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楽天オープンが面白い!

はじめに

2022年10月、コロナ禍を経て3年ぶりに開催されたテニスの国際大会、楽天ジャパンテニスオープン(以下、楽天オープン)を初観戦してきました。東京オリンピックでも使用された、日本テニスの聖地、有明コロシアムでの観戦は想像を越える楽しい体験となりました。

この記憶を残すため、また気になったことを好きに書き残すため、楽天オープン観戦記を書いてみました。今後楽天オープンに行ってみようと思った方に参考になれば幸いです。

チケットの購入

チケットは多種類ありました。(詳細は公式HP参照)発売は7月29日からパッケージシートの1次抽選申込がスタートして、8月20日から1日券の抽選申込という順序。

地方在住者ゆえ、10月2日のATPサンデーや本戦の10月3日から9日まで1週間ずっと観るのはむずかしく、日程を絞ることに。
テニスの大会は大抵、決勝よりも1回、2回前の試合からが面白いことが多いなと、過去のグランドスラム大会をTV視聴していて思ったので、準々決勝から決勝までの3日間通し券のあるS席に狙いを絞りました。
お値段25,200円。アリーナコンサートのSS席がこれくらいのお値段の近年、2時間のコンサートに比べて、3日もテニス観放題でこれは良いお買い物ではと思いました。

ただ、シートマップで見ると後方の席なので、選手は豆粒くらいにしか見えないかも?と不安でしたが、初のテニス観戦はお手頃価格でお試しでいいのではないかとS席に決定。SS席では7日間通し券しかなく、後半3日だけを選ぶには、個別に1日券を購入しなくてはいけないので、それも面倒な気がしました。

チケットの申込をして1週間以内に当選連絡がきて、購入確定!チケットは紙で発券されて大会前に送られてくる仕組みです。楽天ってネット企業だと思っていたので、このアナログな仕組みにちょっと驚きました。今どき海外のコンサート会場では、スマホでバーコード読み取りの入場だけどなぁ。

出場選手

7月26日:第一弾出場予定選手の発表

アレクサンダー・ズベレフ
カスパー・ルード
錦織圭
国枝慎吾

東京オリンピック金メダルのサーシャ(ズベレフ)がヘッドライナー!3年ぶりの大会開催に完璧な演出です。世界ランク2位のルードも観たい!錦織さんは回復したのかな?

9月7日:出場予定選手の発表

Laver Cup で活躍の選手が沢山!

公式HP掲載の情報は最終結果に変わってしまっていますが、9月22日以降にスクショをとった時にはこんな感じ。キャメロン・ノリーに、ジェンソン・ブルックスビーもいて、がぜん楽しみになったのでした。Laver Cup を観て盛り上がったテニスファンとしては楽しみなラインナップ。

よろしければ、Laver Cup について書いたこちらもどうぞ。

9月22日:アレクサンダー・ズベレフと錦織圭選手の欠場発表

錦織さんは復帰はまだかなと思っていたけど、サーシャは「日本行くよ」のビデオメッセージもあったし、インスタで練習再開しているのを見て期待していたので、本当に残念でした。(泣)
その後、10月2日にはノリーの病気欠場が伝えられ、ブルックスビーはいつの間にかいなくなってた。(泣笑)

ヘッドライナーが不在でも、注目したい有力選手が沢山いるから、まだまだ楽しみ!

大会本戦始まる

まさかの1回戦敗退続出

カスパー・ルード、アレックス・デミノー、西岡良仁
観たかった人が3人も去る。(大泣)

テニストーナメントって、お目当ての選手が勝ち進んでくれないと終盤日程のチケットでは観れないんだよね。そこが難しいところだけど、終盤まで進む人は調子が良くていいテニスをしてるハズだから、そこに期待しよう。

ライブフェスに例えると

チケット販売前に最初に告知されたヘッドライナーがキャンセルして、準ヘッドライナーも早々にいなくなるようなもの。だから注目アクトは幅広く持って、フェスに出てきたバンド(選手)をすべからく楽しむ気持ちが必要だなぁと思いました。

