見出し画像

知識ゼロからWineエキスパート合格までの備忘録 ~プロローグ~

 私の中で第三次ワインブームがやってきたのは2021年の秋のこと。詳しい理由は省くが、いつかちゃんとやりたいと思いつつ長年放置してきたワインの勉強を、いいかげんやろう!とついに一念発起したのである。
 ちなみに私は飲食業関係での勤務経験は全くない。ワインとは全然関係のない仕事をしている。
   はじめはワインスクールの初心者向き趣味講座を、と思っていたが、いやどうせなら資格を取るのもありかも、と思い始め……。調べてみると独学で資格を取っている人もいるようだ。さて、独学にするか、どこかに通うか。
 ~これは私の勉強(語呂合わせ)の記録であり独り言である~

鉄則❶スクールに行け!
 いろいろ迷ったあげく、とりあえず大手ワインスクールの体験講座へ。するとたまたま、ワイン界でも有名な人気講師S先生が担当だった。白板に書く文字が小さすぎるのが玉にキズではあったが、才色兼備のこの先生を信じてみようという気になり(美人に弱い)、ワインの知識はほぼ皆無(マンガ「神の雫」を読んだ程度)にもかかわらず、その先生が担当する資格取得のための受験講座を選んでしまった。
 こうして2022年の1月から8月まで毎週1回、スクールに通った。ひとりでも計画的に勉強ができる人なら独学と言う手もあるだろうが、自堕落かつ何の基礎知識もない私の場合は独学でもオンライン講座でもなく、学校に通うのが正解だった。
 スクールに通うのは、電車賃もかかるし時間もかかる。しかし、その場でしか得られない体験が記憶を強化してくれる。とにかく膨大な量の知識を暗記しなければならない(公式テキストはよく電話帳に例えられる)ので、ちょっとした出来事が記憶を呼び出すトリガーになるのだ。
 この日は体調が悪かったな、このときに隣の人とこんな会話をしたな、このあとで先生にこんな質問をしたんだった、というささいなことがその日の学びを印象付ける。教室に身を置くことで、五感すべてで知識を吸収することができる。時間をやりくりして、猛暑の日でも嵐の日でも、わざわざ足を運ぶ。だからこそ、授業を受けている時間は貴重な時間となり真剣に聞くようになる。
 2時間半の授業の前半は講義、小テストをはさんで後半はテイスティングのレッスン。毎回テストがあるのは大変だったが、ちゃんと頭に入っているかを確認でき、間違えたり分からなかったところは悔しくて印象に残るので、本当にありがたかった。その日の内に平均点(クラス及び学校全体)が出て、自分が平均点以上とれているかも分かる。もちろん小テスト対策用の練習問題もたくさんもらえる。
 私が通っていたスクールでは、無料で授業動画(教室の授業を録画したものではなく、動画用に作られたもの)も見られたので、通勤電車の中や道を歩いているときも、それを見たり聞いたりして予習復習ができた。私は風呂につかっているときも、ドアの外に携帯電話を置いて何度も講義を聞いていた。
 テキストやノートを眺めているだけよりも、誰かが語って聞かせてくれる方が頭に入りやすい。回によって先生も違うので、その先生の声や口調とともに単語や要点を覚えられる。
 またスクールで出会った友達とLINEグループを作って互いに切磋琢磨したり、一次試験後に問題を共有したりできるのも、やはりスクールに行くメリットだと思う。

鉄則❷クリスマスも正月も勉強!
 一次試験は8月なのでまだまだ先、と思いがちだが、とにかく覚えなければいけないことが膨大なので、勉強は一秒でも早く始めるべき。盆も正月もないのはどんな受験生も同じ。それこそ今日から正月休みが明けるまでにとりかかっておいた方がいいことをピックアップしてみた。

1,ボルドーのメドック格付け60シャトーを覚える
2,イタリアの20州の場所を覚える
3,ヨーロッパの地図を見て、ワイン生産国の場所を覚える
4,世界地図を見て、主なワイン生産国の緯度を覚える
5,ワイン以外のお酒になじむ

 一次試験に出るかどうかは分からないが、いずれもワインのプロとして知っておくべき基本的な事柄なので、勉強を始める前にある程度は頭に入れておきたい。
 1のメドックの60シャトーを覚えるには、語呂合わせや替え歌がおすすめ。これについては最後に私が作った歌を掲載しておく。もちろん検索すればネット上にも色々とある。ただし人が作ったものはかえって覚えにくいこともあるので、語呂合わせと替え歌は自分で作った方が確実に覚えられる。これはこの後で勉強するあらゆる暗記でも同じ。

 

