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お父さん

子供の頃、父の所へ行って
「今日の服、かわいい?」と聞いて
「かわいいよ」と答えてもらうのが好きだった。

私の母は、自分大好きな自由な人で、
そんな母に距離を感じていた私は、
心理的にも、父との距離が近かった。

初めて生理が来た日も、母は家におらず
「私、生理になったみたいなの」
と、一番最初に父に伝えた。
父は「そうか。お母さんが帰ってきたら、
どうしたらいいか聞こうね」
と優しく答えた。

かくして私は、ファザコンになった。

二十歳を過ぎてお酒が飲めるようになると
仕事帰りに父と待ち合わせをして
よく一緒にお酒を飲んだ。

別れ際に父がケーキを買ってくれるのが
とても嬉しかった。
父のとのデートは楽しくて、
私はいつも奔放でいられた。

歴代の彼氏たちは優しかったけれど、
私は、彼氏に甘えることができなかった。
私が唯一甘えられる相手が父だった。

そのうち私は結婚し、
父に甘えることはなくなった。

旦那さんは母のような自由な人で、
私たちは新婚2年目に別居し
その後、お互いに好き勝手に生きた。

嫌いではなかったけど、
好きでもなくなって、12年目に離婚した。

かくして私は、自立した自由な女になった。

出会いを求めて、デートを重ね私は気づいた。
年代に関係なく、男という生き物はみんな

甘えん坊だった…。

やっぱり私には父しかいない。
そう思い実家に帰って、
昼寝する父を見て思った。

父はもう、お父さんではない。

おじいちゃんだった…。

かくして私は、
かつての父のような男性を求める女になった。

あの頃の私は何故、父に甘えることができたのだろう。
男性に甘えるってどうしたらいいんだろう。
何故、男性の前で私は、お母さんになってしまうのだろう。

わからない。
色んなものがこんがらかって本当にわからない。

かくして今日も私は、
理想のお父さんを探している。




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