身が葛藤していくストーリーのロックチューンである。フラワーや夜間飛行で描いた頼るべきものを見誤った人間への粛清ような流れに思える。

そしてこの展開にどう曲を進めていくのか。

そんな中での14曲目は「170828-29」である。これはある国が放つミサイルを見えない恐怖になぞらえて「我々が出来ることは何か、平和を強く訴えることだろう」と叫ぶ曲だ。ロックなサウンドになっていることもあり、ポルノグラフィティの中でもかなりメッセージ性が強い。

そう、平和に対する強い思いを全員で持とうとすることが最も大切なのだと、一致団結を示した。

その流れで来る15曲目は「アビが鳴く」だ。この曲は広島サミットのテーマ曲である。変化の多い世の中でも唯一変わってほしくないことが未来の人が、自分たちと同じように平和を祈る気持ちだという心の叫びを歌っている。ちなみにアビは広島の県鳥である。ポルノグラフィティの中で最も平和への気持ちを表した曲であろう。そんなことを考えていたら、泣いていた。

このストーリーを終える最後の曲が「解放区」である。3/27に出たばかりの最新曲である。「「太陽」の名を口にするな 裏切りものの名前だ」という歌詞から、夜に見る夢を自由、日中の出来事は地道に行う正義と、本来の朝と夜の対比が逆になっている。夢に希望を持つことは何も悪いことではない、そんなメッセージを私は勝手に読み取った。ここでいう夢とはまさに「平和」だろう。平和を願うことは夢で、そう願う暇があるなら一歩でも前に進む努力をしろというビジネス界の常識に警鐘を鳴らすような歌詞なのかもしれない。

そしてライブも終盤である。終盤の流れはロックで、会場のボルテージをMAXにすることはお決まりだ。

そんな流れの中で一番最初にやってきた曲が「空想科学少年」である。この曲の歌詞は、個性やコンプレックスをなくした世界の少年の葛藤のようなものを描いた、言わばSFチックな歌詞になっている。音楽も電子音多めのアッパーチューンで、この曲が収録されたアルバムの出た時代からすると尖っていたように思う。ある意味でロックな曲だ。

ここから一気に見ていこう。順番に「ハネウマライダー」「アポロ」「サウダージ」「オー!リバル」である。テンションのぶっ飛ばし方がロックである。

ハネウマライダーはポルノグラフィティのライブの定番で、やらないライブの方が少ない。この曲でタオルを振り回すためにタオルを買うファンがいるくらいである。声ももちろん出すし、腕はもげるくらい振り回す。

アポロはデビュー曲であり、様々なアレンジが加えられてきたり、ここぞという時にポルノグラフィティ自身も支えたであろう伝説の一曲である。「ギターソロは200色あんねん」と言っても過言ではないほど、バリエーションに富んでいる。今回はオーソドックスな原曲寄りで、ソロでワウペダルでグワングワンかき鳴らす晴一が最高にカッコ良すぎる。

サウダージはカラオケのど定番で、ポルノグラフィティの曲で最も歌われた曲かもしれない。残念ながら合唱はなかったが、昭仁の歌唱のみで始まるイントロは凄まじく見応えがあった。

オー!リバルは名探偵コナンの映画の主題歌となった曲である。この羅列では新人扱いだが、曲制作の際に「世の中のポルノグラフィティ像に最も寄せて作った」というだけあり、2010年代に生まれた曲とは到底思えないほどラインナップに馴染んでおり、ツアーラストを飾るに相応しい一曲だと思う。

ここまでの曲で喉、腕、手のひら、リズムを取るために膝を使い全身で楽しんだ。溜まりに溜まっていた思いが全て弾け飛んだような心地がした。普段は絶対にしない金遣いの荒さも私は彼らにしかしたことがほとんどない。

ちなみにアンコールは、アコースティックの「アゲハ蝶」と「ジレンマ」である。

「アゲハ蝶」は合唱もしたし、手拍子も完璧で会場全体で一つの音になっていた。珍しく晴一がミスをしたが、これはファンにとってのご褒美だ。

「ジレンマ」はあまり馴染みがない人が多いかもしれないが、実は一番歴史があるライブの定番曲である。一時期やらなかったツアーもあるが、多くのファンはどこか物足りなさを感じてしまっていたからか、戻ってきた。結局ファンたちはこの曲でしかポルノグラフィティのライブを終われない体になってしまった。ここでは新しい取り組みとして動画を撮って良いことになっていた。どんな曲か気になる方はYouTubeに上がっているので、是非チェックしてほしい。

そして最後の重大発表が衝撃だった。

野外の25周年ライブの会場に因島(ポルノ2人の地元)が選ばれたのだ!!いつか必ず行きたいと思っていた場所だったが、このような形で因島に向かうことになるとは…(因島に関する記事も書きたいと思う。)

何より、ポルノグラフィティには本当に心からの感謝と休息を取って次のロマンスポルノに備えていただきたい。

本当にありがとう!
そしてお疲れ様です!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?