観戦準備

旅行前に一番心配したのは天気。日中は30度近くあった週前半とは違い、7日(金)は12月初旬くらいの気温と強い雨が予想されていました。有明コロシアムって屋根を閉じたら冷暖房ってあるの?(なかった)何も知らなかったので、とりあえず全方位対応できるようにするのが得策と考えました。

用意した観戦グッズ

  • 服装は脱ぎ着できるよう重ね着

  • キャップ

  • ひざ掛け用ウールのショール(寒いときは羽織れる)

  • タオル(水濡れ時用&ひざ掛けや椅子に敷くことも)

  • 梱包用プチプチ(椅子用クッションに)

  • オペラグラス

  • 折り畳み傘

  • 保温水筒

  • 食料(飴・栄養補給ジェルやチョコ等)

結果

これらの備えはとても役立ちました。
初日は特に寒かった!会場入りするまでに風雨で濡れるので、服が冷たいのです。夜は更に冷えます。(泣)

ロイヤルボックス席ではひざ掛けが用意されていますが、一般席は持参すべし!お尻に敷物があって、頭に帽子があると多少は寒さをガードできます。着席時間が長いので、敷物がないとお尻が痛くなります。

水筒に温かいお茶があると身体が温まります。会場の売店でホットコーヒーの販売もあったようです。観戦は昼間から夜まで続くので、お腹が減ると寒さが堪えます。観戦の邪魔にならない食料で空腹になる前の摂取を心がけました。傘は置き場に困るので、折り畳み傘が便利でした。

会場アクセス

電車では、りんかい線の国際展示場駅から歩道橋が直接、有明コロシアムまで繋がっています。徒歩6分と公式HPに記載がありました。
ゆりかもめの有明テニスの森駅からは徒歩4分。私はこちらを使いましたが、歩いて直ぐでした。有明テニスの森駅は小さな駅で利用者も多くはなく、雨風の強い日はこちらが便利かも。

入退場

メインゲート(国際展示場駅から直通)と有明ガーデンゲートの2箇所がありました。私は有明ガーデンゲート側が便利で使っていました。ゲートで手荷物検査を受け、チケットを提示してリストバンドをもらいます。さほど混雑はしませんでした。

番号はスタンプラリーの場所

そこで、チラシと除菌お手拭き入りの大会クリアファイルがもらえます。最初の出場選手発表時点でオーダーしたもののようで、出場しないサーシャと錦織さんの写真がどーんと。

Dunlop のキーホルダーは後で買ったもの

このクリアファイルに会場案内が入っていたら良かった。南側広場や有明コロシアム内、別会場にも展示ブースがあるのに、そういう情報が全く告知されないなんて。国際展示場でイベントをやっていたら、どこに何のブースがあるのか入場者に情報を渡すでしょ?

ゲートの看板には有力選手の写真が並んでいます。これも最初の出場選手発表時点でオーダーした模様。データの差し替えがし易いデジタル式の看板にするのは難しいのかな?

メインゲート

リストバンドをしていれば入退場自由なので便利。大規模ショッピングモールの有明ガーデンが徒歩2分くらいなので、デイセッションとナイトセッションの間に時間が空いても、そこで十分すごせます。

展示ブース/物販

どこに何があるのかわからないので、事前からSNSで情報収集をしておいて良かった!人々が投稿した写真から、どんなブースがあるのかはだいたい把握できていたので、写真の背景などを手掛かりに見たいものは会場で探しました。せっかく出店したブースなのに来場者に情報提供されず、知られないままに集客チャンスを逃していたら、出店側も勿体ないですね。

Wilson

Wilson ブースは有明コロシアムから道を隔てた北側にありました。これはメインゲートから入る人には気付かれないと思います。

SNSの投稿でロジャーのパネル写真を見ていたので、ロジャーファンとしては、展示のロジャー写真を見なければ!パネルの前にいるとラケットを持たせてくれて写真を撮ってくれるというサービスがありました。錦織さんのパネル前でも同様。今年引退したテニス界のアイコン、ロジャーとセレナにお手紙を書く企画もありました。物販や子供テニス教室、ラケットのレクチャーや契約選手のモデル展示なども。

