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三陸で見つけた港町の小さな物語【力強く暖かい師弟愛】

大船渡という街


年末ということもあり、今月はなかなか地方にいく時間がないなと。行けても仕事の時間だけのスポット滞在くらい。なかなか地方の産業の担い手にはあえそうにないので、三陸港町で出会った力強く暖かい物語をご紹介。

大船渡という三陸の小さな港町。
街は震災で大きな被害を受けた場所にキャッセン大船渡という商業施設を作り、小さいながらも活気を取り戻している街。

キャッセン大船渡

ただしこの街も現在の38000人の人口から2045年までに21000人くらいまで人口が減るほどの街だ。まあ、この規模の縮小は今の日本では珍しくない話なのだが。
今回のお話はこの街でのある飲み屋での話。暖かく、そして力強い結びつき。
ただし取材の許可はとってないためにご本人の特定は避ける内容にさせていただきます。

 大船渡あたりの伝統産業の担い手の情報を探しに大船渡のとある飲み屋さんにお邪魔させてもらった。気仙大工の話を最初に聞かせてもらった店だった。

ある大船渡市街の飲み屋

私:この街の商売はどう?このあたりはなかなか元気な感じがするけど。
店主:なんとかほそぼそとやってんの。まあ生きてはいける感じだねー。
私:そうなんだ。このあたりは漁師さんたちも多そうだから飲み屋は儲かるのでは?と思ったんだけど、そんなんでもないんですね。
店主:昔はね。確かにもう少しお客も多かったんだけどね。まあまだ今日は早い時間だからもう少ししたらちらほらお客さんくると思うな。
あとで若い子もくるからな。ちょっと待っててな。
私:ビールもらってよいです?

私は普段はあまりこういう店に来ないので、いまいちルールも分からないが、きっとボトルとか入れたほうがお店としては儲かるんだろうな。と思いながらも次にくるかも分からないので、申し訳ないとは思いながらも私はビールを頼んだ。

店主がついでくれたビール

慣れない飲み屋なのでソワソワしながら周りを観察しているとおでんが目についた。

私:これは?おでん?ご自分で作られた?
店主:そう。なんかいいかな?って思って。少しでも売上の足しになればと思って。食べるか?美味しいぞ。
私:いや。ごめんなさい。食事は済ませてきたばかり。なるほど売上のためね。
店主:若い子も食べさせていかないとな。

若い子?いや個人的には伝統産業の話がきければよいのだが。まあ、世代が違う人もいるなら聞ける内容も広がるかな?と。話を聞くのをあとにした。

店主の作った美味しいなおでん

カランカラン!
1人の女性スタッフがきた。
女性スタッフ:初めてのお客さん。今日はどこから?

などと、まあ決まった会話をお互い交わし、私はさっそく二人にこの街の伝統産業について色々会話をさせてもらった。

気仙大工の存在を知ったのはこの時だ。

漁師さんの変化が需要の変化

私:そういえば、さっき気になったんだけど。産業といえば。この街は漁業が盛んなんだよね?そしたらこういう飲み屋は儲かる気がするけど

店主:大きな船は基本は気仙沼にあがっから。気仙沼の漁港が休みん時だけ。週一だけ港に船があがんだ。そんときくらいがな。
私:なるほど。気仙沼に基本はみんな魚おろしちゃうのね。だからあまり他の漁船の漁師がこの街には滞在しない。
店主:この街はそんな感じだな、やっば。昔っから。それでも昔はもっと儲かったかな。今はなかなかな。
私:そうなんだね。その動きは昔と変わらない。なら、やっぱり人の減り?街自体の。漁師も減ってるし。
店主:んだな。まあ、それもあっけど。一番は漁師の人達がお金持ってないのっさ。今は。
私:とれる魚の減少?サンマとか。
店主:いやな。昔はな。みんな漁師さん達は自分で揚げた魚をそのまま自分のものにしてたんだ。魚が取れれば自由にお金が使えるというか、正直にいえば、家族はいくら稼いでいるか?わからなぐて。稼いだらこういう店にお金落としてったのさ。昔はな。今はみんな漁師さん達サラリーマンでしょ。だからみんな使えるお金持ってないがんな。
私:な。なるほど。


確かにいつの頃からか。サラリーマン漁師で会社化をしていく新聞記事を読んだ。あまり漁師さんには知り合いもいないので、気に止めてもなかったが。そういうしわ寄せもあるのか。変化とは挑戦することだと思うし、そういう挑戦は個人的には好きなのだが。なるほど。確かに三陸エリアにはこの業態の飲み屋は多いがみんなあまり元気はないとよく色々なところで耳にするが。そういうことか。


私:そうすると結構厳しいの?
店主:厳しいと言えば厳しいけどな。
みんな街の人達が気にして遊びきてくれっからな。そんなこといってられないがんな。
私:で。おでんね。
店主:んだ。
私:なるほど。納得。

そういえば
そんな状況で?と少し若い女性スタッフの今後が気になり声をかけた。

私:ちなみになぜ?この仕事を?地元の方?
女性スタッフ:いえ、数年前に水沢からここにきて。
私:水沢?

