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遙かなる時空の中で7 感想(ネタバレあり)-コエテクの本気を見た真田幸村√-

その恋は、運命を超える。

クリア後キャッチコピーの意味を知って天を仰いだ乙女ゲーは多分後にも先にもこの作品だけじゃなかろうか。

令和になって初めてプレイした乙女ゲーが今作で良かった。
でも今後別の乙女ゲーをやる時に支障が出そうなほど傑作だったから怖いような複雑な気持ちでもある。

私はネオロマ作品が好きだけど、全シリーズ全作品をプレイしたわけではない。
でもネオロマに対するこちらの期待を超えるものを出してくれるだろうっていう絶対の信頼感はすでに持っている。というか持ってしまった。

実際大団円EDまでプレイしてその信頼は盤石なものになったけどいつまで経っても最後にやった幸村√から抜けれなくなってしまった。

偉大な先人たちがTwitterやらブログやらで今作の感想、もとい真田幸村に心乱された様を発信してくれている中で、自分もTwitterで感情落ち着かせるために好き勝手に呟いていたけどどうにもうまくいかない。
こんなことそれなりに乙女ゲーしてきて初めてで自分でも戸惑ってる。

いっそのこと長文で感情を書きなぐれば平穏になるんじゃ、と思い立って初期衝動のままnote開設して今に至る。

こんな駄文が不特定多数の人に見られることはまぁないとは思うけども一応ネタバレありまくりなので「遙か7評判気になる~感想ブログ見てみよ~」っていう方は今すぐ見なかったことにしてください。
あと関西弁ちょいちょい出てきます。

タイトル通り主に幸村√の感想。

五月→阿国さん→武蔵くん→宗矩さん→大和→兼続さん→長政様→幸村で攻略していって、正直五月最初にやって七緒ちゃん=白龍って知ってしまった時は「やっちまったなー残しとくべきだったなー」って後悔したけど終わってみればこの順でやってよかった。
いや個人的にどの乙女ゲーでも主人公の兄ポジションのキャラは血の繋がりがなくてもあってもそんなに刺さらないことが多いから先にやっちゃうんや……。
キャラとしては五月好きだけど√のお話としては「うぅーーん……」ってなってしまった。すまん。五月は七緒ちゃんの護り方が極端でちょっと怖かった(小並感)

兼続さんの共通√ですでに思い通じ合った時に思わず「え?終わり?これ共通でこれなら個別なにすんの」って本気で思ったけど個別√は、想い合っているからこその史実への絡ませ方でネオロマの本気度を感じた。
兼続さんで感じた本気度は序章だったことが後に分かるけどこの時は露ほども思ってない。
いやーこのころの自分まじで懐かしい。
仕事中もずっと兼続さん√のこと考えてた。
ここら辺から登場人物の史実を調べ始めて(遅い)、遙か7が史実を最大級にリスペクトしてそれをこれまた絶妙に、いかにして乙女ゲーに落とし込んだのかっていう戦国大好きメーカーの神髄を感じた。

あんなに現代から文明の利器持って来て、しかも戦国オタクの五月のアドバイスも盛りに盛って戦支度したら普通は史実では負けてても……ってなりそうなもの。
なのにそうせずに、史実通りに石田三成は討死して西軍は敗北。
ここら辺のイベント読むの辛すぎた。
五月√で判明した石田三成=三鶴ってことが頭に入ってるから隠形札のくだりからしんどかった。
竹本さんのお芝居に胸を締め付けられながらいちいち息吐き出しながらボタン押してた。さらに今作の便利アイテム時空のかけらで最上攻めからの決死の撤退戦も描くという。
そうだよな、ここが見せ場みたいなものだもんな。直江状もだけど。

長政様(某ステの影響で黒田長政を見ると長谷部になる審神者)との対比も見事で対比箇所に出くわすたびに「あーーなるほどね!うわーー!」って騒いでた。
関ケ原の勝者と敗者を八葉の対にするとか酷なことやりおるわ……なんてネオロマの策略(?)にかかりながら長政様√も堪能。

……あれ、いつの間にか白虎のこと書いてる……幸村のゆの字も出てないぞ……

残すは遙かシリーズを象徴する天の青龍、幸村のみとなった時にTwitterでは

「幸村√で涙腺崩壊した」
「幸村√は最後にやったほうがいい」
「やった後は邂逅の光を聴け」

という先人たちの遺言が散見され始めて、
「絶対自分好みのキャラだろうから残しておいてよかった」っていう安堵感と「一体なにが待ち受けてるんや……こわ……」っていう恐怖感に襲われる。