ここでもラケットを持って写真撮影してくれます。

こういうテニス用品展示の世界を初めて見たのですが、テニスラケットってギタリストのギターみたいなモンですね。有力プレイヤーにはメーカーが付いてシグネチャーを提供するという。

Babolat

コロシアムの通路脇で展示していた、ナダルのラケットで有名なメーカー。アルカラズやオジェ・アリアシムなど、若手にも勢いがあります。ここは選手のパネル、アパレル、シューズ、ラケットの展示販売でとても賑わっていました。やっぱり人気選手の契約メーカーは認知度も高くて人気。

Yonex

コロシアム外周にブースがありました。ラケットだけでなく、近年はウェアとシューズも着用する有名選手が増えている Yonex。ルードが Laver Cup の後、遠い韓国と日本に来てくれたのは、Yonex のお陰じゃないかと思っているのだけど、ルードがどっちの大会でも実力発揮できなかったのは無念だろうなぁ。
選手のパネルの前でラケットを持って写真を撮ってくれるサービスをやっていました。ラケットの展示やグッズの販売もあり、ストリング張り職人さんの実演も。

この看板前でラケットを持って写真撮影してくれる。

Dunlop

コロシアム外周にブースがありました。ミニ・テニスボールのキーホルダーが可愛くて購入。こういうちょっとした思い出になるグッズが欲しかったのよ。このグッズ情報もSNSをチェックして知りました。

大会公式ショップ

南側広場に大きなショップ、他にもコロシアム内通路に数カ所、小型のショップがありました。テニス観戦に来たら、何か記念に買いたいと思うものですが、特に心を動かされるものは何もなかった。

「ATP500」とだけロゴが入ってる無味乾燥なグッズなんて…開催地の独自色を入れたグッズは大人の事情で作れないのだろうか?東京大会らしいイラストやデザインというのは無理なの?Hard Rock Cafe Tシャツのご当地デザインみたいなやつ。そういうのなら欲しい。結構人で賑わっていたけど、皆これが本当に欲しいのだろうか?

ちょうど同じ週末に鈴鹿でF1GPをやっていたので、名古屋駅付近には鈴鹿へ行く人々が沢山いて、私は駅ですれ違いました。彼らは一目でわかるんです、皆さん思い思いのF1グッズに身を包んでいるから。F1チームのロゴ入りのウェア、鈴鹿サーキットのロゴTシャツなど、人々の盛り上がりが伝わってくる。鈴鹿はファンで満員だったそう。

有明コロシアムが日本テニスの聖地なら、日本レーシングの聖地、鈴鹿サーキットみたいに、コロシアムをかたどったロゴ入りグッズをつくるとか。大会ロゴと出店しているテニス関連ブランドのロゴを沢山入れてデザインしたTシャツを作るとか。そういう盛り上がり方はできないのだろうか?貴族のスポーツだったテニスでは、そういうのはアウトなの?

グランドスラム位に知名度と権威のある大会なら、大会ロゴが入っているだけでグッズも欲しくなるけど、「ATP500」だけでは…

他ブース

Mizuno や FILA 、他に初めて見るアパレルブランドもありました。
近年では有力選手にかなり浸透している感がある asics や国枝選手の Uniqulo などは出店がなかった。ブースがなくても、日本唯一のATP大会なんだから、これら日本ブランドに協賛して大会スポンサーになってもらえたら良かった。日本の大会を盛り上げないと。センターコート周囲のスポンサーロゴの数が少なく感じました。

フード

南側広場とWilson ブースにフードトラックの出店があり、テーブルと椅子のイートインエリアもありますが、雨の日はテイクアウトしか無理。コロシアム内通路にもお弁当やドリンクを販売している店があります。購入したフードを座席で食べることもできるようでした。

フェス飯は試してみたい派ですが、初日の悪天候でその気分が吹き飛んでしまい、翌日以降は試合間の空き時間が少なくて利用しませんでした。店でドリンクは購入したのですが、支払いは「現金のみ」。楽天オープンなら楽天Pay使えるのかと思ったら違った。(笑)

