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【読書メモ】タウンウォッチング 博報堂生活総合研究所著


⚪︎タウンウォッチングの目的はなにか?


街を知ることが生活を知ることで、未来の動きを感じ取ることにつながる。つまり、まちは人々の動向をマーケティング的な観点から観察し、ビジネスヒントを得るのに最適なビジネスの教科書。
ゆえに、タウンウォッチングを通じて、まちで気づいた疑問を解くことでビジネスのヒントを得ることができる。

⚪︎まちあるきの方法にはどのようなものがあるか?


明智型、彦星型、ガリバー型、ヒト鑑賞、モノ鑑賞、マチ鑑賞がある。
明智型は街を歩いて自分の足と目と耳で何かを掴む散歩法。
彦星型はまちの一点を時系列で追い続ける方法。
ガリバー型は異なるまちと比較する方法。
ヒト鑑賞は美人や老婆、子供等特定の特徴に集中して観察する方法。
モノ鑑賞は仮の予算を持ったつもりでモノを購入する気分を味わう方法。
マチ鑑賞は①赤子の目で味わうハトバス方式、②まちの過去をふまえて観察する斑鳩方式。

⚪︎まちの魅力度はどのように決まるのか?


機能度と遊び度の積。
機能度は毎日を豊かに便利に安心して暮らせるか。
遊び度は生活において遊びやゆとりがあるか。

⚪︎まちの法則にはどのようなものがあるか?


構造、記号、経営、時間の四つ。

⚪︎構造の法則とは?


まちの集中度と拡散化


まちの集中度が高まると、快適さを求めて拡散する。→駅前の商業開発が行き過ぎると、街外れや裏通りに個性的な店が増えていく。
拡散化がはじまると、入りやすい「たまたま店」ではなく、入りにくい「わざわざ店」が流行り出す。

街外れ


街外れは、住宅地から追いやられた米屋、豆腐屋、床屋、クリーニング屋等の住宅関連施設、盛り場から追いやられた酒屋、ラブホテル、駐車場が立地する。
街の中心から歩いて10分程度の600mの円周が街を形成する傾向がある。
まちは三層構造にあり、中心からパフェ(デパートやアパレル、カフェ)、パブ(居酒屋、クラブなど)、パーキングゾーン(ホテル、駐車場)の三つに分かれる。
パーキングゾーンは街外れに該当し、地価が安く、パブゾーンよりいかがわしくなく、個性的な店、600mショップを出しやすい。

街路の発展段階


街路の発展は順に大動脈型、毛細血管型、循環器型の3段階ある。
循環器型はサブの街路に人を引き込むだけの路地ゾーンであるスポンジゾーンがある。スポンジゾーンに立地する魅力的な店がスポンジショップ。
大動脈沿に集客が可能なポンプアップショップが立地することが重要。大動脈にはさまれた路地はスポンジゾーンになる。

一つ目小町


大きなターミナルから一駅目のまち、一つ目小町は、街時代が街外れに該当し、個性的なお店が展開されやすい。

スポンジゾーンの候補地


商業資本から忘れられた街のマイナー部分、坂(ジャノメ坂やダンダン坂、袋小路、暗渠川に個性的なお店が展開できる余地がある。坂は滑り止めがつくほど急なところほどよい。

個店を評価するCHARM


個性的なお店の特徴はCHARM。この五つが街外れが栄える必要条件。
Cはクッキー、チョコレート、カフェなど、女性を誘引するお店。
Hはヘルシー、自然食、ジム、ヘルシーバーなど。
Aはアローン。ポツリとした立地。
Rはリフーズ。一見お断りで、たまたま店ではなくわざわざ店。
Mはミスマッチ。異なる情緒の組み合わせ。コンクリ打ちっぱなしの寿司屋、和風邸宅のフレンチ、フランス料理屋風の懐石、神社風カフェ。

⚪︎記号の法則とは?


人とまちとのコミュニケーションに用いるメッセージを街を読み解く手がかりにする。
人が人(まち)に魅力を感じる法則は3つ。①見かけ、②相手の好意、③自分との類似性。
まちはメッセージとして以上の3つを伝えないと、訪問者に魅力を感じてもらえない。
具体的には、大量生産された全国均一的な街並みでは同じ品質の都市サービスが受けられる安心感はあっても、そのまちの「らしさ」がなくては魅力がなくつまらない、ということ。
「らしさ」は一朝一夕にできるものではなく、時間を経て、その街で住み働き遊ぶ人の生活の匂いが染みついたときに、初めて生まれるもの。
都市のイメージを形成する、視覚的な記号は次の5つがある。人々はこれらの記号を組み合わせて街のイメージをつくる→メンタルマップ。
①PATH 沿って移動する。道路、運河、鉄道
②LANDMARK 目印になるもの。建物、看板、山
③EDGE 縁、境界になるもの。海岸、川、壁、崖
④NODE 集中、接合するもの。交差点、広場、大きな駅
⑤DISTRICT 塊、面。
観察者としても、タウンウォッチングの後はメンタルマップをつくれば街を読む解像度が高まる。そのうえで違和感を拾い上げて、その理由を考える。
街のアイデンティティは、HISで決まる。ハードは先述のイメージの5つの記号、ソフトは住人の気質や地域行事、イメージはそれらが組み合わさって醸し出す街の雰囲気である。これらが絡み合ってアイデンティティが生まれる。

⚪︎経営の法則とは?


お店はPFの要素がトリガーラインを超えると購入動機の引き金を引くことが可能になる。
Pはプレイス(立地、プライス(価格、パーソン(売り子で、従来型の要件。
Fはフィーリング、フィクション、フェミニンで、時代の流行を捉えるための要件。補足すると、フィーリングが合えば遠かろうが通うし、信じられるフィクションを作り上げれば集客が可能になり、フェミニンは消費決定権の8割を占める女性を落とすことが重要。
小売業はFを基軸に商品を通じた暮らしのデザインができる生活文化産業になることで、時代の変化を先んじて捉えてマネタイズできる。

⚪︎時間の法則とは?


人がいて、したいことがあるのに供給されていないニーズを捉えるのが街の時間開発。
就寝起床の時間が年々遅くなっており、①ナイトタイムエコノミーに対応でき、②モーニングを提供するまちの魅力が高まる。

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