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塀の前で立っていた

おまえの足の指が 気づくと一本だけになっていても おまえの下半身は 泥に潜っていて どうでもいいという 陽射しの当たる場所で おまえは踊っていた 忘れてしまったのかもしれない 忘れたふりをすれば 紛れられる おまえは踊っていた おまえは笑っていた おまえの五秒すれば忘れる今の笑いとは違い おまえの五分してから沸き立つ今の怒りとは違い おまえは笑っていた おまえは怒っていた おまえの心の中の足の指は 増えることを減ることを感じた おまえの今の足の指は 増えても減ってもわ

    • 9時の感覚(メモ状態)

       8時台は携帯端末やPCでソーシャルメディアをドライに見ていることができる――身体性を伴わない、フロートしたそちらだけ――。身体性は抽象的で、強い痛みがあれば自覚するが、概念的な強いかなり硬いゴムみたいな管理にある。その管理がほどけるのが9時の感覚だろうか。  9時は自分の感覚が出てくる。意思的な身体操作とは強く接続していない。その9時の感覚が自由で好きだ。何かしたら転んだり込み入ったものは落としたり言葉が頭の中でできていても口には出なかったりするその9時の感覚が好きだ。

      • 『京都SFアンソロジー:ここに浮かぶ景色』への短編収録

         この度、Kaguya Books『京都SFアンソロジー:ここに浮かぶ景色』(井上彼方編、社会評論社刊)に「立看の儀」という短編を収録していただきました。  この短編は、京都大学の名物でもあると伝えられていたタテカン(立て看板)を題材としています。タテカン文化の保存を目的とした儀式が行われている、という状況での物語となります。大まかにはタイトルのままです。 参考: Wikipedia - 「京都大学の立て看板」 https://ja.wikipedia.org/wiki/

        • 出来が悪い7つの習慣

          出来が悪い7つの習慣 を参考に。 第1の習慣 客体的である現代において、人格は、環境と自己選択によって決定されると考えられることがある。遺伝子や生育中の体験などの外部的な要因がありながら、遭遇する刺激に対して良心や自覚などの能力を駆使して行う選択によって、人格が変わっていくというのである。たとえば勉強中に眠くなって寝ようとするのも、眠気に抗うのも、私達の「選択」だと見える。私達の行動(反応)は、刺激に対する自分自身の選択・決定の結果であるというわけだ。こうした考え方は、刺

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        • テスト・O・テスト
          5本
        • 随感・レポート?
          1本
        • test
          2本

        記事

          Beast-Journey

          2019年2月ごろ(かもしれない)に書いたスケッチです。 ------  ジョニーは砂を這っていた。  かれはポートランドの出身で、出生地の最寄り駅が火を噴く真っ赤な怪獣になってからも、しばらく、そこから十キロメートル先にある実家のまわりを勇敢そうに歩き回っていた。「海があるからね」というのがジョニーの言うところ。「どんな炎だってこの水は焼き尽くせないさ。困ったら入ればいいんだよ」  だけれど今や海は三キロメートルあまりも干上がり、ジョニーの足では家から海までいくまでに怪

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          2019年世界SF大会・ジェンダー

          SF&Fantasyを好きな人が世界各地から集まるイベントに参加して、ジェンダーに関して体験したことのレポートです。 2019年にSF同人「Sci-Fire」のブログに掲載した記事「第77回ワールドコン・ジェンダー」と内容の大部分は同じです。読みづらい点があるかと思いますが、関心ある方に少しでも伝わりましたら。 2019年、アイルランドのダブリンで開かれた世界SF大会(通称ワールドコン)に参加しました。これは、色々な国からSFF(SF&Fantasy)が好きな人が集まり、数

          2019年世界SF大会・ジェンダー

          二次方程式に親を殺された男は青春と矛盾するか

          https://twipla.jp/events/361264 に謝意を込めて。 ========== 登場人物 ・廻間雪生(14) 二次方程式に親を殺された男 ・五升アンリ(14) ヒロイン あだなはアーニャ ・丸亀芽衣(24) 雪生の担任 指導教科は歴史 本編  何の情緒もない学生生活だった。  中学三年間は人を荒廃した大人にするのに充分な期間である。[中学で学生?]  夏の期末テストを前にして、廻間雪生の心はもうすっかり自称十八歳ぐらいになっている。[年齢の

          二次方程式に親を殺された男は青春と矛盾するか

          シナーム・アリームの鳩の嘴

           単純に考えてみるべきだよ、と、シナーム=アリームはいつでも言った。  白い鳩の頭をしたかれの言葉は、町のだれもが熱心に聞くのであった。  ある秋にやってきた手品師には、その話し方は催眠術に似ていると言われた。けれども町のものたちは手品師のことを頭に入れず、鳩のアリームの声を聞く。  モモリスはいけない子どもだと自分のことを思っていた。昼も夜も嘴を耳に入れられることばかり考えていた。モモリスは雀の頭をしていて、この町のどの氏族にも属さない。頭がいいと思われていたのでいろいろな

          シナーム・アリームの鳩の嘴

          There are テスト

          ここにはテストがあるでしょう。

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          「循環螺旋の浜辺より」梗概r

          ウェブの梗概がストーリーをあまり要約していないので前に書き直したもの。  自動定理創出システム「演算系」は、効果的な定理探索を行うために、定理に人格を付与した。惹かれあうもの同士に、互いの証明を組み合わせることで、新たな定理――「子」をつくらせるのだ。だが、活動資源確保のため――外界のヒトにアピールするべく――「人気投票」制度などを導入して、かれらの意思を無視した生産を行わせるようになる。人格化された「定理」たちは、外部ヒト脳の概念ハッキングを経由することで、システムを支配

          「循環螺旋の浜辺より」梗概r

          フリー・フロー・ランゲージ

           ぼくは関数言語を受け取り、海に接続する。  自然言語の波が立ち上がる、それをぼくは指ですくって唇につける。  自然言語、それは連想の言語だ。  咀嚼者が語を記憶領域に組み入れていくたびに連想は起爆する。白い花。白い→花。その接続は白いと花の合算ではない。白が起爆したイメージ、咀嚼者のうちに広がる花火に、花が接続し、新たな連想の絵巻を起こす。それはだから、論理の記述であったとしても、情緒を孕まざるをえない。情緒を、ある種の全体性の直感、言語ならざるものへの予感であるとするな

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