グランドスラムをTV観戦していると、ウィンブルドン名物のいちごとか、おしゃれそうな食べ物やワイングラスを傾ける観客を見かけたけど、やはり日本の大会ではそういうのはない。東京大会名物のフードがあったら面白いな。

10月7日(金):準々決勝

今日の対戦カード

①ティアフォー VS キツマノビッチ
②マルチネス VS クォン・スンウ
③キリオス VS フリッツ
④シャポバロフ VS チョリッチ

遂に有明コロシアムに到着!これがセンターコートか!雨の為、屋根は閉じられていました。青いコートが目に眩しい。写真に撮ると遠くに見えますが、肉眼で見ると想像したよりもずっとコートも選手も近くに見えます。

第1試合の様子

席は審判席の反対側のネット直線上で、席の傾斜がしっかりあるため、後方にも関わらず、視界一杯にコートを中央横から捉えることができ、感激しました。TV中継で客席が映るとき、自分の席方向を眺めてはコートから遠いなぁ、と意気消沈していたのが嘘みたいです。

席から選手の顔までは見えませんが、姿や動きはしっかり見えます。アリーナ・コンサートでは大型スクリーンがないと後方席からはアーティストの姿は豆粒くらいで何も見えないですけど、この価格のチケットでこれだけ見えるなんて、コスパ高いぞ、テニス観戦!

第1試合の選手入場が始まり、熱い試合に期待が高まります。TVの解説を聞きながらしか観戦したことがないので、現地で試合の状況が理解できるかちょっと不安に思っていました。全米オープンのように、イヤホンで解説を聞きながら試合観戦できるのはいいなぁと。実際には、若干は状況把握にとまどう瞬間もありましたが、基本的にはその不安は杞憂でした。

コロシアム最上段の両サイドに大型のスクリーンがあり、スコアが表示されていますし、同じ画面がコート両サイド両端にありました。その下にはサービス速度計とゲーム間のショットクロックが表示されています。

私は選手の動き、ボールの軌道、サービス・スピード等を忙しくチェックしながら観ていました。コートを縦に観るTV中継と違ってコートを真横から観るアングルでは、コートの長さ、ボールの軌道をそのまま目にすることができ、その迫力は素晴らしいものでした。

第2試合まで終わったところで、デイセッションが終了し、第3セッションは午後6時以降開始予定。2時間程の時間があったので、会場近くのホテルに戻り、出直すことにしました。(コロシアムの内部は寒い)

外は冷たい雨が本降りで風も強い。ホテルに戻ると衣服はすっかり濡れ、休憩後に再び会場に向かう道でも雨風で服が濡れました。寒いよ、東京。コロシアムの通路は窓が無くて外の冷たい風がそのまま吹き込むのです。温まる場所はありません。

自分の席に戻ると、センターコートでは今日の最終試合があるシャポバロフが練習していました。こうして観戦の合間に選手の練習が観れるのも現地観戦ならではの楽しみかも。

まさかのキリオス棄権

ナイトセッション開始の5分くらい前だったでしょうか、松岡修造さんがマイクを持って登場。今日最大の注目試合だったキリオス VS フリッツ戦が、キリオスの棄権によりキャンセルになったとの発表でした。「え~!そんなー!」という悲鳴があちこちからこだましました。テニスってこういうことがあるんですねぇ。また準ヘッドライナーが消えた。キリオスのプレイを観るのを楽しみにしていたというのに。(泣)

松岡さんが説明を終えると、キリオス本人がファンに説明したいとのことで、センターコートに出て来てくれました。キリオスのコメントを訳す松岡さんですが、かなり脚色してあって苦笑い。(本人発言でそんなこと言ってない)これだけ観客が入ったところでメインイベントが無くなる訳ですから、運営側も必死でしょうね。

松岡さんとキリオス

この後、6時45分に第4試合を前倒しして行い、それまで今日の試合が無くなったフリッツがセンターコートで練習すると発表がありました。また、第4試合の後に車椅子テニス ダブルスの準決勝で荒井大輔/三木拓也 VS 川合 雄大/小田 凱人 が行われるとのこと。

フリッツがコーチと練習している間、松岡さんが面白おかしくフリッツの練習やコーチのことを解説して、観客を何とか楽しませようと頑張ってくれました。松岡さん、お疲れ様です。

この後の試合も面白かったのですが、夜が更けると益々寒い!ウールのひざ掛けを持って来て良かった!