フラグの関係で兼続さんと同時に幸村のイベントも回収してたから、イベントで出てきた『甲賀三郎伝説』の話があったことを思い出す。
ネオロマで何気なく出てきた物語・短歌・都都逸は本編にも絡んでくるって身をもって知っているからな!
五月√で七緒ちゃんが白龍に姿を変えてしまって、五月が無理やり人としての姿を取り戻させたり
宗矩さん√で白龍に取り込まれた七緒ちゃんを何年もかけて活人剣を完成させて七緒ちゃんを取り戻したことを考えると
「あー幸村√も七緒ちゃん白龍になるけど幸村が助けてくれるんやろなぁ」ってなんとなく考えてた。

うん、ものの見事に裏切られた。

真田幸村は関ケ原のあと九度山に蟄居されること、
九度山から脱出後勝ち目がないとわかっていても最後まで豊臣方に味方したこと、
家康に死を覚悟させるほど徳川家康の本陣まで攻めたこと。
そして大坂夏の陣で討死したこと。

史実を調べたときに頭に入れたのに心はすでに白虎に奪われていたから深くは考えてなかった。
なんやかんやで幸村も生存して七緒ちゃんと幸せになるんだろう、というかなってくれ。
その過程でみんな「しんどい」って言ってるんだろう。

怖がりつつも、そんな感じで楽観視しながら√に入った。

幸村の家族と穏やかに過ごしたい家族思いなところ、

物語序盤で受け取ってもらえなかった反物を着物にいつの間にか仕立てて七緒ちゃんに着させてツーショ撮ったり、

それまで仲の良い兄弟として描かれてきた兄・信之との対立(対立すること前提で散々仲の良さ、家族と過ごしたい幸村の思いをプレイヤーに分からせてくるのネオロマまじドS)、

ここまでをネオロマもといコエテク(とプレイヤー)が掲げる真田幸村像と乖離せずに描いてた。

数日前までは
「兼続さん……」
「長政様……」
ってなってたのが嘘みたいにもうこの時点では完全に幸村(と七緒ちゃん)にハマってる。
推しとかじゃなくてもう殿堂入りだわ。

関ケ原後、七緒ちゃんが白龍に姿を変えたのを見て、このまま龍神の力を使い続けると人ではなくなってしまうことを五月√同様知った幸村の言動がもう……

五月は七緒ちゃんを閉じ込めたり現代に隔離して力を使わせなくすることで護り、
対の幸村は七緒ちゃんの意思を事実として受け止めてどんな決断を下しても七緒ちゃんの意思を護って尊重するっていう対比がもうあっぱれです。好き。
そうだよな、真田幸村ならこうするよな、っていうのをブレずにネオロマがやってくれる。好き(2回目)。

ほかの八葉の皆が七緒ちゃん=龍神であり、龍神の力を使いすぎると龍神そのものになってしまうことを知った時のそれぞれの反応も好きで。
兼続さんが幸村に「いっそどこかに閉じ込めたくないのか」的なことを言ったのに対して
「姫の心を殺したくない」って返したときは思わず「五月……お前……」って五月がしでかしたことを思い返してしまった。
「姫の心に恋をした。だから姫がどんな姿でもいい」って言ってたもんな……。

いやもうほんと今作は対の八葉でめちゃくちゃ対比されてて余計しんどい。
遙か3と遙か6しかやってない上に記憶も朧げになってるから他はどうなのか分からんけども。

日の本の心柱、竹生島からたどり着いた神域で諸悪の根源カピタンとの対決。
めちゃくちゃここ綺麗で神聖な場所感すごかった。
すでに兼続さん√で三成を殺害したことで一気にクソ野郎認定をしていたため敵意満々でレヴィアタンを排除。カピタンの息の根止めたかったことだけが心残り。仕方ないけど。

カピタンの野望止めたけどまだ一波乱あるんだろうな、ネオロマだし。
予感的中して心柱崩壊、みんなを護るために龍神になる七緒ちゃん。
やっぱり龍神になるのか……。わかりきっていたことだけど切ない。

でも幸村が人に戻してくれるんでしょ?なんて思ってたら
幸村は「まだやるべきことが残っているからそれが終わったら迎えに来てほしい」と言って2人の気持ちが通じ合った時に生まれた時空のかけらを渡して龍神の世界から現世に戻っていく。
あれ? とここで違和感。迎えに来てほしい??

困惑する自分を差し置いて、物語では時が流れて大坂夏の陣へ。
三成に託された秀頼と淀殿を城から逃げ出すように進言して戦場へ行く幸村。
淀殿に言った「私の姫もそう仰るはずです」って台詞に萌え転げた。私の姫て……。
史実では関ケ原から確か15年後のこの戦いのときまでずっと胸にいるのか……泣けるわ。

この時
「あ、そういえば真田幸村って家康の首取るまで攻めて討死したんだっけ」
とようやく調べた知識を破竹の勢いで徳川を追い詰める幸村を見ながら思い出す。

ここの一枚絵めちゃくちゃかっこいいよね……。
友から託された頼みを遂行すべく幸村が戦場で戦う姿……やっぱかっけーわ。
(などと軽く現実逃避しながら一枚絵をスクショする)

