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東大行きたくなった『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』遙洋子

2000年発行で20万部以上売れた、大ヒット本。
面白かった!

大阪で活動するタレントの遙さんが、東大の上野千鶴子ゼミでフェミニズム(ケンカではないですよ)を学んだ3年間のエッセイ。

まずは、専門用語だらけの論文を段ボール1杯分渡される(英語論文含む)。
分からないところは質問すればいいじゃん、と簡単に言うけれど、難しすぎて何が分からないのかも分からない。
教室に上野先生が入って来ただけで雰囲気がピリッとし、大抵の発表役の生徒はコテンパンにやられる。

なーんか。懐かしい。羨ましい。説得力を持つものは言論だけで、それ以外はそこまで重視されない、大学の雰囲気が。
上野先生はちょっと厳しすぎるかもしれないけれど。

そして、遙さんの努力のすさまじさ。仕事中でも論文のコピーを読み、大阪在住なので3時間の新幹線往復、その間も勉強。少なくとも週1回は徹夜で勉強。睡眠時間もどんどん削れていく。
そして3年、遙さんは大阪にある大学のフェミニズムの講師を依頼されるまでになる。

ゼミの生徒と友達になり、何かと助けてもらいながら。

うーん。成長小説。

このケンカ、いってみれば論破。
口ゲンカに勝ち負けっていうのは、ある(ように見える)。
もちろん、勝ったら痛快だ。
でも、理屈が通るからその意見が採用されるとは限らない。
要望を通すための主張のしかたって、もっといろいろな方法がある気がする。
勝ち負けがつくと、負けた方がモヤモヤするから、納得、説得ができるかというと微妙だなぁと思う。
アンチ上野千鶴子が多いのもこのへんだと思う。

遙さんの最初の目標は「バラエティで女性蔑視のコメンテーターとの論争で勝つ」だったけれど、それがフェミニズムの学問分野への興味に広がってゆき、最後にエッセイ出版と大学講師という新しい仕事を得る。

行きつく先がとても生産的なところでよかったと思う。

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