テニスの観戦時間は長いので、ずっと座っていると脚が窮屈で、エコニミー症候群になるのでは、と思う位に辛い。時々席を立って脚を伸ばしました。

ゲーム間やセット間の休憩時間は意外と短いので、トイレに行くと次のゲームが始まってしまい、入口で次のブレイクまで待つことがしばしばでした。緊迫した試合では皆がセット間にトイレに集中して大行列になるので、上手く自分の身体と相談し、トイレのタイミングを見計らう必要があると学びました。

シャポバロフなど人気の選手は観客の中から「シャポ~!」などと時折応援の声が上がります。それ以外はひたすら拍手の応援です。テニスは静寂の中で観るスポーツだから、コロナ禍にも親和性があると思う。サーブ時に小声でおしゃべりする人、お菓子の袋をガサガサする人はたまにいて、ちょっと気になりました。

乳幼児を連れた家族連れが何組もいて、サーブ時の静寂の中で乳幼児の泣き声がこだますることも。主審も幼子には何も言えないので、選手もボールを突いて泣き止むのを待っていました。微笑ましいシーン。会場に託児所があったら、親もじっくりテニス観戦ができるかも知れませんね。

10月8日(土):準決勝

今日の対戦カード

①ティアフォー VS クォン・スンウ
②シャポバロフ VS フリッツ
③国枝 慎吾 VS 小田 凱人

今日は晴れています!気温も日中は23度くらいまで上がりそう。

センターコートに着くと、屋根が開いている!嬉しい。ずっと雨でオープンエアのセンターコートが見れないのではないかと危惧していました。この景色は素晴らしい!私の席は陽が当たって暑いくらい。半袖Tシャツに帽子とサングラスで丁度良い感じ。開放的な空間で青いコートを見下ろして、とても気持ちが良いです。コートでは、先にシャポバロフが、次にフリッツが練習していました。

オープンエアの開放感素晴らしい

今日の試合は全て3セットまでもつれた試合になりました。特に、ずっと競り合って緊張感の続いたシャポバロフ VS フリッツの試合はとても見応えあり

シャポは来日直前に韓国でのATP250で西岡選手と決勝を戦って敗れていますので、日本では優勝を狙っていたと思いますし、フリッツはその韓国へ行ったものの、コロナ感染により試合に出られず7日間のホテル隔離にあい、日本には楽天オープンが月曜日に始まってからの水曜日にやっと隔離が明けて来日し、当日の夜に1回戦をこなすという強行軍でした。こういう事態に対応する大会運営側は大変だったのだろうなと今更ながら思います。そんな強行軍のなか、フリッツが試合に出たのは、ATP Final に出るため、ランキングを上げたいという強い思いがあったのでしょうね。

レフティのシャポとフリッツのラリーはフォアとバック、シングルバックハンドとフォアになるので、強打の打ち合いを見るのはゾクゾクしました。プロのスピードとコントロールに痺れる!コートを真横から見るので、ボールの弾道やスピードを生で感じられて、試合観戦の醍醐味を味わいました。

ピンチを迎えてのフリッツがこの日最速の208km/hサーブを打ち込んだり、シャポも高速サーブを打ち込んで、その迫力が凄い。2人のサーブは速過ぎて、肉眼ではなかなか捉えられなかったです。自分の肉眼でのボールのイン/アウト判定がいかに外れているのかも良く分かりました。(笑)

シャポがサービスの前に行う一連の動きで、身体の後ろから脚の間を通してボールを入れて身体の前で玉つきをする動作も肉眼でしっかり観察できました。彼にはもはや無意識の動きなのでしょうが、観察すると面白い。ピンチになるとゼスチャー付きの独り言が派手に飛び出すシャポ。あれは何を言っているんだろう?ああ、テニス観戦って面白い!