怒涛のように描写される日の本一の兵、真田幸村の最後の戦い。
現代人が愛してやまない武将の姿を、あのコエテク(ネオロマ)が、真田幸村を描くという本気度を目の当たりにした。

奮戦するも史実通り幸村は討死。
龍神が降らせた慈雨に触れて
もうこの世で思い残すことはない、約束通り私の姫が迎えに来てくれた、自分はここだ
っていう台詞と手を伸ばすイラストにこっちは茫然。

本当に幸村が死んだのか正直受け止められないまま八葉の皆に幸村訃報の知らせが届く。
ここの兼続さんの「恨みごとのひとつも言わずに先に逝くな」がもう辛い。
地味にモブ武士の「討死されたのにこんなに穏やかな顔をされている」も好き。
逝く直前まで七緒ちゃんの傍にやっといけるって安堵してたんだろうなぁ。

死後、辺り一面ネモフィラが咲き誇る神域に来た幸村。

もうお前のせいでネモフィラみると「ウッ……」ってなるわ。どうしてくれるんや。
クリア後即スマホの壁紙をネモフィラに変えたわ。(単純)

七緒ちゃんを探す幸村。
どうやってこんな広大な場所から見つけるんやってちょっと不安になってたら幸村は今まで「姫」とした呼んでこなかったこと、それでは誰を探しているのか伝わらない、って気づいたとき鳥肌がすごかった。

物語冒頭で自己紹介しようとしたら五月に「名前を教えると縁が強くなる」って止められたから名前を教えた後も五月に何か言われないように「姫」呼びするっていうシーンがある。

幸村はそれからずっと姫呼びしてて、それがプレイヤーにも多分本人にも当たり前になってたんだろう。
はああーーーーネオロマ恐るべし。
こんな序盤に後の感動に繋がるくだり入れる???最初からするときにこれ幸村√思い出して辛くなるやつやん……。

名前を呼ぶときも「七緒」だけじゃなくて
「なお姫」
「天野七緒」
からのちょっと溜めたあとの
「七緒」
が最高。
ありがとうてらしー。
真田幸村がてらしーで良かった。

出現した時空のかけら、愛する幸村の声に導かれるようにして天から現れる七緒ちゃん。

ここの七緒ちゃんの台詞でおそらく全ネオロマンサーはやられたと思う。

「私は遙かな時空を超えてあなたに会いに来たんですから」

はい優勝ーーー!!!タイトル回収きました!!!

もうこの時点で鳥肌収まらないうえに衝撃で軽く呼吸困難。
なのにネオロマは追い打ちをかける。

ネオロマ名物、対象キャラの想いが込めに込められる独白。

「私はきっと、幸せに慣れていないのです」
「願いが叶うことなど今までなかったから」
「そんな私が初めてつかんだ幸せが―――あなたです」

いやもうコエテクどんだけ真田幸村好きなん……知ってたけど。
真田幸村への解釈が他の追随を許してない。
さっと調べただけでも読み取れる真田幸村という英雄の生涯は、恐らく願いが叶うことがなかったのだろうということ。
その解釈を、史実を最後まで捻じ曲げずに真田幸村の生涯を描き切った。
死後神域に招かれて七緒ちゃんに再会してようやく願いが叶ったのが、この満を持して登場した遙か7の幸村で。
色々想いを馳せながら段々涙目になっていく自分。

やる前は怖かったけど2人が幸せに神域で永遠を共にするEDに大満足。
なぜ七緒ちゃんが龍神なのか、どういう経緯で人の世に生まれたのかめちゃくちゃ気になるけど大団円やっても明かされなかったからそういうものだと思うことにする。

大満足、幸村が優勝、なんて書いてるけどやり終わった直後というか幸村が討死してエンドロール流れた時は「こんな展開ある……???」って心が追い付かんかったけど。

ちょっと落ち着いた今となっては
主人公と真田幸村と恋愛させるならこれ以上の美しく切ない物語はないと確信できる。
こんなにも史実に基づいて、こんなにも丁寧に真田幸村を乙女ゲーというジャンルに落とし込んで、遙か7を作ったネオロマに敬意を表さずにはいられない。

いやーー幸村を最後にして正解だった。
きっと自分は幸村を途中で攻略してしまったら幸村から抜け出せないまま他キャラをやることになってた。
それはとても勿体ない。

龍神になってしまうという運命、大坂夏の陣で討死する運命を超えて、結ばれる。
キャッチコピー考えた人すごい。天才か。

しばらくは遙か7、というか幸村√から抜け出せずに魂抜けたような日々を送ることになるのは自明の理だけどここに衝動のまま書き殴ったことで少しでも精神が落ち着くことを期待する。

ネオロマは期待を裏切るどころか軽々越えていきやがった。
きっとこれから先、性懲りもなくネオロマやり続けるんだろうなぁ。

 

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