『テニスの王子様』にみるアニメビジネス アニメ★大革命〜アニメビジネス戦略〜第一回目

■付加価値をつける不動産の戦略
私の父は、宮崎で不動産業を営んでいます。
賃貸には手を出さず、土地の売買のみを専門としています。
その影響なのか、小さい頃から家族の会話は、政治や経済が多かったように感じます。(と、今になると思います)

父が言っていた言葉で印象的だったことは、
「土地はお客さんにとって人生で一番大きな買い物。
 安いから売れるんじゃない。
 お客さんが"欲しい"と思う価格に設定することが大切なんだよ」

こんな事例があります。
父がとある山奥の土地を安くで購入しました。
正直、500万でもかなり利益があるような土地です。
父はそこになんと2000万の価格を付けたのです。
「この土地は人里離れた、いわば別荘地にもできるような場所。
 この土地を買う人は、少しお金に余裕のある、おそらく避暑地を探しているような人だろう。
 なのに、500万だとお客さんは「誰でも手に入れられる」と思ってしまう。
 この土地に"価値がある"と思わせないとお客さんは買わない。
 "価値"は"価格"としてこちらが付けるんだよ。」

当時はなんとなく、ぼんやり聞いてるだけでしたが(と言うかほとんど興味ありませんでした)、おそらく私の潜在意識の中には、昔から何につけても「ビジネス戦略」があったように思います。

『テニスの王子様』からみるアニメビジネス
私が中学校の時です。
当時、ジャンプ作品がヒットを飛ばしており、特に『テニスの王子様』(いわゆるテニプリ)は空前の大ブームでした。
主人公の越前リョーマがFILAと言うメーカーを着用しており、このメーカーのテニスラケットはどこに行っても完売していました。(何故ラケットが無くなるんだ?と思いましたが、気付くのはもう少し後の話笑)
そんな時、私は友人が持っていたテニスの王子様おぼしき謎の本に出会いました。
友人が持ってるその本には「アンソロジー」と書かれ、内容はエトセトラな感じで、それよりも驚いたのは画面が白い!!
「なんだ、素人が描いた漫画か・・・」と思い価格を見ると、1,200円!!
しかも、普通に本屋さんに売っている様子。
「いったいこれはどういうことなのだ・・・」と、混乱はしたものの、同時に「面白い世界だ」とも思いました。
プロというには厳しい実力の人の漫画。(もちろん中にはプロ顔負けやプロも混じってますが)
多めに考えたって、単行本一冊の400円くらいな価格のはずのものが、内容すっかすかなのに(腐女子にとって密度濃いことは重々承知です土下座)、3倍もの価格に跳ね上がっているのです。

そんな最中、たまたま本屋さんで見つけたテニプリのビジネス解析書。(タイトルが何だったか覚えてないのですが、緑色の表紙でした)
そこには、各キャラクターにスポーツメーカーをつけ、そこがスポンサーになっていることや、キャラクターの人気とメーカーの売り上げが比例していること、テニスラケットが売り切れているのはコスプレイヤーが買っていること等が書かれていました。
一見すると、ただの可愛い、かっこいいアニメキャラたち。
しかしそこは立派に”ビジネス"の世界でした。
しかも、すごいのは、500円のコップをキャラクターのシールをつけるだけで1,500円にも2,000円にも3,000円にも価格を付けられること。
円盤(DVD)のような映像商品だけでなく、"キャラクター"があるだけで発展がいくらでもできること。
それは、コップなど形ある商品でなくても良いのです。
イベントなどのファンの集いは、形のない商品としてわかりやすいかと思います。

不動産は土地を買って売る。
とてもシンプルなビジネスです。
時々、だだっ広い土地を買って、切り売りすることもしたりはするけど、ビジネスのバリエーションは豊富ではありません。

アニメほど、可能性があり面白い世界はないと思いました。

中学2年生の私は、アニメのビジネス解析書を読み漁るという、ちょっと一風変わった変な子供でした。
もちろん、表紙にたまたま好きなキャラがいたとか、そういうキッカケはあったと思いますが、「アニメビジネス」という言葉に魅力を感じたのも事実です。
テニプリが好きな友人に「この本おすすめだよ!」とテニプリのビジネス解析書を差し出してみたものの、受け取って貰えなかった記憶があります。
「オタクはキャラが(表紙に)あるだけじゃダメなのか・・・」とそれもまた勉強でした(笑)


■あとがき
たぶん、アニメビジネスを意識するようになった原点はここだと思ったので、第一回目は"『テニスの王子様』にみるアニメビジネス"にしました。
少し、アニメのビジネス構造が見えてきたでしょうか?
来週から、何回かにわけて私がアニメ業界に進んだ理由を書いていこうと思います!
これだけビジネス展開が出来るのにアニメ業界が稼げないのは、業界に必ず脆弱な部分があるからだと感じ、その辺をどのように追っていったか書いていきます。
(途中、有料になると思います)

◆プロフィール
1988年宮崎生まれ
武蔵野美術大学卒業
シンエイ動画株式会社退職後、ドイツへ移住。
2020年、帰国。
2021年、株式会社RICE FIELD設立。
iPadでのアニメ指導!『みやざきアニメ塾』開講中!
その他、TVCM、MV、メディア出演など多方面で活躍しています。
HP https://ricefield-anime.info

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