夕焼けが綺麗でした。

車椅子テニス決勝

第3試合に車椅子テニスのシングルス決勝が組まれ、国枝慎吾 VS 小田 凱人 の入場が始まりました。センターコートに残る多くの観客の拍手に包まれ、国枝さんがブイブイと派手に車椅子を揺らしながら入場したのは楽しかった!

小田選手って16歳だったんだ!昨夜のダブルスで、時折鋭いショットを決めていた選手だということに気付きましたが、16歳で決勝に上がって、世界の国枝選手と試合するとは!

車椅子テニスは昨夜初めて観たのですが、チェアワークの巧みさ、ストロークの強力さ、ボールのバウンドを予測するプレイなど、とても興味深い競技だと思いました。

試合は国枝さんの圧勝で終わるかと予想していたら、第2セットを小田選手が奪って競った展開に。第3セットは国枝さん圧勝で終わるかと思えば、小田選手、土壇場からまさかの大逆転!遂に国枝さんが敗れるのか!と思ったら、王者の粘りでタイブレークに持ち込み、最後はねじ伏せました。こんな凄い試合になるとは!

優勝セレモニーでの小田選手はスピーチも素晴らしくて、とても16歳には思えない、大人の振る舞い。セレモニー前に流した涙が悔し涙じゃなくて嬉し涙だったとは、うんうん、泣いていいよ。(拍手)

小田選手は愛知県一宮出身だそうで、帰宅してから地元新聞をチェックしたら、スポーツ欄で楽天テニスの扱いはとても小さいのですが、この試合だけは小田選手の小さなカラーの顔写真付きで短い記事がありました。地元新聞なんだから、もっと大きな扱いにして!国枝さんと競って負けたってことは、世界一強い人と互角に勝負できるってことだよ!シングルスならジョコビッチに勝ちそうになったのと同じことだよ!

国枝さんには Uniqulo や Honda のスポンサーが付いていて、車椅子の背面に Honda のロゴが大きくあります。小田選手には愛知県の優良企業、日本ガイシや東海理化がスポンサーになっているようです。近い将来に小田選手はグランドスラムやパラリンピックで優勝する選手になるだろうから、愛知県はもっと彼をニュースで取り上げ、サポートするべき。愛知県といえばトヨタ自動車だから、スポンサーになってもらって、車椅子の背面にToyota のロゴを入れたら良い。国枝さんとグランドスラムの決勝を戦う日を迎えたら、2人並ぶと車椅子の Toyota と Honda のロゴが凄くカッコイイのでは。

10月9日(日):決勝

曇りで昨日より少し気温低めですが、日差しが出ると暖かく、センターコートの屋根は開いており、気持ち良い決勝戦の午後となりました。徐々に観客が入り、8割程埋まっている感じ。チケットは完売だそうですが、一部の座席ゾーンはがらんとしていました。招待席が残ったのかな?

ダブルスの決勝戦の前には、ティアフォーが、続いてフリッツがセンターコートで練習をしていました。期待で胸がワクワクします。

今日の対戦カード

ダブルス決勝
①マクドナルド&メロ VS マトス&ベガ エルナンデス

身長が2m超えのメロ選手は他の選手より頭1つ分くらい突出していて、目を奪われました。競った試合で、セットをワンオールで分けた後はタイブレークで勝敗が決まりました。
優勝セレモニーでのメロ選手のコメントが「僕のSNSをチェックしている人は、僕がいかに日本好きか知ってると思うけど、大好きな日本に来て良いプレイができて嬉しい」でした。まるで日本メディアが作ったようなコメントに笑ってしまった。後日、彼のインスタをチェックしたけど、日本関係の投稿は無かったけどね。(謎)

シングルス決勝
②ティアフォー VS フリッツ

雨が降る前に屋根が閉じられ、インドアでの試合になりました。

シングルス決勝のエスコートキッズはジュニアの大会で優勝した子が選ばれているそうで、試合前にはDJの方が2人の少年を会場に紹介し、時間があるから、2人が決勝戦をやるため入場するという仮定で入場してみよう、ということになりました。観客の大きな拍手の中、恥ずかしそうに、でも成り切りで拍手に応えながら入場する少年たちの微笑ましいこと。「将来はここに戻ってきたい」という言葉に将来の日本テニスが楽しみになりました。