水沢といえば、東北新幹線がとまる駅。かなり内陸の街だ。東北に土地勘がない方でいえば。平泉の近く。といった場所。

私:なぜ?あえて水沢から大船渡に?
女性スタッフ:叔母なんです。で、叔母の手伝いをしているうちに一緒に暮らすようになって。
私:この子がいるから?それで色々おでんとか考えているの?
店主:うんだ。頑張んなきゃ!
私:この仕事楽しい?
女性スタッフ:はい。すごく楽しいです。
私:へえ~。ちなみにどんなところ?
女性スタッフ:うーん東京とかなら色々な仕事があるかもしれないけど、ここでは職種は少ないし、こうやって色々な方のお話を聞けたり、経営者の方の生き方や考え方を聞けたり、そんな機会がある働く職業はあまりないですし。経営者の方ってやっぱり背負っているものがたくさんあって。かっこいいなーっておもっていて。だから楽しいです。本当に。
私:確かにね。そういう見方ができるか。で?継ぐの?
女性スタッフ:はい。継ぎます。
私:w言い切ったねw
女性:もちろんですw

叔母の大切な店を残すため

気が付くとカウンターはお客さんで埋まっている。
知り合いか?知り合いではないのか?誰かと話すというよりも
その場にいる人たちで同じ話題で盛り上がっている。全員70代前後といったところか?この世代でもこうやって飲み歩ける
元気な街。素敵な街だな!と思う。僕も
この世代のように最後までワイワイできたら素敵だな。と思う。

店内を少しだけ

私:でも…お客さんは店主のお客さんだよね。今いらっしゃる方たちもみなさん店主の世代。それでやっとだとこの先君の世代がもっと…
女性スタッフ:そうなんです。店主が素敵だから今はこうやってみなさん来てくれますけど。店主のことはすごく尊敬をしています。街にきたときに本当にこの街で凄く顔の広い人だなーと思ったんです。その店主が毎日毎日頑張ってきたこの店を終わらせたくない。店主が大切にしてきた店なので。継ぎます。ただ私の時代にはその先はなんか考えなきゃなと。色々昼の時間も含めて考えてはいるんですね。

なるほど。しかもどんどん人口も減るのか。
なかなか大変な仕事と職業だ。
ビールのお替りをもらいながら僕は一人で飲んでいた。
お客さんたちはどんどん盛り上がって、本当に楽しそうな時間。
女性スタッフも店主も会話を回しながら、その場をみんなに楽しんでもらおうと個々に有意義な時間を過ごしているようだ。
ふっと店主が僕のほうに寄ってきた。

継がせる世代に元気な店を残すため

私:彼女この仕事継ぐっていってましたよ。
店主:継がせたいな。
私:もう近い?
店主:まだだな。もっと私が頑張っでもう少しこの店を元気にしてやんなきゃな。今渡したら可哀想だ。
私:なるほど、継いでくれるのは嬉しいんだね。よかったですね。素敵な師弟愛。
店主:んだけっど。まだまだ頑張んなきゃな。若い世代に渡せるようにな。辛いどかいってらんないもんな。一人でも多くお客さんに来てもらって楽しんでかえってもらう。できればお客さんと一緒に飲んでなwここ楽しいからもう帰ろうと思ったけんど、もう一杯!ってな。
私:心配になることはある?
店主:心配したって1円にもなんねーからな。あの子のためにはなんねーし。やるだけだな。

店主はそういうと笑ってまたお客さんの会話を回しにいった。

私:今日はありがとうございます。行きます。
        明日気仙大工調べたいので。
店主:また来てな。

僕は店をでた。
ただ情報だけを入手したくたまたま入った飲み屋さん。
三陸、大船渡という街でであった
【力強く暖かい師弟愛】
三陸で見つけた寒い地方の港町。その港の暖かい物語。 








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