 2~4の地図関係は絵で(視覚的に)覚えるのが一番なので、家の壁などよく目につくところに書き込みをした地図を貼っておく。私の場合、どんな試験についても、暗記すべきことはトイレに貼っておくのを常としている。
 
 ワイン好きにとっての盲点はワイン以外のお酒かもしれない。お酒ならなんでも飲むよ、という人ならよいが、ワインが大好きな人の中にはワイン以外のお酒はほとんど飲まない、という人も多い。
 ソムリエ・ワインエキスパートの試験範囲は、この世のすべてのアルコールと言っても過言ではない。ビール、日本酒、焼酎、ウィスキーなどの種類・製法を含むのはもちろん、最大の難関となるのは、二次試験に出題される酒精強化ワイン(シェリー、ポート、マデイラ)、蒸留酒、リキュールの判別である。
 カクテルの材料として使われることも多いジン、ウォッカ、ラム、テキーラ、そしてコアントロー、カンパリ、ベネディクティン、ドランブイ、スーズ、イエーガーマイスター……。クリスマスやお正月に外食や家飲みする機会があれば、ワインではなくこれらの普段飲まないお酒を飲んでみるのがおすすめ。
 一次試験が始まるころになると、各スクールが数十種類のリキュールを少しずつ詰めたセットを売りだすのでこれを利用するのも得策。だが一次試験が終わってからの短時間で60種類を超える酒の色、香り、味を覚えるのは大変(もちろんその間、ワインのテイスティングの勉強の方がメイン)なので、数種類でもいいから覚える努力をしておく。
 そして、あえてもう一つ加えるなら、軽くチーズについても勉強しておきたい。ヨーロッパのどの地方でどんな製法のチーズが作られているかも問われる。

 下はリキュールとチーズの勉強に役立つ参考文献。私の場合は、丸暗記したことを忘れないようにという思いで結局試験が終わってから買った。が、早めに持っていれば良かったと思う。いずれも、似たような本が山ほど出ているので、あくまで私の好み。

 『カクテル完全バイブル』は、蒸留酒・リキュールの瓶の写真があり視覚的に覚えやすい。また授業で初めて知ったカクテルの作り方4種なども分かりやすく紹介されている。
 『絵画・建築・映画・文学で味わうチーズの事典』は、タイトル通り、そのチーズや地方にまつわるエピソードが満載で、単なるチーズの種類紹介ではなく、読み物として楽しめる。多少なりとも地理や歴史、美術などの知識があると既存の知識と結び付けて覚えられる。が、チーズそのものとは関係ない写真(絵画)のページが多いので、人によっては無駄が多いと感じるかもしれない。

 さて、最後にメドックの替え歌を紹介して今回はおしまい。
 次回は1月にオリジナル語呂合わせ~旧世界編①~を紹介する予定。

【メドック5大シャトー格付け替え歌】

サンテステフ&サンジュリアン(♪アルプス一万尺)
♪サンテステフは1級なしで、モンロー、コスデス2~級、
カ~ロン・セギュ(3級)、ラフォンロシェ(4級)、コスラボリ~(5級)
♪サンジュリアンは1・5なしで2級はい~つ(5)つ、
デュクボカ、3レオヴィル、グリュラロ~ズ、
♪3級はラグラン、ランゴア、4級は4つ、
サンピエール、ベイシュ、ブラデュ、タルボで11

ポイヤック(♪ごんべさんの赤ちゃん/ともだち賛歌/ヨドバシカメラ)
♪ラフィ・ラトゥ・ムートン、ポイヤック
2級はピショピショ、3級はなし、
4級はDMロートシルト、5級はじゅう~に~(12)
♪バタバタ、3バージュ、ランシュムサ、ポンテカ~ネ~、
ピュイピュイ、ペデスクロー、ダルマ、クレールミロンで18

マルゴー(♪線路は続くよどこまでも)
マ~ルゴー続く~よ~、2級はね~
ブラ~カン、ローザン2つに、ヴィヴァン、ラスコンブ~
3級はディサン、パ~ルメール、カンブラ、キルワン、ボ~イド、
デスミライユ、ジスクール、フェリエール、王子とAB(エビ)侯爵
   ※サンテグジュペリの著作「星の王子さま」、マルキ=侯爵、
4級はプジェ、プリュレ、マルキドテルム、テルム~(←エコー)
5級はね~、デュテルトル~、ドーザックで21

オーメドック(♪おお牧場はみどり)
オーメドックは1・2なし、ララは3級、カルネは4級、
5級はベルグラーヴ、カマンサック、カントメルル


おそまつでした


いただいたサポートはうちの中や外にいるネコさまたちへの奉仕活動に使わせていただきます。