ロイヤルボックスには昨日優勝した国枝さんがこの試合を観に来ており、観客の盛大な拍手を受けていました。試合直前にロイヤルボックスの人々が立ち上がって最前列中央に迎えた身なりの良い女性がいました。場内アナウンスはありませんでしたが、皇族の方だろうと思っていたら、後から佳子様だとわかりました。日本テニス協会名誉総裁でいらっしゃるそう。

試合前には荻野目洋子さんによる国歌独唱がありました。こんなところで荻野目さんが観れるなんて、懐かしい。シングルス決勝戦にはこういうセレモニーがあるんだ。

シングルス決勝は競る試合展開で、これは第3セットまでもつれるかと思いましたが、2セットともタイブレークでフリッツの勝利。もっと観たかったので、2セット目はティアフォーが勝って、3セット目に行って欲しかった。とはいえ、1週間前はコロナ感染で隔離されていたというのに、フリッツの復調ぶりは奇跡のよう。勝利への気持ちが強かったのだろうなぁ。

ゲーム間のブレイクはオペラグラスで両者を観察していたのですが、ティアフォーは4回以上着替えてましたね。フリッツは1回くらい。TV観戦と違って、こういう観察ができちゃうのも楽しい。

優勝セレモニー

楽天オープンの優勝セレモニーは簡素でとても良いと思います。セレモニーにプレゼンターとして登場するのは、協会の方とスポンサーの方と運営の方の3名。初日に観た車椅子ダブルスのセレモニーでは登場した楽天副社長が女性で新鮮でした。観戦していた佳子様はセレモニー前に退出されており、プリンセスによる贈呈は無くて少し残念に感じました。

この大会の直前に韓国であったATP250大会のシングルス優勝セレモニーを配信で見ていたのですが、プレゼンターに8名くらいの中高年男性が制服姿の若く美しい女性に案内されて赤絨毯を歩いて登場するという形式で、日本も女性進出が遅れている国だけど、あちらも目立つなと辟易していました。

ティアフォー、フリッツのスピーチに続いて写真撮影。最後には華やかなテープの吹雪を受けてフリッツが優勝杯を高らかに掲げていました。

決勝戦が長引くと、新幹線の終電に間に合わなくなるかもと心配しましたが、2セットで終わった為、その心配は杞憂に終わりました。退場時の混雑もなく、有明テニスの森駅に向かう人の集団はさほど多くなくて、スムーズに電車に乗れました。車窓から見える有明コロシアムに最後の別れを告げながら、「来年もきっと来るよ」と。

まとめ

  • 楽天オープンの観戦は楽しい!

  • 日本で世界トップ選手のプレイを生で観れる機会

  • 生で観るテニスはTV観戦とは違う面白さがある

  • しっかり楽しむ為に、事前準備は周到に

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最後にひとりごと

楽天オープンと全く同じ期間に、カザフスタンでATP500の大会が行われていました。配信された中継を観ていたのですが、施設/設備や客席の大きさはオリンピックもやった日本の会場の方が立派だったと思います。きっと運営面でも日本の方がきちんとしていたのではないかな。

でも、あちらの大会は欧州のトッププレイヤーが集まっており、準決勝の顔ぶれはグランドスラムのそれと同等レベルでした。その大会後もATPの大会が欧州である為、移動距離を考えると欧州の大会を選ぶ選手が多かったのか?日本の大会に来るにはロングフライトに加え、VISAの問題もあったのか?その辺りの事情があったのかも知れません。

ただ、楽天オープンの日本国内での盛り上がりは弱く、同時期に3年ぶりに行われた鈴鹿F1GPと比べるとニュースの扱いでも大きな違いがありました。どちらの大会も主力は外国人選手です。鈴鹿には総理大臣もセレモニーに行きました。

中国でのマスターズ1000大会が中止になっている今年は、楽天オープンがもっとトップ選手を集める大会になれなかったものでしょうか。むしろ日本にマスターズ1000の大会を持って来て欲しい。日本でのテニス大会がもっと飛躍することを願っています。


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