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『吉田健一ふたたび』発売にあたって著者より

本日2月21日、『吉田健一ふたたび』(編:川本直、樫原辰郎、著:宮崎智之、白石純太郎、渡邊利道、渡邉大輔、仙田学、武田将明、富士川義之、柴崎友香、興梠旦)、冨山房インターナショナルより発売になりました。お手に取って戴ければ幸いです。
発売にあたって、noteをご覧の皆様へ著者たちからコメントをお届けします。
是非お読み下さい。

“吉田健一についての既存の評論は、生前の吉田と交流があった方や、彼の著作にリアルタイムで触れた著者によるものがほとんどでした。『吉田健一ふたたび』はその鋳型を打ち壊すべく、吉田が存命中にまだ生まれてもいなかった若い世代が中心となって執筆した評論集です。著者の職業も評論家・映画監督・ライター・小説家・学者と様々です。その専門分野も文学・SF・映画・社会時評と多岐に渡り、吉田が手がけた全ジャンルに多角的にアプローチしています。是非、『吉田健一ふたたび』を手に取って「新しい吉田健一」を楽しんで戴ければ幸いです。”
川本直(文芸評論家)

“ヒトには、今その場に存在しないものを思い浮かべる能力があって、認知心理学ではこれを心的イメージという。例えば吉田健一が「群馬の豚」と書くだけでもう何か美味いものを舌の上で転がしているような心持ちになってしまうのは彼の文章がひとえに我々の心的イメージを刺激するからだ。
樫原辰郎(映画監督・脚本家・文筆家)

“極度に思考が観念へと傾きそうになるたびに、吉田健一の文章を読み直します。生活や生きる喜びから発せられた言葉は力強く、創造的だということを思い出させてくれるからです。確かな足場を見失った時に立ち戻る、方位磁石のような存在。これからも、皆さんと一緒に吉田健一を読み継いでいきたいと思っています。”
宮崎智之(フリーライター)

“吉田健一は文学作品として批評を書きました。だからこそ、言葉と真摯に向き合うことができたのです。彼の姿勢は狭隘なジャンル観を排除し、読者に読むことの楽しみを伝えるのです。よって私が担当した後期随筆作品は単なる随筆ではありません。随筆であり、批評であり、そして一流の文学作品なのです。”
白石純太郎(ライター・批評家)

”文学作品の受容を、主義主張やジャンルなどの「派閥」や、時代状況的な「新しさ/古さ」で考える偏向を排し、作品を読むことそのものが喚起する身体的な喜びに還元する吉田健一の孤独な仕事を紹介しました。”
渡邊利道(作家・評論家)

”昭和を生きた不世出の文士・吉田健一。ところが、21世紀はまたしても「ヨシケンの時代」だった!平成の終わりにこの事実を高らかに宣言する豪華執筆者たちによる決定版論集。ヨシケンとともに哄笑しよう!”
渡邉大輔(批評家・映画史研究者)


“「こんなの小説じゃない…よね?」と思わせる作品が突然変異的に現れることによって、小説の可能性は広げられてきた。いま吉田健一の小説を読むことは、その種の可能性に触れること。乗り遅れるな!”
仙田学(小説家)

“私は吉田健一の愛読者とはとても言えない。だからこそ、吉田健一の「英国」が現実のイギリスと別物であると躊躇なく断言できる。吉田健一の作った虚構をあばくことは、「吉田健一」という虚構の解体につながる。本書に寄せた論考を準備しながら見えたのは、圧倒的な虚無の中で書くことの可能性に投機しつづける、反転したペシミストの姿だった。吉田健一を愛読者に囲いこませるのはもったいない。本書は現代の文芸に吉田健一というカンフル剤をふたたび導入する、格好の入門書となるだろう。”
武田将明(英文学研究者・文芸評論家)


『吉田健一ふたたび』
編:川本直、樫原辰郎
著:川本直、樫原辰郎、宮崎智之、白石純太郎、渡邊利道、渡邉大輔、仙田学、武田将明、富士川義之、柴崎友香、興梠旦
出版社:冨山房インターナショナル
発売日:2019年2月21日発売
ISBN-10: 4866000570
ISBN-13:9784866000572
判型:A5
単行本:312ページ
定価:2700円(税込)


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